Simplified Pino Noir | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・セレーヌ(米国オレゴン)エヴァンスタッド・リザーブ・ピノ・ノワール 1999
購入日    2005年4月
開栓日    2006年2月20日
購入先    かわばた
インポーター アルカン
購入価格   6800円

オレゴンのピノ・ノワールである。

「全米の22州から集まった、業界トップ・クラスのソムリエ、レストラン経営者、輸入業者、
 小売業者達37人が、1998年、1999年、2000年の3ヴィンテージを、ドメーヌ・セレーヌと
 ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティのブラインド・テイスティングを行いました。
 その結果、ドメーヌ・セレーヌが全ヴィンテージにおいて、1位・2位を独占!」

【1999年】
1位:ドメーヌ・セレーヌ1999グレース・ヴィニャード(75ドル)
2位タイ:ドメーヌ・セレーヌ1999マーク・ブラッドフォード(75ドル)
2位タイ:ドメーヌ・セレーヌ1999イーブンスタッド・リザーブ(47ドル)(今回のワイン)
3位:ロマネ・サン・ヴィヴァン1999DRC(695ドル)
4位同位:エシェゾー1999DRC(495ドル)
4位同位:グラン・エシェゾー1999DRC(749ドル)
(ワイン・スペクテイター誌 2004・11・30日号より)

などとあるネットショップののHPに書かれている。
こういう記載を読むと、まずうさんくさいという思うのは、わたしが素直でないからか。
購入店のかわばたのHPにも同じことが書いてあった(今は消えている)。

ただし、上記の記事を載せているショップも、
「この記事、どうやらドメーヌ・セレーヌ自身が出してるみたいなので、
 ・出席者は誰なのか?
 ・どのような基準で選んだのか?
 などなど、気になる点は多いですが、でも、やっぱり気になるー!!」
とフォローしている。

ま、ネットショップのコメントは毎度いろいろ好き勝手に書かれているので、どうでもよい。
自分自身で確認すれば済むことだ。

このワインが本当に同じヴィンテージのDRCにブラインドで勝てるワインなのかって?
バカを言うのもええ加減にせ~よ、と笑ってしまう。
「イチョウ葉エキスで記憶力アップ!」という宣伝と同レベルのギャグとしか思えない。

Alcohoric Armadilloの某せんむや、ウメムラさんみたいに、自分の感性でそのワインの印象を
的確に表現される方が、どれほど飲み手の参考になることだろう。


さて、このワインは決して出来の悪いものではない。
開栓早々から、甘みのアタックが飲み手を魅了する。
何とも分かりやすい酒である。つまり、複雑ではないとも言える。

同じピノ・ノワールでありながら、構成要素がブルゴーニュに比べて明らかに少ない。
中間色が乏しく原色が幅をきかせている、画素数が少なく1つ1つのドットが大きい、
など、単純化された飲み物になっている。

ブルゴーニュと同列に論じられるからおかしいので、これはこれでTPOを考慮すれば
大受けするワインであると思う。

翌日にも力を失わず、精一杯の複雑さを表現していたが、残念ながら、
わたしの感性のレセプターは、もう2オーダー繊細なようで、この単純な味わいでは物足りない。

ワイン遍歴の終着点にブルゴーニュがある、とわたしは信じるが、
ワイン遍歴の終着点にピノ・ノワールがある、とは決して思っていない。

この良くできたオレゴンのピノ・ノワールを1本開ける歓びより、
クロ・デ・ランブレを飲み干したあと、グラスに残ったブーケを嗅ぎ分ける歓びの方が、
はるかに大きいのである。

ワインの神様は、かように不公平で、ワインの飲み手をふるいにかける厳しい存在なのだ。