羽生選手の強みとして、フリーの後半に2回コンビネーションで飛ぶトリプルアクセルがあります。羽生選手はトリプルアクセルでGOE満点をしばしばとる得意のジャンプで、その中でもフリーの後半のトリプルサルコウと組み合わせた3連続ジャンプは、後半に飛ぶため基礎点で15点近くあり、GOEを加えて16点を稼ぐ大きな武器のジャンプです。
羽生選手にどんどん迫っている宇野昌磨選手は、さらにこの三連続ジャンプの3つ目のジャンプをサルコウでなく得意のフリップにすることで、さらに高得点をあげています。
さて、このジャンプコンビネーションでは、トリプルアクセルの後ににくるりと1回転飛び、そのあとトリプルサルコウやトリプルフリップにつなげていますが、私には、この2番目の1回転がナゾでした。
この1回転、以前は「ハーフループ」と呼ばれていたと思うのですが、いつの日からか、日本の解説者は一斉に「シングルループ」と呼ぶようになりました。
しかし、実際にはこのジャンプは1回転しているので、「ハーフループ」という呼び方は妥当ではありません。といっても「シングルループ」というのもおかしい。なぜならループジャンプは右足で踏み切って右足で着氷しますが、羽生選手も宇野選手も左足で着氷して、次のトリプルジャンプにつなげています。
ジャッジのスコアシートを見ると以下のように1Loとあります。
3A+1Lo+3S :3Aは、トリプルアクセル、3Sはトリプルサルコウ、1Loはシングルループ。
これでは、本当のシングルループと区別がつかないのではと思いましたが、Wikipediaにハーフループはループジャンプと同じ踏切りで、1回転して逆足のインサイドエッジでランディングし、ISUジャッジングシステムでは、シングルループと同じ点数がつくという記載も見ました。
a full-rotation jump with a loop entry but landed on the back inside edge of the opposite foot. When performed in the middle of a combination, a half loop is worth the same as a single loop under the ISU Judging System.
ツィッターなどでは、3A+1/2Lo+3Sという記載も見かけます。実際にフィギュアスケートをやっている人には、ハーフループという呼び方がなじみがあるのかなという感じです。
ではなぜ、ISUのスコアシートには1Loと記載されているのか??
もやもやが消えないので、今日ついに、ISUのテクニカルハンドブックをダウンロードしてちょっと読んでみて謎が解けました。
フィギュアスケートのジャンプのランディングは、一律右足後ろ向きアウトサイドエッジなのですが、この規定によると、コンビネーションジャンプの最後のジャンプ以外は、反対の足で着氷しても可となっているのです。なので、ISUの採点システムでは、ハーフループは、シングルループの逆足着氷という解釈なのでした。
なので、このルールに従えば、トリプルトゥループを逆足で着氷してトリプルサルコウにつなげることも可能ですが、やっている選手はいないです。
日本人は几帳面なのでISUの採点システムに沿ったジャンプの名称を言っているのだと思いますが、フィギュアスケートのジャンプの名称としては、ハーフループが正しいような?
なんというか不思議なジャンプです。