イベント好きの政治 | 物質の下僕

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語りえぬものには、沈黙しなければならない












let me have my enemies butchered

オリンピック招致の話についてはどうお考えだろうか。そもそもイベント嫌いの小生としては結論のでている話だが、周囲の人々の意見はまだ聞いていない。小生にとって価値のあるオリンピックは1936年のベルリン大会だけである。ちゃんとした記録映画が作られたのはこの大会が初めてだったはずである。レニ・リーフェンシュタールという気鋭の女性監督が抜擢された。当時の宣伝大臣ゲッベルスとは最悪の関係だったそうだが、総統のおぼえよろしく全権を与えられての作品は歴史に残る会心作である。さて、歴史に残る言えば国家によるプロパガンダとしてのオリンピックもこの大会を嚆矢とする。ホストである総統におもねって、あのフランスまでが例の敬礼をしていたのは笑える。実はあの大会では聖火ランナーのコースの下見を口実に各国の地理情報、その他内実にかかわる情報を集め、その後のヨーロッパ侵攻作戦に役立てたといわれている。だからというわけではないが、イベント好きの政治というのは何か胡散臭さがぬぐえない。事実、利権と金にまみれているのである。
それともう一つ、この手のイベントにつきもののインチキなナショナリズム、にわか愛国者に我慢がならないのである。本当に日本と日本人のことを考えているなら、顔に日の丸書いたり、旗振ったりする前にやること、やるべきでないことはごまんとあるだろうに。あれを見ていると小生がテロを起こしたくなる。

ところで、ベルリン大会の記録映画二部作「民族の祭典」「美の祭典」はレーザーディスクで持っています。ずいぶん前の話でうろ覚えですが、沢木耕太郎氏がこのあたりの時代、この話題を小説にしていたはずです。題名は忘れてしまいましたが。