遅ればせながら | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

読みました。今評判の ?「神の雫」。

読んだ動機は、ドイツ在住のため読めないnyari2さんに、どんなんですか? と聞かれたから。
それだけです。

日曜日に古本屋で1巻と2巻を買った。
どうせつまらんやろうと思っていたから、古本で十分と思ったのだが、どっこい読んだら面白い。
さっそく翌日、新刊の第3巻を買いに走ってしまった。
ちょっと恥ずかしい。

このアメブロのジャンルトップに、「神の雫」というブログがある。
それでわたしもこの漫画の存在を知ったのだが、このブログが実につまらない。
個人のやっているブログではなく、ギョーカイで交互に宣伝をしているようなブログなので、
何の参考にもならないし、まるでポリシーのようなものが感じられない。

だから、漫画の「神の雫」のイメージも悪かったのだが、
読んでみたら印象が変わってしまった。
あのブログは、マイナスイメージを増幅しているだけみたいな気がする。


神の雫 第3巻 食べても美味しい?

この漫画について語り出したらキリがなさそうだが、ちょっとだけ印象を書いてみる。

まず、この作者は自分が相当なワイン好きである。
知識量や経験は、わたしよりも明らかに上だ(あたりまえか)。
ワインの知識では、漫画「ソムリエ」の作者にも勝っていると思われるし、
「美味しんぼ」の作者の比ではない。
「美味しんぼ」の作者がワインのことをほとんど知らないのは、読んだらすぐ分かる。

そして「神の雫」の作者は、世界中のワインの中で、ブルゴーニュを至上のものと思っている。
明らかにイタリアワインよりフランスワインが好きで、ボルドーよりブルゴーニュが好きである。
この点はわたしとまるで同じ。

だがこの漫画が面白いのは、ちゃんと主人公とその相方の女の子のキャラが
魅力的に書けているからである、と思う。

第2巻と3巻の巻末にある、「ブルゴーニュのイチオシ生産者」というコラムは、
これからブルゴーニュを勉強しようかという人にとっては、大変参考になると思う。
こんな情報をあっけらかんと公表して欲しくない、という気もする。

だが、入門にはなっても、これを参考にしてブルゴーニュを買いまくる、という人物など
そんなに多くいるはずがない、とも思う。

ベートーヴェンの運命や第9、チャイコフスキーの悲愴、ドボルザークの新世界など、
いわゆる名曲と呼ばれるシンフォニーは、音楽にそれほど詳しくない人でも知っている。
まあ誰が聴いても分かりやすい。

シベリウスという作曲家の名前も有名で、交響曲第2番をよく聴くという人も多いだろう。
だが、シベリウスの交響曲第6番を愛聴してやまない、という愛好家はかなりマニアックである。
わたしもその1人なのだが、シベリウスの第6を評価するという人物の
音楽に対する感性は相当なものだと思う(これを自画自賛と言わずして)。

ブルゴーニュワインというのは、それと同じくらい大衆からは遠いものではないだろうか。
そのブルゴーニュを頂点に置く(とわたしは思う)「神の雫」という漫画、
わたしにはとても面白かったが、どこまでのワインファンに支持されるのだろう?

この漫画で絶賛されたシャトー・モン・ペラ 2001はあっという間に市場から消えた。
影響力大と言うべきだが、その市場規模はどのくらいなのか、分からない。

稀少なブルゴーニュのワインが、投機対象になったり、扇動された人々の取り合いにならないことを、
心から望む。