グランプリシリーズ第5戦が終わりました。
いつものようにテレ朝動画で、ライブ、アーカイブで見たのですが、
今回の大会を見ていて、ヘルシンキで開催された2017年世界選手権を思い出させることが何度か、
同じフィンランドでも今回の会場はエスポーで、違いますが、
一つは、音楽。
大きな大会では、決まってその大会のテーマ曲のようなものが作られ、大会中流されますが、
その中で記憶に残っているというと2017年世界選手権と、2023年世界選手権でジャッジ紹介時に流された無国籍風音楽。
2023年の方は、音楽的に興味を引くものがあった一方で、
2017年のヘルシンキ大会のテーマ曲は、音楽的には好みではないはずですが、なぜか記憶に残り、口ずさめるくらいで、
その後、フィンランドで行われる大会で再利用されることもあったので、
そのたびに、2017年初めて観戦した世界選手権のいい思い出を思い起こしまます。
もう一つは、また音ですが、鳴り物。
2017年の世界選手権は、初めてヨーロッパで開催される試合を現地観戦して、
会場の雰囲気が日本とは違って、いろいろなことが記憶に残っています。
その一つが、鳴り物を持ち込んでいる観客がいて、割と近くに座っていたので、手を上げて慣らしているのを何度か見ました。木製でできていて、カタカタとなるのですが、音的には応援グッズとかで売っている鳴子みたいな感じですが、形がヨーヨーみたいな感じに伸びて丸まるようなもので、、、
その時の音と同じ音が、何度か試合中聞こえました。
なんだか、あの時現地でスタンド席に座って観戦したときの雰囲気を思い出しました。
それから、日本のファンでどのくらい気づいている人がいるかどうかわからないですが、
最前席に、ヨーロッパの試合でよく見かけるピンクのファーコートを着た若い女性観客二人連れ、
いつから見かけはじめたのか記憶が不確かですが、2019年のGPロシア大会にはいたような、
最初は顔つきが似ていて双子かと思いましたが、今回顔がよく見えて、似ていないと気づきました。
そのうち、見かけなくなったら、「あの二人はどうしたのだろう?」と思う人が世界中あちこちで出てくるのでしょうかね。
どうでもいい話から始めてしまいましたが、
いよいよファイナルも近くなってきたグランプリシリーズ第5戦フィンランド大会での感想、印象に残った演技などです。
男子
今回は、男子から競技が開始するスケジュールで、
これって、最初にメインディッシュが出てしまったという感覚におちいったのは私だけでしょうか?
それだけ、男子はいろいろな国から強い選手、見どころ選手がワンサカいて、一番見ごたえがある種目と個人的に思います。
最初にスケジュールしたのは、開催国フィンランドに強い選手がいないというのもあるかもしれませんが、最初にしたことで日本では夜のゴールデンタイムにライブで見れる時間帯になったというのもあるのかどうか、、後者はあまり関係ないですかね。
でも、そのおかげで朝型の私でも、フリーは所用で後追いとなりましたが、ショートはライブで観戦することができました。
まず、で、ノービスの頃から切磋琢磨してきたライバルであり親友である三浦選手と佐藤選手の激突。
優勝したのは三浦選手でしたが、演技の印象としては佐藤選手のひたむきさに心を動かされました。
フリーはライブで見れず、ジャッキー・ウォン氏のツィートだけ見て、
「駿君が優勝するべきなのでは!?」
と強く思いましたが、あとで実際の演技を見て、三浦選手の僅差ですが、PCSの得点差で優勝できたのは納得はできました。
音楽表現という点では、佐藤選手の方が真摯に取り組んでいるように思える一方、
三浦選手は、とにかく「オレ表現」という感じで、どんな音楽であれ衣装であれ関係ない、とにかく「オレオレ」という押しの強さがあります、
この押しの強さって、人の目を引くところがあって、フィギュアスケートでも例外ではなく、表現者として必要な部分かなと思います(偉大な芸術家は偉大なエゴイスト=自論)。
三浦選手の押しの強さと佐藤選手の音楽表現の深堀りを併せ持ち、さらにパワーと洗練さを増幅しているのが、ケヴィン・エイモズかなと思います。
さすがに、GPシリーズ2戦でノーミスは困難だったかと思いますが、存在感は十分、銅メダル以上だったと思います。
この試合で、つくづくフィギュアスケートのPCSは無意味と感じたのは、
あの二人の演技に、PCS6点台、7点台、どう考えてもおかしいです。
イワン・シュムラッコは、反戦をテーマにしたプログラムを作り続けるのは、どうかなと思いつつも、
(状況はお察しするけれど、戦争ないその意味で恵まれた他の国から出場する選手もそれぞれ苦労して試合に出ているのをかき消してしまうような、何となくフェアでない気が私はしちゃうんですよね)
ショートもフリーも魂の演技という感じで、心が動かされるものがありました。
ジャンプのミスがありましたが、それでもPCS最低8点台が並ぶべき、少なくともコンポジションとパフォーマンスは、8点台後半でおかしくないと思うのですが、どーでしょう??
そして、トリプルアクセルも4回転もなりレヴァンディも、大技がない分表現で全身全霊の演技も、とても見ごたえがありました。
私がジャッジだったら8.5以上は与えたいとおもうんですけれど、6点台や7点台、どう考えても納得いかないです。もちろん、大技がない分、大技を持っている選手より迫力に欠けるという面はあるかもしれませんけれど、それでも、6点7点はおかしくないですか!???
それから、今回まったくノーマークだったマティオ・リッツォ、全く期待していなかったのですが、フリーの演技には感動(コレオグラフシーケンスがカウントされないという珍事がありました、ジャッジは予定演技構成を見ていないのでしょうか? まあ、確かに本来のコレオの箇所、コレオと認識された箇所、予定演技構成を知らないものにはどっちがどっちか分かりにくい部分はあり、もともとトランジションに細かい振付が入っているとトランジションがコレオに見えてくるのも自然のような)、それ以上にショートがとてもユニークで面白いプログラムと再認識させられました。ショートの演技は初めて見たわけではなく、最初は特に印象に残らなかったのですが、なんだか見れば見れほど味わいが出てくるプログラムだなと思いました。
そして、プログラム的に面白いと思ったのは、今回最下位とはなりましたが、マカール・サンツェフのフリー。日本文化をテーマにした音楽を組み合わせて使っていましたが、北欧人の空手選手を見るような不思議な味わいに溢れていました。
個人的ファンのジミー・マ様。ショートでのちょっとおちゃらけた表情も見せた素敵な演技から、フリーではいいところなし(ネットで彼にメンタルコーチをつけた方がいいという書き込む人も。大きなお世話!)。彼のフリーのPCSが6-7点台は、ファンの私でも納得です。フリーは残念だったけど、キスクラでは笑顔も見せていたので安心しました。
さて、これでファイナル行きは、
アダム・シャオ・イム・ファ、イリヤ・マリニン、三浦佳生が決定!
ケヴィン・エイモズもほぼ確定、NHK杯でどういう結果になろうとも3選手が彼の上になる事は考えにくい(エイモズが外れるNHK杯のシナリオ:宇野鍵山以外の選手が優勝+鍵山選手2位で260以上+宇野選手3位で260以上のスコア、考えいにくい・・・)。
残りは、どう転んでもとなりそう。。
ペア
意外な結果となりましたが、嬉しい結果でもありました。
今シーズン新チームでのデビューシーズンの、ハーゼ&ボロディン組が優勝!
ありえるとは思っていたものの、実際そうなると長年応援してきたハーゼと、ジュニアで姿を消してしまってどうしていたのだろうと思っていたボロディンが組んで、GP初優勝は嬉しいです。
しかしながら、演技はというと印象には残らなかったという感じです。
キスクラに座るコーチが、ペアのパブロワ&スヴィアチェンコ組と同じで、
ロシア人コーチみたいなのですが、
ハーゼはジーゲルトと組んでいた時は違うコーチだったような、ボロディンの元コーチなんですかね、
確実なパフォーマンス重視のコーチなのか、何なのか。。。 もちろん、試合で結果を出すには重要なことではあります。
これから、確実さに加えて、表現+個性が出てくるといいかと思います。
印象に残ったといえば、ショートではカム&オシェア組のエデンの東、フリーではパン&ワン組の魔法使いの弟子が一番でした。
パン&ワン組は、この大会ではメダルは難しいと思っていましたが、ショートで第1滑走で1位となり、正直驚きました。他の組のミスに助けられたとはいえ、中国大会ではすべてのエレメンツが何だかぎこちなかったのが、別人のようにスムーズにミスなく終えていてビックリしました。
そして、フリーでは一番見ていて楽しめる演技をしていたのに、得点が伸びず4位という結果にさらにビックリ。フリーでサイドバイサイドジャンプで1つはコンビネーションかシーケンスにしなければならないところ、2つとも単発ジャンプにしてしまい、2つ目のダブルサルコウが重複扱いになってしまったという所がありますが、ダブルサルコウの基礎点が元々低いので、それは承知の上やっていたのかもしれません。全体的にGOEが低く抑えられていたと思いました。
ところで、女性のパンは、2014年ソチオリンピックから出場していて大ベテランのように思えていましたが、まだ26歳、ペア選手としてはまだまだ若い事に驚きました。ハオと組んでいた頃は、子供という感じだった彼女が、すっかりウーマンになっているのが、演技の随所に出ていた感じです。
エデンの東は、町田樹さん以来、多くのスケーターに滑られている曲ですが、緑の衣装というのは見たことなかったです、大抵、白とか青だったような気がします。しかしこの音楽に緑が合うと発見しました。衣装だけでなく、カム&オシェア組の演技も真摯な想いが伝わるような素敵なものでした。
ペアのフリーの前半4組は、リフトのミスが相次いで、残念でした(やっぱりフィギュアスケートって、ミスが伝染する競技何でしょうかね)。特にマッキントッシュ&ミマール組は、リフトの最中に男性が転倒という、幸い女性は頭を打ったりせずに、演技を続けられましたが。この女性のマッキントッシュさん、見た目的に、カナダの選手ですが、アメリカンガール的なエネルギッシュでありながら金髪で美しさもあるのが素敵で、応援したくなる選手だったのですが、この転倒がトラウマにならなければいいと思います。
女子
坂本花織選手、イチイチ達成&ファイナル確定!
調子は、カナダ大会に比べると盤石ではなく、少しミスもありましたが、
ミスもありつつ優勝する女王の大原則をやり切ったかんじでしょうかね。
住吉りをん選手とのワンツーも
住吉選手は、4回転は決まりませんでしたが、フリーの演技は前回より1つの作品としてのまとまりがあったように思いました。
住吉選手は手足が長いので、ポージングとか上手くはまれば見栄えがする一方で、ハマらないと小柄な選手より印象悪になるところが、諸刃の剣かななんて思いました。
そしてフリーのヒーローはアンバー・グレン、トリプルアクセルは決まりませんでしたが、それ以外をすべて決めて、フリーでは2位、ショートから大逆転果たしました。彼女も大柄で見栄えのする選手で、しっかりとした意思、メッセージ力を持って演技するところが魅力で、好きなタイプの選手です。アメリカ以外の土地では力を発揮できないイメージがありましたが、国際試合でもいい演技が見れて嬉しいです。
そして、北京オリンピック以降低迷が続いたユ・ヨン、ショートで復活の兆しが見受けられました。これから、上り調子になっていけばいいと思います。
さて、女子は不思議なことが起きていました。
フィンランディア杯でのビデオを見て印象に残った選手と違う???
プログラムも確か、ショートがジュ・シ・マラード、フリーがピアソラだったはずが、
違っていて、
フィンランディア杯の事を書いた過去ブログに貼り付けたビデオは無効になっていて、確認できず、
YouTubeで改めて検索してみたら、やはり私が、「ネラ・ペルコネン」と思っていた選手は、別人だったようでした。
あれは、誰だったのか、、、後で調べたいです。
さてファイナル行きは、
坂本花織、イサボー・レヴィト、ルナ・ヘンドリックス、吉田陽菜が確定
ベルギー2選手ファイナル行きとなれば歴史的事件といえるけれど、どうでしょう。
今回2位の住吉りをん選手は、世界選手権銀メダリストのイ・ヘインがNHK杯優勝するとファイナル行きが黄色信号となりますが、
今シーズンGPシリーズ女子は荒れ模様なので、NHK杯でも何があるかわかりません。
アイスダンス
表彰台は予想通りでした。
しかし、優勝したチョック&ベイツ組のキスクラでの浮かない顔が印象的でした。
おそらく、ファイナル優勝を狙う彼らにとっては、ライバルたちのスコアを知っていて、それに比べると低いと思ったのではないしょうか?
そして、フリーダンスは意外にもジャッジ別のスコアでは、2位のボードリー&スアアンソン組を1位としたジャッジが9人中6人でした。
6点満点時代の席次システムによる順位だったら、ボードリー&スアアンソン組が1位となっていたわけです。
私は、チョック&ベイツ組のピンク・フロイドプログラムのファンで、今回は衣装もすてきと再認識、いかにもプログレというイメージで、どちらかというとピンク・フロイドというよりキング・クリムゾンという感じもしましたが、キング・クリムゾンこそがプログレの本流と思っている私目には、何の問題もありません、
とはいえ、ツィーズルでチョックが傾くようなミスがあったり、全体として少しぎこちない部分もある演技ではありました。キスクラでの浮かない顔は、彼らとしては満足のいく演技でなかったからだったのかもしれません。
一方ボードリー&スアアンソン組のノートルダム・ドゥ・パリは、使い古された選曲で新鮮味はないとはいえ、ボードリーのエスメラレルダそのものといえる衣装や見た目、淀みのない演技、優勝してもおかしくはないと思いました(ボードリーが見るからにエスメラルダである一方、男性のスアアンソンの役柄はなんだろうという小さな疑問が、体型と姿勢からカジモドでないし、衣装からフロロでもフェビュスでもない???ジプシーの仲間的設定?)。
トップ2に勝るとも劣らない印象をフリーダンスで残したのは、トゥルッキラ&ヴェルスルイス組とキャリエラ&ポノマレンコ組でした。
トゥルッキラ達のフリーダンスは、今回初めて見ましたが、音楽は普通のポピュラーソングという感じで、振付がコンテンポラリーダンス風で、北欧の家具を思わせるようなシンプルでオシャレな振付て、見れば見るほどハマっていくものがありました。次回、NHK杯でも見れるので楽しみにしたいです。
一方、キャリエラ&ポノマレンコ組のパヒュームは、今回も感情表現が圧巻。特にリンクを対角線に進むステップシーケンスの部分、ポノマレンコが香水のためには殺人も厭わないような主人公になり切っていて、怖いものも感じるような熱演でした。
フリーダンスは、他にもタンゴ、ロミオとジュリエット、シカゴ、いいプログラムと演技が続きました。
一方リズムダンスは、ムラスコワ&ムラゼク兄妹が私の中では独壇場でした。
ジュニアでは圧倒的な存在感だった彼らもシニアにあがると何だか影が薄くなったような気がこれまでしていて、本大会でもノーマークでしたが、
今大会のリズムダンス圧倒的でした、
フリーではちょっとミスが出て、順位を落としましたが、何といってもムラスコワさんは17歳、
成熟が要求されるアイスダンスで稀なるティーンエイジャーなので、この先頑張っていってほしいです。
アイスダンスのファイナルは
で決まっているので、予想も何もなしです。
さて、並行して行われた全日本ジュニア、優勝は男女とも順当でしたが、
私的に嬉しかったのは、男子で西野君が全日本行き決定、
また、表現は素晴らしいけれどジャンプが、、、の周藤集選手が、3位に踏みとどまったのはよかったと思います。
女子も、注目している上園恋奈選手が3位に入ったのが嬉しい一方、
中井亜美選手の結果とその理由には胸が痛くなりました。
ノービスの選手とシードの島田麻央選手を除くと、中井選手は10位で全日本推薦8名に入るはずですが、スケート連盟は島田選手を含めた7名の推薦にとどめることを決断。
これには、いろいろな反応がネットでありましたが、
どちらにしても、中井選手はこの先も選手生活長いし、来シーズンもジュニア継続なわけだから、
体のケアを第1優先にしてほしいと思います。
痛め止めとか一時的な治療とかでジュニアグランプリファイナルとかにも出ようとしないでほしいと、個人的には思います。
今週末は、いよいよGPシリーズ最終戦!
今年も現地は行かずテレビ観戦ですが、いい演技がたくさん見れることを期待します。
宇野選手、闘争心戻ったかしら???