中小企業では、専任の情シス担当者がいないことが珍しくありません。
総務がITも見る。
経理がシステム契約も見る。
詳しい社員がなんとなく面倒を見る。
この体制自体が悪いわけではありません。
ただ、セキュリティまで全部ひとりに背負わせると、どこかで限界が来ます。
この記事について
Growth Securityでは、中小企業のDX・業務改善・セキュリティについて、ツール導入の前段にある「判断・整理・設計」を支援しています。
この記事も、現場で実際に起きていることをベースに整理しています。
はじめに
情シス兼任者は、本当に大変です。
パソコンの不具合、アカウント発行、SaaS契約、プリンタ、ネットワーク、問い合わせ対応、セキュリティ教育、取引先チェックシート。
本業が別にあるのに、ITまわりの相談が全部集まります。
しかも、うまく回っているときは評価されにくい。
トラブルが起きたときだけ、急に責任が重くなる。
この構造はかなりきついです。
先に結論

情シス兼任者がひとりでセキュリティを背負う会社の問題は、担当者の能力不足ではありません。
判断すべきことが、個人に集まりすぎていることです。
たとえば、
- どのクラウドサービスを許可するか
- 退職者アカウントをどう消すか
- MFAをどこまで必須にするか
- 取引先からのセキュリティ対応表にどう答えるか
- ランサム時に何を優先して復旧するか
これらは、本来は経営判断や組織のルールが必要な話です。
担当者ひとりの善意で抱えるものではありません。
中小企業で起きる典型パターン
1. 詳しい人に全部集まる
「パソコンに詳しいから」
「前職でITをやっていたから」
「なんとなく分かるから」
こういう理由で、ひとりに相談が集まります。
最初はそれで回ります。
でも、会社のクラウド利用やセキュリティ要求が増えると、個人の経験だけでは判断しきれなくなります。
2. ルールがないので、その場判断になる
新しいSaaSを使っていいか。
外部共有していいか。
退職者のアカウントはどこまで消すか。
ルールがないと、その場その場で判断するしかありません。
結果として、担当者によって判断が揺れます。
3. 経営判断が必要な話まで現場に落ちる
ランサム対策、取引先対応、セキュリティ投資、DX計画。
これらは現場作業ではなく、経営判断を含むテーマです。
ところが、兼任担当者に「いい感じにやっておいて」と落ちることがあります。
これは担当者にとってかなり厳しい状態です。
まず確認すべきこと
兼任体制でセキュリティを回すなら、最初に次の線引きをした方がいいです。
- 担当者が判断してよいこと
- 管理職に確認すること
- 経営者が決めること
- 外部専門家に相談すること
- 月次で点検すること
この線引きがあるだけで、担当者の負担はかなり下がります。
特に、取引先対応やランサム時の判断まで担当者個人に背負わせないことが重要です。
自社だけで進めると詰まりやすいところ
情シス兼任体制では、何から手をつけるかが一番難しいです。
やるべきことは多いです。
- ID管理
- MFA
- 退職者アカウント
- クラウド利用
- バックアップ
- 社内教育
- 取引先対応
- DX計画
全部大事です。
ただ、全部を同時にやると止まります。
だから、会社の状況に合わせて、今月見ること、来月見ること、半年以内に整えることを分ける必要があります。
まとめ
情シス兼任者がひとりでセキュリティを背負う状態は、長く続けるほど危うくなります。
担当者が悪いわけではありません。
判断、責任、作業、説明がひとりに集まりすぎているだけです。
必要なのは、担当者を増やすことだけではありません。
何を誰が決めるのか、どこから外部の力を使うのかを整理することです。
セキュリティは、詳しい人ひとりの努力ではなく、会社として回る形にする必要があります。
もし「これ、うちも同じだな」と思ったら
今回書いたような、
- 総務や管理部門がIT・セキュリティまで兼任している
- 取引先対応やID管理が担当者任せになっている
- 何から整えるべきか優先順位が決まっていない
こういった相談も受けています。
相談では、
- セキュリティ・DXまわりの現状棚卸し
- 担当者、管理職、経営者の役割分担整理
- 月次で見るべきID管理・クラウド利用・取引先対応の点検
といったところから、現状整理と優先順位づけを一緒に進めることが多いです。
高額なツール導入や大きな体制変更を前提にせず、今ある体制で無理なく回る形を作ることを重視しています。気になったら、まずは状況整理だけでも声をかけてもらえればと思います。





