『〇〇区〇〇町3丁目!〇〇区〇〇町3丁目!』

 

あまり呼ばれない地区が無線で流れました。

 

当時、僕はタクシードライバー。

 

都心からお客さまを降ろした場所が、たまたまそこでした。

 

『137、5分』(※中和田は5分で行けますという応答)

 

無線で応えました。

 

ラッキー!!こんな都心から離れたところで仕事にありつけるなんて!!

 

 

 

 

行くとマンション下に女性が2人、既にスタンバイ。

 

1人は苦しそうにお腹を抱えている。

 

誰がどう見ても妊婦さん。

 

乗り込むなり、お母さんが泣くような大きな声で僕に言う。

 

『娘が破水始まっているんです!!すぐに〇〇病院に!!』

 

娘さんは『はぁはぁ…』と苦しそう。

 

 

 

 

乗った途端に緊急事態。

 

しかも普段走行している都心、港区・中央区・渋谷区ではない慣れない地区。

 

病院の名前もはじめて聞きました。

 

『すみません!普段、このあたりは走りなれてません!道を教えてもらえませんか?』

 

『わたしもよく分からないんです』

 

泣くようにお母さん。

 

娘さんは、答えられるような状況ではない。

 

すぐに地図を出す(当時、まだガラケー時代でナビもない)

 

なるべく焦った空気を出さないよう、自分でもびっくりくらいに頭を回転させて病院を発見、ルートを叩き込む。

 

この人生で一番に頭を回転させた時かもしれません。

 

 

 

都心から少し離れていることもあり、スピードを出しやすい。

 

バックミラーで妊婦さんを気にしながら、歩行者、警察にも目を光らせる。

 

お母さんはとうとう泣いて、娘さんを抱きしめお腹を支えている。

 

制限速度をしっかり守るドライバーだったので、お客さんに『遅い!』と、怒られたこともある僕です。

 

しかしその時は、確実に制限速度は超えていたことでしょう。

 

<もしパトカーがサイレン鳴らして追いかけて来たら?>

頭をよぎりましたが、『止まらない』と決めていました。

 

事故したら元も子もないので、信号・歩行者に気をつけながら、少しでも早く病院に!!!

 

 

 

 

病院についてすぐダッシュして受付に

 

『破水!!破水してます!!早く誰か!!誰か来てください!!』

 

すぐに病院スタッフさんが駆けつけてくれ、僕は2人が病院に入るところを見届けてハンドルを取りました。

 

これ以上は、僕にはどうすることもできないので…。

 

 

 

 

数日後、タクシー会社の定例集会で、僕は前に呼び出されました。

 

お母さんが手紙と一緒に、あの日の料金と菓子折りを送ってくれました(料金を授受している場合ではなかった)

 

『ドライバーさんの迅速な対応で、無事出産することができました。ドライバーさんがいなかったら、赤ちゃんはダメだったかもしれないと医者に言われました』

 

所長が嬉しそうに感謝状を読み上げてくれました。

 

とても嬉しく、家に帰ってから妻に自慢しました。

 

 

 

 

僕は2人に感謝されましたが、正しい行為かどうかは分かりません。

 

何故なら、交通ルールは確実に破ったからです。

 

スピード違反はしたはずで、普段なら止まるタイミングの黄信号も突破しました。

 

交通ルールを破るということは、それだけ事故を起こすリスクも高まるということ。

 

これで赤ちゃんを抱いたお母さんをはねて殺したら、僕は一転『危険暴走ドライバー』に成り下がりました。

 

なので決して『正しい行為』とは言い難いと思いました。

 

料金ももらわなったので『サービスに対しての対価』ももらってない『正しくない仕事人』

 

しかし、人としては『色気ある行為』だったと思います。

 

ルールを守ることは正しいです。

 

しかしそのルールを守っていたら、赤ちゃんはダメだったかもしれない。

 

 

 

 

アメリカで、妻の脱毛症をジョークにされた俳優が、ジョークにした司会者を平手打ちした。

 

歴史ある映画賞で、世界が注目する中でのジョーク。

 

それに腹を立てた俳優が平手打ち。

 

これに対して『いかなる場合でも暴力はいけない』との著名人のコメント。

 

意外に多くてびっくりです。

 

 

 

 

男の僕でさえ、薄毛を笑いのネタにされて、嫌な思いはたくさんしてきました。

 

僕は男だからまだいい。

 

脱毛症の女性は、何度かうちに来店しています。

 

脱毛症とは関係ない女性には、きっと分からないかもしれません。

 

女性が髪の毛を失うことが、どれだけ苦痛なのか。

 

自殺を考えてしまうくらいなのです。

 

俳優の奥さんが、陰でどれだけ苦しんだ上で、ああして坊主姿を公に出しているのか。

 

 

 

 

平手打ちした俳優さんは、『正しい行為』ではなかったかもしれません。

 

受賞した賞も取り上げることを検討されるくらい『正しい行為』ではなかった。

 

『賢い行為』でもなかった。

 

しかし『色気のある行為』だった。

 

僕は暴力から縁遠い人間で、決して暴力を肯定しているのではない。

 

『正しい行為』というものは、時に『愛のない行為』になると言いたいのだ。

 

大切な妻を馬鹿にされて冷静でいられるなんて、『正しい男』かもしれませんが『色気ない男』だと僕は思います。

 

僕は『正しい人間』ではないので『色気ある男』が好きです。

 

 

 

 

道ひらき数秘術協会長

リラクゼーションサロン・グリンブルー

中和田收

【道ひらき数秘術】

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