手枷足枷 | 物質の下僕

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語りえぬものには、沈黙しなければならない












let me have my enemies butchered

小泉純一郎が郵政民営化に手足をもがれて、他の改革が道半ばになったのは、まあ、小泉氏と郵政の関係を考えれば、ラマンチャの男と風車のようなものだからしかたがなかったともいえる。 まがりなりにも風車は倒れかかっていることだし。

さて、安倍晋三のことである。 拉致被害者と安倍氏の関りはいつからなのか、私には定かではないが、あれは安倍氏のロマンティシズムだと思うのである。 ラマンチャの男の風車もロマンティシズムそのものであった。

世界の北朝鮮に対する関心は全然、拉致被害者ではない。 核の問題ですらない。 あれは茶番にすぎない。

本質は、東ドイツ崩壊のような、そしてソ連崩壊のような現象をいかに防ぐかである。 理想はソフトランディングである。 だがそれがかなわぬなら、十重二十重に押さえ込んで、これっぱかりの浸潤も許さないという、これこそが特に韓国、中国の意図するところである。 だから風船を針でつつこうとする、アメリカにことさら神経を逆立てるのである。

彼らは西ドイツの憂き目はたくさんだと思っている。 アフガニスタンも、チェチェンもごめんである。

アメリカは、、、アメリカは核による9.11を恐れているのである。 それを防ぐためなら、再び汚名をかぶろうとも、半島に核を投下するだろう。

みな自分勝手である。 自分が傷つかなければ北がどうなろうが、餓死者がどれほどであろうがかまわない。 自分原理主義。

日本は、日本の我侭は? 拉致被害者の生還である。 何が何でも生還である。 死んだ者も生きて帰せという。 死んでいるということは、仮定でも前提でも絶対に認めない。

ここに安倍氏はかれめとられていくのであろう。 郵政民営化の混迷どころではない。 少なくとも北と比べれば、あの綿貫も亀井も赤子のようなもの。  一教、二教、三教。 ひとひねりである。

これは由々しきことである。 安倍氏はロマンチストである点は、小泉氏に比肩できるが、その冷酷さにかけては、とても小泉氏に及ぶものではない。 お優しい方。 岸信介氏の何がしかを受け継いでいるであろう安倍氏であるが、こと冷酷さにおいては、はなはだ頼りない。


それはね、水爆を落としまくって、半島を焦土と化すのは、愉快、痛快、至上の喜びではあるよ。 だがね、それができなきゃ、海も囲んだ新しいベルリンの壁を作らなきゃ。

封鎖。 徹底した封鎖。 中国は壁を越えたら躊躇なく撃つでしょう。 人海戦術。 国境沿いに1メートル置きに人を立てて進入を防ぐ。 ミサイル、航空機は領空を出たとたんに撃墜。 巨大なゲットー。 中に動くものがなくなるまでの持久戦。

それでも、安倍氏は拉致被害者を返せ、と言いつづけなければならないだろう。 もう乗りかかった船だから。

こんなことで、日本は21世紀を生き抜くことがはたしてできるのだろうか。