ルロアのスタンダード | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ルロア コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ 1996
購入日  2005年4月
開栓日  2005年6月2日
購入先  まるどら
購入価格 4990円

たかが地域名を冠したワインが、こんな価格である。
ルロアというネゴシアンは、やっぱりどうかしている。

たとえば、vinのsuzuさんもよくご存知の、ミシェル・グロや、
その弟ベルナールのグロ・フレール・エ・スールの最もベーシックなワインである
オート・コート・ド・ニュイ ルージュは、~1800円くらいで買える。

このワインのエチケットの意味は、グロのベーシックワインのレベルと同じようなものだろう。
ルロアの名前を冠しているとはいえ、はたしてその3倍もの価値があるワインなのだろうか。

これだけのお金を払えば、うまく探せば相当なブルゴーニュが買える。
実際、これより安いグラン・クルで、大当たりのワインもわたしは知っている。

保存状態、飲み頃などの条件は、すべて満たしている、と言っていい。
奥行きもあり、フィネスもあるがアクの強さはなく、
ほどよい酸味があって引き締まった味わいがある。

当然ながら、特級畑にしかない驚くべきブーケもなければ、
時間とともに移りゆくスペクタクルもない。

模範生のような、遊び心のないワイン。
だが、この隙のなさはどうだろう。
料理の引き立て役に徹した控えめな役割を知っているかのようだ。

ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウなどの名歌手の伴奏者として有名なピアニスト、
ジェラルド・ムーアと言えば、分かってもらえるだろうか。

開栓翌日もへばることなく、しっかりとした深い味わいが残る。
偶然なのか、ビーズ・ルロアの意図なのか、分からない。

これより安くて特徴のあるブルゴーニュは、いくらでもあることは分かっている。
こんな不経済なものを毎日開けるつもりもない。

ルロアの本領は何万円もするドメーヌもので、それらの価格は今やDRCを越えているのだ。
そんなワインとはまるで縁がないが、この1本には、ルロアらしさを感じさせる何かがある。

一泊10万円以上する赤の5つ★ホテルの、最安値の屋根裏部屋に5000円で泊まった気分。