肥満の言い訳 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

本当は書くべきワインがまだ残っているのだが、今週は事務的な仕事が多くて手が回らないので
手抜き更新をしておく。

少し前にタレントの石田純一が肥満解消番組で
「太っている人は言い訳を用意している」
と言っているのを聞いて、なるほどな、と思ったことがある。

血液検査でいわゆるメタボと診断された患者に対して、生活指導で改善できることなど
ほぼ不可能であることは、経験のある医師なら分かりきっていることなので、
患者さんを怒らせては元も子もないから、「食事を減らせ」「カロリーが多すぎだ」
などと声高に言うことはない。

結局患者さんの立場に立ってクスリを出しておくことに落ち着くのである。
それを医者が指導もせずに金儲けでクスリを出し続けている、と思うのは
現場を知らない人の発想に過ぎない。

面白いことに、太っている人ほど
「私は食べていません」と言う。
みんながみんなこう言うので、わたしの横にいるベテラン看護師はいつも「くすくす」と
声を立てずに笑うほどである。

こんな患者さんに「食べるな」と言っても、元々少食だと思っているから
絶対に医者の言うことなど聞かない。
そこを論理的に説得しようとしても、ケンカになって患者さんを怒らせるだけなのである。

そして、患者さんからは必ず言い訳の言葉が続いて出てくるので面白い。
「膝が痛いので運動ができませんから」
「仕事を辞めて歩かなくなりましたから」
などというのが多いが、
「これ以上食事を減らしたらふらふらになって、栄養失調になってしまう」
なんていうのもある。
太っている人にこれを言われるので、いつも笑いをこらえるのに困る。

わたしも細い方ではないし、脂肪肝もあるから、何も肥満を非難しているわけではない。
ちゃんとメタボのガイドラインに沿って、医師としての業務上言っているだけで、
きっとわたしなど世間の大多数の医師より厳しく正しく正義を貫いている方だと思う。

今日新たに来られた患者さんが、こんな言い訳を言われて感心した。
「私、便秘がちなもので」
「はあ、そうですか(便秘だから太るわけでもないのだが・・)」
「便が出にくくて困るわけです」
「はあ(そりゃ便秘だからそうでしょうね)」
「だからいっぱい食べて便を出すんです」

わたしはこの方を説得して肥満を解消させる自信はない・・・