東京の半日 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ある新薬の発売記念講演会に招待されて、現在東京にいる。

ホテル・プリンス・パークタワー東京の部屋でこれを書いているが、
何より仰天したのは、眼前に東京タワーが見えるこのホテルの23階において、
UQ-WiMaxが圏外で使えないことである。

ここは大雪山の山中ではなく、東京のど真ん中である。
こんなところで使えないようでは、モバイルの意味をなさない。
UQ-WiMaxの会社の方、もしこの記事を読まれたら、何とかして欲しい。

仕方がないので、MacBook Airを有線LANで接続する、という不細工なことをしながら
この記事を書いている。
東京の芝は、電波的には田舎なのだ。

本日の午前の診療後、慌ただしく新幹線に飛び乗ってやって来た。
実は明日も忙しいので、日帰りしようかと思っていたくらいだが、
あまりに余裕がないので泊まることにした。
うちの教授とエレベーターで鉢合わせしたが、彼は日帰りすると言っていた。

ホテルの部屋のの窓からは、ライトアップされた東京タワーが目の前に見えていたが、
深夜になった今では、なぜか上3分の1だけ灯りがともっている。
これも節電のためなのか。

新薬発表の会は、さすがにメーカーも力が入っていて、400人規模の大きな会であった。
簡潔で明快な講演が3題あったあと、懇親会も大賑わいであった。

会を終えて大人しく部屋に戻り、携帯電話を確認すると、
大学のクラブの後輩(もちろん男性)から留守電が入っていた。

折り返しかけてみたら、「今東京のホテルにいるから、一緒に飲みませんか」と言う。
何でわたしが東京にいると分かったのか実に不思議だが、単なる偶然だったようだ。
場所を聞いたら、ここから10分の六本木のANAインターコンチネンタル東京にいるらしい。

プリンス・パークタワー東京から、ANAインターコンチネンタル東京までタクシーを飛ばし、
電話からわずか10分後に出会って2人で一杯飲んで、さっきホテルに帰還した。
東京は広いようで狭い。

講演会に話を戻すと、演者や座長の先生は第一人者ばかり、しかも知り合いばかりである。
この分野のわが国のトップの専門家、というのは数人で占められているのだろう。

懇親会では、主催の大メーカーの上級執行役員で営業本部長から挨拶を頂いたが、
こんな超エライさんでも実は数年も前から顔なじみだ。
元大阪支店長だった方だからよく知っているのだが、こちらも年を取ったということである。

講演会では、恥も外聞もなく400人の前で質問を投げかけてみた。
すると懇親会の場で、座長だったお馴染みの旭川医大の教授から、
「あの質問は、打ち合わせ会でも想定されていた質問です。
 きっと誰か聞くだろうと思っていたら先生でした」
と言われてしまった。

実は答えも分かった上で,他の誰からも質問が出なかったので聞いてみたのだが、
やはり想定質問の域を出なかったか。
400人を前にして奇抜な質問を飛ばす蛮勇はわたしには無いにしても、
敵も然る者だ。

ところでわが学会でつとに有名なワイン好きの先生に、元東大教授がおられる。
新幹線内でも、学術誌の代わりにワインの本を読んで勉強されている、という学者肌の先生である。

お公家さまのように高貴な先生で、現東大教授の師匠でもあり、雲の上の方だったが、
つい先日顔見知りになった。

今日の会でも最後にご挨拶されたので、懇親会の席でお話ししたら、
「来週から、ボルドーに行くんだよ」
と言われる。

どこのワインがお好きですか、とお聞きしたら、サン・テミリオンとのことだった。
ものすごく上品な先生なので、ひょっとすると「ピュリニーだよ」と言われるのではないか、
と期待していたが、かなり外れてしまった。

その人の外見と立ち振る舞いから、好きなワインを言い当てることは相当困難である。
きっとわたしもブルゴーニュ好きには見えないだろうし。