パクシアは、僕の前に田沢由奈を連れてきた。

 

自分は大した力もない癖に、真紀たちと一緒にいるときだけ、喜んで人をいじめるような女。

 

目の前の彼女は両手両足を縛られており、口も封じられているので全く身動きができない状態だ。

 

それを見て僕の心は快感を感じた。

 

そう言えば、彼女には幾度となく殴られたことがあった。

 

真紀たちに押さえつけられて身動きが取れない僕を彼女は散々殴りつけた。

 

あの頃の屈辱を、忘れたわけじゃない。

 

「どうせいじめられっ子を殴るなら堂々と1人で殴れよ。真紀たちに頼らないでさ」、と何度思ったことか。

 

目の前にいる彼女は非力な存在。女だからって手加減しない。

 

いや、この際、男も女も関係ない。誰だって、自分をいじめた存在を憎く思うのは当然だろう。

 

僕は、由奈を何度も殴りつけた。

 

彼女は何かを叫んでいたが、無視して作業を続ける。

 

田沢由奈は、僕が辞めてくれと言っても一向に殴るのを辞めようとしなかった。同じ目に遭って貰わないと採算が取れない。

 

由奈は何かを叫び続けるが、この場に助けは来ない。

 

彼女の瞳が恐怖で染まっていくに連れて、僕の心は次第に快感を覚えた。

 

「もう二度といじめをしないか?」

 

彼女は目に涙を浮かべながら、何度も頷いた。

 

真紀たちが行ういじめに今後二度と参加しないことを誓わせると、僕は彼女の身柄を解放した。

 

由奈は、その場から逃げるかのように、走って立ち去って行った。

 

「やれやれ、全く、君は相変わらず甘いね。自分をいじめて、自殺に追いやった相手に、あの程度の報復で良いのかい?」

 

「あまりやりすぎるのも良くないからね。詩織とか由奈は真紀たちに従っていただけで、自らの意思で僕をいじめたいと思ってたわけじゃないと思うんだ。」

 

「それでも、許されることじゃないわ。」

 

僕の言葉を聞いていた詩織がふと視線を落とした。

 

「まあそれでも幾分マシだよ。君たちへの報復はこれで終わり。それよりも、僕が許せないのわ、他のメンバー。特に首謀者の柳沢真紀。あいつだけは死んでも許せないね。地獄の果てまで追いやってやる。」

 

僕のセリフに、パクシアが「君、もう死んでるじゃん」と突っ込む。

 

「うるさいなー、比喩だよ比喩。とにかく、彼女にだけは僕以上の地獄を味会わせてやりたい。」

 

「おー。いいねぇ。そう来なくっちゃ。何たって、いじめに加担した奴らに報復して、最高級の痛い目を見てもらうのが、僕たち、いじめ報復屋の仕事だからね。」

 

パクシアが微かに微笑んだ。