パクシアは詩織の身体を解放した。

 

そして、怯えた瞳で身構える田沢由奈の方にゆっくりと近づく。

 

「君にも躾が必要なようだね。」

 

「ちょっ。待ってよ。」

 

「問答無用!」

 

「んあはははははははははっ。待って待って。もう許ひて...」

 

パクシアに再びいたぶられた詩織と由奈はすっかり憔悴しきった様子だった。

 

「君たちに1つ提案があるんだ」、パクシアが徐に口を開いた。

 

「提案?」

 

「そう。君たちの手で、柳沢真紀に復讐するんだよ、拓斗の代わりに。」

 

「え、でも、真紀は怖いし...私たちじゃとても」

 

「つべこべ言わない。君たちのせいで、ここにいる拓斗はどうなったと思う?自殺まで追い込まれたんだよ。君たちどちらかが真紀を止めていたら、彼が命を落とすこともなかったかもしれない...違うかい?」

 

「それは...」

 

「じゃあ決まりだね、よろしく。」

 

「は、はい...」

 

詩織と由奈はしぶしぶパクシアの提案を受け入れた。

 

パクシアと拓斗がいなくなると、彼女たちは精神的プレッシャーから解放された。

 

由奈がいきなり詩織に抱き着く。

 

「もう嫌だよ私こんなの...」

 

「仕方ないじゃない。それだけの過ちを犯しちゃったんだもの、私たち...」

 

涙目になって弱音を吐く由奈を宥めつつ自身の過去を後悔する詩織。

 

「もう、やるしかないんだよ」、詩織がきっぱりと言った。

 

「うん。けど、どうやって?私たちじゃ、真紀には太刀打ちできない...」

 

「そうね。残りのメンバーは真紀以外もみんな強い子ばかりだし、1人ずつやってくしかないんじゃないかな。」

 

「もし、それが真紀にバレたら?」

 

「その時はその時だよ。」

 

真紀と由奈は相談した結果、まずは清水美野里をターゲットにすることにした。

 

一見お淑やかに見える彼女はとても凶暴な一面を持ち合わせている。普段の着飾った印象の良さが気に食わなかったのだ。

 

彼女が1人でトイレに入ったタイミングを見計らって、詩織が奇襲をしかけた。

 

「ごめんね、これはパクシアの命令なの。悪く思わないでね。」

 

「おや、誰かと思えば拓斗の幽霊にコテンパンにされた詩織さんじゃない。何を偉そうに。」

 

そう言うなり美野里は詩織の首元を掴んだ。

 

苦しそうに表情を歪める詩織。

 

「あんたじゃ、私には復讐できないわよ。残念ね。」

 

その時、美野里の後頭部に何か固いものが直撃した。

 

「っ。」

 

声にならない悲鳴をあげてその場に蹲る美野里。その隙をついて詩織が彼女の身体を蹴り飛ばした。

 

「良かった。何とかなりそうね。」

 

バケツを手にしている由奈が呟いた。