新年になって恒例の医師会の新年会が昨日土曜日に開催された。
昨年は臨床医会の会議と重なって出席できず、2年ぶりの出席となった。
元厚労省医療課長(現日医総研)の佐藤先生の講演があったが、
元高級官僚とは思えない名講演で、たいへん印象に残った。
何点か記憶にとどめるべきポイントがあり、今後の自分のプレゼンの参考にしたいと思った。
この先生の後任の医療課長とは、研究会のあと一度ご一緒したことがある。
当時大阪の事情はあまりご存知ではなかったので、
大阪市民の20人弱に1人が生活保護である、と伝えたら驚いておられた。
フレンチレストランのことで話題になり、あとで大阪の有名フレンチのリストを
メールで送るとともに、このブログも教えておいた。
だからひょっとすると、厚労省では今でもこのブログを見ている人がいるかも知れない。
一般の医師には反発する人もいるかも知れないが、厚労省の役人の多くは、
日本の医療行政を真剣に考えて努力していることを知っておいて欲しい。
昨晩の新年会には、地元の市長や地元選出の衆議院議員が2人出席されていたが、
わたしはその他大勢の1人なので、遠くで顔を眺めていただけだ。
衆議院議員は2名とも女性で、自民党の渡嘉敷奈緒美と元維新の上西小百合である。
片や厚生労働副大臣で飛ぶ鳥を落とす勢い、片や崖っぷちという好対照の2人だが、
代表で挨拶した渡嘉敷さんの演説は実に上手かった。さすが手馴れている。
もう1人はおめでとうございますと言っただけ。
この人の話など聴きたくもないのでこれで正解。
新任市長も人柄の奥深さを感じさせる簡明な挨拶をされ、
知性を感じさせない前任市長の話との違いをまざまざと見せつけられた。
前市長には、府会議員時代から傲岸不遜な演説を聴かされて不快にさせられていたので、
それだけでも今年から新年会の飯が旨くなった。
上西代議士といい前市長といい、維新の会の看板で当選したのち除名みたいなことに
なっているが、地元民には迷惑な話だ。
もうちょっと人材を見て候補者を立てるべきではないか。
わたしがたった3分話を聴いただけで分かるくらいだから、
その人物が市長や代議士にふさわしいかくらい党にも判断できるだろう。
わたしは隣の市に住んでいるので選挙権はないけれども。
市長に次いで市議会議長も挨拶されたが、この人もまた敬語の使い方を知らない上に
医師に対して上から目線で、大変わかり易く印象的に残る愉快なプレゼンであった。
さすがはわが町を代表する議員である。わたしには選挙権はないけれども。
たった3分のプレゼンでも人柄が出てごまかせないものである。
それはともかく、日頃連携している医師が集まる医師会の会に出るのは楽しいのだけれども、
例年リーガロイヤルホテルの料理とワインが苦痛で仕方がなかった。
2007年の7月、あまりにひどいワインを出すので、ついにブチ切れてソムリエを怒鳴りつけ、
このブログでこき下ろしたこともある。
大人数の宴会料理で、天才シェフの仕事に匹敵する内容を求めるのが無理なのは分かっている。
もちろん美味しい料理も中には出るし、2~3年前には上質なボルドーワインが出たが、
20年以上も進歩のない料理が毎年延々と続くのは耐えられない。
よって例年料理は少なくとも半分は残すし、ひどい時には前菜しか手を付けない。
ワインはほとんど飲まずに少しだけビールを飲んで、帰ってから飲み直す。
「あれ?先生ワイン好きなのにどうして飲まないの?」とよく言われる。
「わたしは外ではワインは飲みません」といつも答えている。
しかし昨晩は例年と違った。
例年メインの牛肉が硬くてパサパサでポテトを裏ごししたものの上に乗っており、
とても食えたものではないのだが、今年は部位の違う柔らかなもので、
10年ぶりにコースを完食してしまった。
しかも何と、ワインはブルゴーニュだったのである!!
医師会に入会して今年で15年、ブルゴーニュが登場したことは今まで無かった。
そしてまた例年は料理とワインをもったいぶって解説されるのだが、今年はそれもなかった。
どういう事情でそうなったか知らないが、医師会も変わればホテルも変わる。
結局のところ、主催者側からホテルにいろいろと注文をつけないとダメだということだろう。
昨晩だって参加者250人以上の大宴会だ。
料理とワインを分かった医師会の担当者が責任を持って、
大人数の参加者の満足度を上げるべく料理やワインを選ぶのが基本である。
もしも誰も逆らえない偉い人1人の好みに合わせて全員付き合わされるとしたら、
たまったものではないだろう。
1食1食を大切にすることがわたしの最近の生活の基本であり、
何より食を優先する結果こんなことを書くから、医師会では嫌われるのだけれども。
新年会の前の夜、第1回目のイブニングセミナーが医師会主催で開催された。
金曜日の夜20:30から、サンドイッチをつまみながら講師の話を1時間ばかり聴いて勉強する
というものである。
この企画はとてもいいもので、その気になればこの時間なら勉強会に参加しようという
熱心な医師も多い。
薬剤師会では100人くらい集まるし、わたしも演者を務めたことが何回かある。
実際一昨日は32名くらい参加者があった。
わたしも診療終了後に駆けつけて参加した。
もちろん夕食前だが食が大事なのでサンドイッチは食べないでお茶だけ飲んでいた。
感想を述べると、企画はいいが演者のプレゼン技術が最悪で、非常に退屈した。
いくら優秀な臨床医であっても、人の前で喋るのだったら、
プレゼンの基本を学ばなければいけない。
わたしが演者のオーベンだったら、ほとんどのスライドにダメ出しして作りなおさせる。
こんな大口を叩けるののも、わたしは大学院時代に世界的学者の教授から、
日々プレゼン方法についてたたきこまれてきたからである。
町医者でありながら、大きな学会のシンポジウム含めて年間20回くらい講演しているのも
その時代の修練の賜物なのだ。
一昨日の演者は、臨床医として真面目で優れた医師なのはよく分かった。
しかし、そもそもスライドの字が小さすぎて読めない。
基本事項を説明しないで各論を述べるから、専門外の医師には理解がおぼつかない。
若いころ研究に従事せず、厳しい上司に恵まれなかったことがバレバレだ。
蛇足だが、もう少し演者を厳選しないとこの勉強会に将来はないのではないか。
医師はみんな忙しい。
時間を割く以上、それに見合う何かがないと人は集まらない。
夜10時前まで付き合わされて、退屈だし腹は減るし、
仕方がないからスマホで「ねこあつめ」を見ていたら、
最後のレアねこである「ゆきねこさん」がやっとやって来た。
その貴重な画像をアップしておく。
夜の8時半から10時までの時間の中で、これだけは大きな収穫だった。