・救われた命

 

 馬乗りになって殴りつける。もう踏んだり蹴ったりである。キュッピーと飛鳥が瞳子を助けようと理恵の頭を嘴で突いた。理恵は舌打ちをすると、キュッピーに向かって的確に拳を振り落とした。

 

「キュッピー!」、瞳子が叫んだ時、理恵の腕を何者かが掴んだ。

 

「我已经看了有一段时间了,但我就是看不够。松下理惠,一个不择手段的魔法少女。欺凌弱小、妄图夺取小人物生命的卑劣行径。你是最糟糕的人。(さっきから見てたけど流石に見かねたわ。悪徳魔法少女、松下理恵。弱い者いじめに小さい者の命を奪おうとする卑劣な行為。あんた、最低の人間よ。)」

 

そこにはあの林凜華の姿があった。

 

「住口。中国猴子。您觉得特梅怎么样?如果你不服从我,那就去死吧。(黙れ。中国人のサル目。テメェこそ何様のつもりだ。私に逆らうなら死ね。)」

 

理恵は即座に言い返すと、彼女の頭蓋骨めがけてライフルをぶっ放した。しかし、凜華の方へ向かった弾丸は彼女の身体の前で止まった。彼女が指を鳴らすと弾丸は反対の方角にはじき返された。跳ね返った弾丸が理恵の胸に命中する。理恵の胸に様々な思いが駆け巡った。大切な家族や親せきの顔が次々に思い浮かんだ。

 

「きっと、私、地獄に行くんだ。」、彼女は心の中で思った。

 

「我很抱歉夺走了你的生命。但如果我放任你这样的人不管,事情就会很糟糕。此外,种族主义是对全人类最侮辱的行为。我们不能不尊重或歧视其他国家的人民。(命を奪ってしまって申し訳ない。でも、あんたみたいなのを放置してたらまずいことになるから。それに、人種差別は全人類にとってこの上ない屈辱的な行為だ。他国の人々を軽蔑、差別する行為はあってはいけないわ。)」

 

凜華はそう言うと、倒れている瞳子に手を伸ばした。凜華の手につかまり、瞳子が起き上がる。

 

「あの、ありがとうございます。あなたは…」

 

「私の名前は林凜華。中国の血を引き継いでいる魔法少女よ。母親が中国人、父親は日本人なの。よろしくね。」

 

「日本語お上手ですね。よろしくお願いします。」

 

「そう言って貰えてうれしいわ。今日はあなたたちに大切な話があるの。」

 

「大切な話?」

 

「そう。」

 

愛理と好美も瞳子の傍に駆け寄ってくる。

 

「愛理、それに好美も。天音は?」と瞳子。

 

「あいつ、何だか急に逃げやがった。」、愛理がそう言って理恵の死体に目をやる。

 

「そういうことだったのね。味方がやられたら逃げるなんてどこまでも卑怯な奴。で、大切な話ってなんなのさ?」