2023 グランプリファイナル 感想 | 閉じた眼

閉じた眼

40年以上愛好するフィギュアスケートに関する自己流観戦コラムです。
(趣味で集めた情報を提供することがありますが、最新の情報でなかったり正確でないこともあります。あらかじめご了承ください)

グランプリファイナルが終わりました。

 

グランプリファイナルが終わると、シーズンの前半が終わって、後半戦が始まるという感じがします。

 

ところで、このグランプリファイナルが終わって2日ほどたった夜に、奇妙な夢を見て、

 

一体誰かもわからない人々が集まって、フィギュアスケートのクイズのようなことをやっていて、

 

10年間のアイスダンスのチャンピオンの名前を言うとか、何とかいろいろな問題が出てきて、

 

そこでふと出てきたのが、ロドニナ&ザイツェフ組。

 

1980年レイクプラシッドオリンピックのペアのチャンピオンで、女性のロドニナさんは、途中でパートナーを変えながらも世界選手権10連勝した方で、今ではロシアの下院議員と政治家になり、 ソチオリンピックでは聖火リレーのトリを務めていました。

 

ロドニナさんは今でも、何かフィギュアスケートの話題が出てくると何かコメントをしてきて、いかにもソ連時代に活躍した選手という保守的なイメージですが、その一方で、当時ソ連のペアというとジュークコーチという元軍人らしいコーチが全て管轄していて、ロドニナさんも元々はこのコーチについていたようなのですが、レイクプラシッド・オリンピックの時には若きタラソワさんがコーチを務めていました。当時のソ連ではとても異例なことだったのではないかと思います。

 

グランプリファイナルには全く関係ない話から始めてしまいました。。。

 

さて、グランプリファイナルですが、私はいつも試合の演出にも興味を持って注目していますが、

 

今回行われた新しい試みとしては、滑走のグループが始まる時のカウントダウン、

 

これって、他の試合でも行われるようになりますかね?

 

私は、個人的にはあまり、また見たいとは思わないですが。

 

それから、目に付いたのは、直前練習の時にかかる音楽。中国風の音楽が、かかっていて、なんかいいなと思いました。

 

直前練習の時には、滑走する選手の紹介がされるのが通例で、音楽はかかるときとかからないときがありますが、音楽かかっていても、あまり印象に残らないのがこれまででした。

 

開催する国の音楽がかけるというのは、なかなかいいなと思いました(しかしながら、今シーズンの世界選手権は、カナダですが、カナダを思い起こさせる音楽って???、ちょっと思いつきません)

 

選手にとっては、耳につく音楽が流れるのは、集中できなくて困る、というのがなければ、定着するといいなと思いました。

 

それから、ライブ配信の最初にファイナルだけ、ホスト国作成らしいアニメーションが流れていて、

 

ペア王国中国らしく、デススパイラルのアニメーションが出てきましたが、中国ペアというとスロージャンプが高くて大きいので、スロージャンプのアニメーション作ってほしかったなとか、デススパイラルだったら、これも中国ペアの十八番ではるフォワードアウトサイドにしてほしかったなとか、

 

どうでもいい注文つけて、楽しみました。

 

それから、表彰式では、選手の紹介時に、その選手がフリーで使った音楽を流すのが定番ですが、それをやらなかったのは、なぜでしょうかね?

 

前置き長くなりましたが、感想とか印象に残った演技などです。

 

全種目全滑走をテレ朝動画の配信で見ました。3日目だけ、都合つかず後追いで見ました。

 

クローバーペア

ペアは予想通り、ドイツハーゼ&ボロディン組が優勝!

 

フリーはクリーンな演技とは言えませんでしたが、ショートでは勢いを感じさせる演技でした。

 

そして、今シーズンは不調?と思われた、世界選手権銅メダリスト、イタリアコンティ&マッキ組、ここでやっと調子を取り戻して、会心のフリー演技は、グランプライファイナルのペアの演技では最も印象に残る演技でした。

 

そして、アラフォーでトップ争いをしてきた驚異のカナダステラート=デュデク&デシャン組、彼らのフリーは、衣装も素敵で、今シーズンペアの中では、一番見ごたえのあるプログラムかなと思いました。シーズン後半に向けて頑張ってほしいと思います。

 

ジュニアでは、メテルキナ&ベルラヴァ組の優勝は予想通りとして、

 

JGPシリーズで彼らの演技をまともに見た記憶があまりないのですが、

 

今回ショート、フリーと見て、特にショートのサマータイム、ジュニア離れした演技で、とても楽しめました。彼らは年齢的にはシニアの試合に出られるので、シーズン後半のヨーロッパ選手権や世界選手権に出場してくるのか、注目されます。

 

ジュニアのペアではもう一組印象に残ったのが、順位的には6位に終わったシェロバ&ホブタ組でした。フリーでは、ジャンプ系はすべて2回転だったのですが、どの要素も綺麗で、隙が無い印象でした。彼らはJGPシリーズの時にはトリプルツイストもやっていたのですが、ファイナルではショートもフリーも2回転でした。3回転をマスターしたら、すぐにグッと上位に行きそうな気がするのですが、練習とかもままならない環境かもしれないし、、何だか応援したくなるペアです。

 

ヒマワリアイスダンス

予想通り、アメリカチョック&ベイツ組の優勝!

 

ピンク・フロイドのフリーダンスが光っていました。

 

しかしながら、個人的な好みの問題なのかもしれませんが、

 

音楽の影響が大きいのかもしれませんが、

 

鳥肌が立つほどの素晴らしい演技と思えたのは、

 

カナダギレス&ポワイエ組の嵐が丘(坂本龍一)でした。

 

坂本龍一さんの音楽の力と、彼らの演技を見ごとにマッチしているように見えて、のめり込んでみてしまいました。

 

彼らのリズムダンスも好きです。いつも毎シーズン、他のカップルがやらないような選曲、衣装、トータルパッケージで独自性を出してくるのが、いいなと思うし、毎シーズン楽しみにしています。

 

(でも、あの光るジーンズは、変えてほしいけれど)

 

そして、この数シーズン、ファンとは言えないし、いつもピンと来ないプログラムばかりという印象のイタリアギニャール&ファッブリ組ですが、

 

リズムダンスでは、とてもイタリアらしい精巧な演技を見せてくれたような気がしました。イタリアというと何となく大らかなイメージがありますが、その一方で伝統的に職人気質で綿密に完璧を目指して構築していく人たちもいて(古くはミケランジェロとか、ストラディヴァリウスとか、ピアニストのポリーニとか)、そうした人たちの緻密さに通じるものを感じました。

 

一方、フリーは、ラブラブの恋人たちの戯言を延々を聞かされているような、退屈さを感じるプログラムでしたが(以前、シニチナ&カツゥラポフ組にもそんな印象の演技があったのを思い出しました)、

 

北京オリンピックの頃に、私生活でもカップルのチームの方がムードのあるアイスダンスができるとかなんとかいう話が出て、ネットで賛否両論でしたが、

 

うまくいっているカップルの幸せそのままの演技は、はた目には退屈なような、うまくいっていないカップルの方が緊張感が出て、はた目には面白いような。失恋とかの方が、胸に迫る演技ができそうな気がします。

 

メダルは逃しましたが、イギリスフィアー&ギブソン組のリズムダンス、これまで何度か見ていて、今回はツィーズルにミスがあったりしましたが、ユーリズミックスのスィートドリームの雰囲気がとても出ている、歌っているアニー・レノックスの顔が思い浮かぶような演技でした。

 

カナダボードリー&スアアンソン組のフリーダンス、ノートルダム・ド・パリも素敵でした。この曲で緑の衣装を着た選手はいなかったと思うのですが、ピッタリです。

 

ジュニアのアイスダンスは、JGPシリーズで強かったネセット&マルケロフ組が優勝しましたが、

 

私には、やっぱり印象薄で、

 

印象に残ったといえば、トカチェンコ&キリアコフ組のゴーストダンス、

 

そして、フランスフラジ&フルノー組、女性が印象的で、ちょっと私の好きなフランス女優、エマニュアル・ベアールに似た雰囲気がある気がするのですが、演技も今回とても印象に残りました。このあとユースオリンピックや世界ジュニアでまた見れる機会があるのを楽しみにしたいです。

 

赤薔薇女子

日本坂本花織選手、グランプリファイナル初優勝!!

 

日本吉田陽菜選手とダブル表彰台!

 

拍手拍手拍手拍手拍手

 

坂本選手は、まさに世界女王の演技でした。

 

とはいえ、ショートのルッツはエッジチェックされるべきだったという意見があったり、

 

今シーズンのプログラムは無難で面白みに欠けるという意見があったり、

 

ですが、

 

フリーは、今までの彼女にないセクシーな演技が見れたなとは思います。

 

吉田選手も、フリーではトリプルアクセルを決めてきました。その勢いのまま全日本に行けば、世界選手権出場も夢ではないかもです。

 

ルナ・ヘンドリックスは、GP中国大会では体調不良もあったということなのですが、

 

全体的に、GPアメリカ大会のときのような勢いがなかったかなと思いました。

 

ショートもフリーも、すごいイケてるプログラムと思うので、シーズン後半にいい演技を見せて、念願のヨーロッパ選手権掴み取ってほしいなと思います。

 

ニーナ・ペンザローネの演技も、見た目的に楽しめるところが十分ありました。氷上のファッションモデルと勝手に呼んでいます。

 

アメリカイサボー・レヴィトのショートは、胸の痛む演技でしたが、フリーでは一転ノーミス。フリーの衣装を変えたのは正解でした。白鳥をイメージさせる衣装は、曲にもテーマにも合わないと思っていました。

 

ジュニアでは、日本島田麻央選手が二連覇、こちらも日本日本ダブル表彰台。

 

フリーで、トリプルアクセルと四回転トウループ、両方決めたのはすごいです。シーズン中4回転には苦労している感じでしたが、決めてきました。

 

坂本花織選手が今シーズンは全日本3連覇と世界選手権3連覇を目標にしていますが、

 

世界選手権より全日本の3連覇が難しいかもしれません。

 

演技的には、日本上園恋奈選手が個人的には一番気に入り、印象に残りました。コーチの樋口美穂子さんの振付のファンなので、彼女の生徒は大抵気に入ってしまいます。上園選手はそのなかでも、長い手足を活かした表現と、独特な雰囲気がジュニア離れしていて、これから楽しみです。

 

出場すると聞いて、心配した日本中井亜美選手、腰の状態は改善しているという情報もあり、笑顔も見れたのでよかったとは思いました。

 

セキセイインコ青男子

グランプリファイナルは、アメリカイリヤ・マリニンデーとなった感じです。

 

ショートの4回転アクセルは、彼の思惑通り度肝を抜きました。

 

私もルールをあまり把握してはいませんでしたが、

 

4回転アクセルを飛んで速報にバツ印が出た時には、

 

マリニンは、得点にならないと知って飛んだ??

 

と困惑しましたが、その後でトリプルアクセルを飛んだので、

 

あーあー、そういうこと? ソロジャンプとしてはOK?

 

(女子ジュニアで、ショートでトリプルアクセルが飛べない回避策として、コンビネーションに入れるという対策がありますが、ジュニアの場合ソロジャンプは決められているので、この手は使えないのだとか、いろいろ納得していました)

 

ただ、4回転アクセルと速報バツが強烈で、演技は全く印象に残りませんでした。

 

フリーも同じで、4回転をバンバン飛んでいるのですが、何だか感覚麻痺した感じがしてしまいました。

 

数年前、ネイサン・チェンが4回転5本飛んだときは、すごい衝撃がありましたが、

 

マリニンの4回転はあまりにも簡単そうで、あまりすごさを感じず、へー、へー、って感じで終わってしまいます。

 

私的には、伊藤みどりさんのトリプルアクセルの方が、今見てもスゴイと思います。

 

思うに、回転があまり早いと、ジャンプの見映えが落ちるような気がします。回転が遅い方が見ごたえするような気がします。

 

マリニンのような選手が出てくると、ジャンプは沢山回ればいいというものではないという価値観になってこないだろうかなどと思ったりしました。

 

ショートでマリニンの後に滑った、フランスアダム・シャオ・イム・ファは、おそらく4回転アクセルショックで、自分の演技ができなくなってしまった感じですかね。

 

そして、演技の出来と共に、採点がどうなるのか、気をもんだ日本宇野昌磨選手ですが、

 

演技の印象としては、ショートもフリーも私には印象薄でした。こちらも感覚麻痺したような。

 

本人もNHK杯の方がよかったと言っていましたが、私も特にフリーはNHK杯でやっとメッセージが届いたような気がしていたのが、また空振りになった感じでした。

 

フリーで一番印象に残ったのは、日本鍵山優真選手でした。音楽は、使われ過ぎ感のあるボッソの曲ですが、非常に綿密な表現が目につきました(これも、イタリアコストナーの指導の成果?)。

 

そして、体調不良でフリーの前の公式練習を欠席した日本三浦佳生選手、フリー終わってから、キスクラで息が上がったままで、顔色も悪そうで、その中で、よくあれだけ4回転ジャンプ飛んだなという感じでした。全日本では体調を万全にして臨めるといいですが。

 

フランスケヴィン・エイモズの自身振付のボレロは、いったい何が起きたのか? ヨーロッパ選手権、世界選手権では素晴らしい演技を見せてくれることを期待したいですね。

 

そして、ジュニアは、日本中田璃士選手が、ショート4位から巻き返して優勝!

 

ショートを見た時は、やっぱり韓国勢かという感じでしたが、フリーではすっかり話が変わっていました。

 

中田選手は、全日本ジュニア2位でしたが、これで世界ジュニアの代表に大きく一歩前進した感じですかね。全日本で昨年のようにショート落ちさえしなければ。。

 

去年から目をつけていた、アダム・ハガラの銅メダルも嬉しいです。ドリーム・オンのフリープログラム、ずいぶん様になってきた感じもしました(昨年は選曲だけで座布団一枚な印象でしたが)

 

グランプリファイナルが終わると、シーズン後半戦スタート、

 

選手権への各国の代表争いがヒートアップ。日本は来週全日本!

 

ところで、ファイナルでドイツは2つのメダルを獲得したのですが、ドイツ選手権のエントリーはシングル5選手ずつ、ペア3,アイスダンス3という少なさ。以前聞いたことのある話では、ドイツ人の親は子供が芸事を極めるのを好まないということで、バレエダンサーとかでもプロを目指して続けていくのは難しいとのこと。なので、ドイツでフィギュアスケートをやるのは、お金持ちか、世界トップを目指せるレベルかという所なのでしょうか? がつては、GP大会のホストもやっていて、世界チャンピオンやメダリストを多く輩出した国の選手権とは思えない実状。でも、こんなものなのかもしれませんね。