・弱者を潰せ

 

 松下理恵と川岸天音の2人はいつものように行きつけの焼き肉屋で人の愚痴を語り合っていた。

 

「桃子の奴は自分から死んでくれたし、厄介な敵の1人である白石真由の人生は壊せたけど、好美の野郎、裏切りやがって。」と理恵。

 

「もうその話題これで何回目よ。終わったことは仕方ないわ。それより、次に潰す奴を決めましょう。」

 

「そうね。何の能力もないくせに真由たちのグループにいる中原瞳子って野郎、嘉穂をみてるみたいでイラつくわ。あいつからあの世へ送ってやりましょう。」

 

「同感よ。でも、気を付けて。最近また厄介な魔法少女が増え始めたみたいなの。」

 

「ちっ。またかよ。でもそいつらもきっと私にはかなわない。」

 

「さすが理恵、凄い自信ね。」

 

理恵と天音は瞳子を潰す作戦を立て始めた。それはとてもシンプルなものだった。天音が好美と愛理の注意を引き付けている間に、理恵が瞳子をいじめ倒すというものだった。倒すのではなくいじめるのだ。嘉穂の時に行ったのと同じ手口。痛めつけられて、恥を晒されて、それでも死ぬことは許されない。被害を受ける側にとってはとても屈辱的だ。

 

 中原瞳子のもとにキュッピーと飛鳥が駆け付けた。理恵たちの計画を盗み聞きした彼らは、彼女に警告をしに来たのだ。話を最後まで聞き終わった瞳子は慌てふためいた。まず真っ先に愛理に相談した。彼女はできる限りのことはすると言った。その後、瞳子と愛理は好美のところに向かった。好美も彼女たちに協力することを誓った。

 

「まだあんたのこと信用してないからな」、と愛理が好美を睨みつける。

 

「まぁまぁ」と2人を宥める瞳子。

 

愛理と好美の声が揃った。

 

「だいたい、誰のせいでこうなったと思ってんだ。」

 

そう言いながらも彼女たちは瞳子に快く協力する姿勢を見せた。このことは真由には言わなかった。あの後、真由は学校には来るようになった。しかし、精神的ダメージが大きく休み時間に泣いている姿を見ることの方が多かった。瞳子がつきっきりで面倒を見なければ生活できないという状態が続いていた。そんな状態の彼女にさらなる負担をかけたくなかった。そして、遂にその時は来た。天音が愛理と好美の2人に襲い掛かってきたのだ。天音には今までに皆に隠してきた力があった。それは、分身する力だ。2人に分身してそれぞれに襲いかかれば、愛理と天音両方の動きを封じることができる。

 

その隙に、理恵の目が瞳子を捉えた。次の瞬間、理恵は瞳子の身体を容赦なく蹴り飛ばした。