それからというもの、真紀たちの詩織に対するいじめは僕でも目を覆いたくなるほどエスカレートした。
詩織の顔は笑顔が消え、頬は窶れて、血色も良くない。
突然、僕の横に例の男が現れた。
「どう?彼女の苦しむ姿を見て満足した?」
甘ったるい声で僕に話しかける。
「彼女の苦しむ顔がもっと見いだろ?」
「いや、えーと、お名前をお伺いしてもよろしいですか。」
「はは、容易い御用だ。僕の名前はパクシア。」
「パクシアさん、僕はもう彼女の苦しむ姿は見たくありません。」
「はぁ?君は何を言って、あれだけ酷い目に遭わされてきたのに。自分をいじめた人をこの世から消してほしいって人も多いんだよ?」
「確かに、僕はいじめを受けたことは絶対に許しません。けど、過去の自分の行いを反省できる人は、更に成長することができる。彼女が再びいじめに加担するとは思いません。その代わり、彼女をともう1回会わせてください。ちゃんと真正面から向き合いたい。」
「ははっ。本当に変わった子だね、君は。」
そう言うとパクシアは静かにその場を立ち去った。
放課後、彼は約束通り詩織を僕のもとに連れてきた。
彼女は、僕を目の前にしてわなわなと震えていた。
「あの、その、色々ごめんなさい、、だから、その、この前のような目にだけは遭わせないでください。」
それが彼女の第一声だった。
「君は、目の前にいる山川拓斗という人間を殺したんだよ。謝って済むほど甘い話じゃない。」
パクシアの言葉に目を伏せる詩織。
「まぁまぁ、パクシアさん、彼女は反省してるみたいですし、そんなに攻めなくても、、」
「ありがとうございます。」、僕の言葉に彼女が深々と頭を下げた。
「でも、1つお願いがあるの。」、と僕は続けた。
「僕をいじめた人たちに復讐するのを手伝ってほしいんだ。それが君にとっての罪滅ぼし。」
詩織は僕の提案をすんなり受け入れた。
この前のように痛い目に遭うことなく、自身の罪を償えるならそれほど得な話はないだろう。
もっとも、今目の前にいる彼女は、最早損得勘定で動くようなあざとさは残っていないと思うけど。
まずは、詩織を除いた真紀グループの中で一番力が弱そうな田沢由奈を標的にしよう。
彼女は普段は虚ろな瞳で何を考えているのか分からないが、いじめを行っている時は楽しそうだった。
「あの程度の獲物なら僕に任せて。すぐに痛い目に遭わす準備を整えるから。」とパクシア。
どうやら今回は、僕と詩織の出る幕はなさそうだ。