映画をただのエンターテイメントとして考える人とは意見が異なってしまうけど、映画はエンターテイメントである前に芸術の中の1つとして考えるべきではないだろうか。その手段や媒体がそれ以外の芸術のジャンルと異なるだけで、観念を表現するという行為においては同じこと。
「芸術とは何か?」
よくこんなことを自問自答する。
観念を表現する為の方法論。
結局いつもこの同じ結論に至る。 わかりやすく言えば、結局何がいいたいのか?ってこと。
映画をエンターテイメントと割り切って、映像表現やストーリーを映画の重要なエレメントだと胸を張る監督には閉口してしまうが、この映画をエンターテイメントとしては観れないだろう。
かつて観た「許されざる者」も僕の頭から未だに離れない名作だけど、今作品はそれ以上。
唯一の家族である実の娘とは縁を絶たれ、送った手紙はすべて返されてしまうボクシングの老トレーナーであるフランキーと家族の愛に恵まれず、貧困のために13歳からレストランでウェイトレスをしているマギーがボクシングを通じて師弟愛を築きあげていくヒューマンストーリー。
フランキーは娘への愛をマギーに重ね、マギーは父親への愛をフランキーに重ねる。
クリントイーストウッドの淡々とした枯れた演技やモーガン・フーリマンのたたずまいが渋い。また、話しの内容や映像表現等に派手さは無いが、台詞の一つ一つが非常に意味深い。
フランキーがマギーのボクシングの試合前に着せたガウンに刺繍されていた言葉がこの映画を集約しているかのようだ。
★★★★★
