5月25日に3年ぶりの阪大総長選挙が行われ、現職の西尾総長の続投が決まった。
西尾総長は2015年から総長職にあり、今回の任期は4年間だから、
任期満了まで務められたら10年も総長を続けられることになる。
総長候補となるには教授職など推薦資格を有する推薦人が30人必要だそうである。
今回の総長選は3人の候補者で行われた。
わたしはただの町医者だが、阪大が母校でもあるので、3人の候補者とは多少の繋がりがある。
3人中1人は2年後輩で元同僚だった仲野徹候補で、2月に家内と万博公園を歩いていたらばったりと出会った。
もう1人は心筋シートで有名な心臓外科医の澤候補で、あまり面識はないが1年後輩なので共通の知り合いは多い。
西尾総長とは全く面識はないが、ごく近い方をよく知っている。
自称インディーズ候補である仲野徹候補が当選したら阪大は大きく変わるのではと期待していた。
彼が27歳の時から同じ研究室にいたので、その頭抜けた能力はよく知っている。
研究の世界でこんな人間にはとても適わないと悟り、自分は研究者にはなれないと確信して私は臨床に戻った。
仲野候補は世界的な研究業績をあげているだけでなく、「エピジェネティクス」「怖いもの知らずの病理学講義」など
一般向けの著書も多く、テレビにも何度も出演している文化人でもある。
研究者には業績が多くても、総長職にはとても向かない世間が狭い人も多いが、彼は違う。
5月25日の有権者(阪大の全学部の教授など)による意向投票の結果では、澤候補が最多得票を得たが、
その後の選考会議では投票結果が覆され、西尾学長の再選が決まった。
結果は、阪大のホームページに「総長予定者の決定について」としてアップされている。
わたしのような部外者には、選考課程がどうであったか知るよしもないが、最多得票で選出されなかった
澤教授には釈然としないものがあるのではないだろうか。
本日、西尾学長にごく近い方とお目にかかったので、
「おめでとうございます。選考委員会の見識を反映したものであると信じます。
阪大をよろしくお願いしますとお伝え下さい」
と本心から言っておいた。
仲野候補がもし総長になったら、阪大はどうなっていただろう?
仲野候補がもしいなかったら、澤学長が誕生したのではないか?
と想像を巡らすが、すべては終わったことである。