暴走ピノキオ 文学・音楽・地域研究

暴走ピノキオ 文学・音楽・地域研究

大学の専攻は地域研究だったが・・・

好きな音楽 BLANKEY JET CITY ,Donald Fagen ,STEELY DAN、くるり,The chang 、AIR、ゆらゆら帝国、Theatre brook,MAD CAPSULE MARKETS,RadioHead,サニーデイサービス、The Chemical Brothers,Fatboyslim,Junior jack,Tom Waits,Joao Gilberto,Lenny Kravitz,Nirvana,Garbage,EGO-WRAPPIN,Daft Punk,Primal Scream・・・・・・


好きな本 ノルウェイの森、世界の終わりとハードボイルドワンダーランド、風の歌を聴け<村上春樹> 限りなく透明に近いブルー、コインロッカーベイビーズ<村上龍> 路上<ジャックケルアック> 夏への扉、月は無慈悲な夜の女王<ロバート.A.ハインライン> キリマンジャロの雪<へミングウェイ> 京極夏彦 全作品



 

果たしてどれだけの人が「民主主義」を正確に理解しているだろうか?「民主主義」ほど、その意味が一人歩きしてきた言葉を私は知らない。

「民主主義は多数決だ」「話し合いで決めるのが民主主義だ」など、認識が散乱している。

本書で語られている民主主義とは民衆が合議で決定する政治制度のように語られており、初期の民主主義は「集会民主主義」、5世紀から18世紀初頭までを「選挙民主主義」、それ以降を「牽制民主主義」と分類している。

だが、私にとって最も的確な民主主義の定義は、社会学者・宮台真司氏が語った「国民権力が上位にあり、国家権力が国民権力に従属している主従関係」である。

そして宮台氏によれば、民主主義の対義語が権威主義であるという。

本書では専制政治という政治用語が出てくるが、それも権威主義と相違ないものだと解釈している。

さて、記録に残る最も古い民主主義(集会民主主義)が始まったのはシリア・メソポタミアの都市だったという。(紀元前2500年)

近代の中東諸国は民主主義が成立せず、君主制やムスリム権力者が宗教的な権威で政治を行っているので意外に感じるが、メソポタミア地域は非常に早くから文明が発達した地域なので、よくよく考えれば不思議でもない。
私はギリシャが発祥だろうと思っていたのだが、ギリシャで集会が興ったのが紀元前650年前で、それから100年が経過してアテネで民主主義へ移行したというのだから中東地域の文明社会がいかに早かったことかが窺い知れる。


やがて人口が増えるにつれ、民主主義は代議制となり、社会の発展や拡大とともに民主主義もアップデートを果たした。

しかし、憲法や法の欠陥から民主主義は一部の政党や軍隊などに奪われ、国民が時の権力者の奴隷となった歴史もある。

日本は封建社会から近代化し大正時代には大正デモクラシーという民主主義への機運が高まった時期もあったが、満州事変から日中戦争、太平洋戦争へと向かう情勢の中、軍部が政治権力を握り、国民の拝外主義も加勢して大日本帝国憲法下で権威主義の一形態である軍国主義国家へと変貌を遂げたのである。

実際に日本が真に民主主義を手に入れたのは1946年に施行された日本国憲法成立以降であり、人権規定のある憲法第十条から第十三条が民主主義の根底となっている。

日本で生活していると民主主義は当然のものであると認識しがちではあるが、民主主義が機能するためには選挙権を持つ国民の教養のレベルや民度が非常に重要である。

よき社会への切望、平和な社会への希求という社会参画者たちの認識なくして民主主義は成り立たず、国によっては民主主義から権威主義へと戻る場合もある。

また広大な土地、多様な民族、様々な宗教を抱える国では民主化したとたんに民族や宗教ごとに分裂し内戦を繰り返し、小国を乱立させる事態になりかねない。そういった国の事情もあり民主主義がすべての国に適応できるわけではないことも考慮しなければならない。

もし仮に、日本国内において政治団体が日本国憲法の人権規定を削除しようとするならば、民主主義は危機に陥るかもしれない。

日本の民主制度が、いかに洗練されたものであるかについては、現代を生きる私たちが身をもって経験しているはずだ。

★★☆☆☆

 

 

 高市早苗首相はイギリスのマーガレット・サッチャー元首相を政治的ロールモデルとして公言しており、新自由主義色の濃い政策を打ち出していくものと思われる。

 

 そのマーガレットサッチャーの経済思想はハイエクの影響を強く受けており、その思想を高市政権が採用するのであれば、日本経済政策もハイエクの経済思想を路線として進むことになるだろう。


 ならば、ハイエクの経済理論や戦後のイギリス経済史を研究することは日本経済の趨勢を予見できるだろう。

 戦後1945年から単独政権を担ったイギリス労働党は「ゆりかごから墓場まで」というスローガンを掲げて手厚い福祉政策を行い、石炭、電力、ガス、鉄鋼、鉄道を国有化した。

 その後の第二次チャーチル内閣により鉄鋼は民営化されたものの、その他は国営化されたまま維持され、ウィルソン内閣においては自動車産業も国有化されてしまった。その結果、「英国病」と呼ばれる経済の停滞が生じるに至った。

 国家による経済への過度な介入が企業の生産性や効率を阻害し、勤労意欲も低下してしまい、経済停滞がやがて大規模な財政赤字を招いた。

 1979年から政権を率いた保守党のサッチャーはフリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの経済理論を採用し、国営企業を民営化し政府による市場介入を減らし、自由市場を活性化させた。労働党が構築した大きな政府から保守党サッチャー内閣による小さな政府への転換であり、これによりイギリス経済が復活した。

 

 「新自由主義」や「市場原理主義」と呼ばれる経済政策は多くの左派的な政党や団体、あるいは厭世主義者たちから批判されてきた。しかし経済史は共産主義や福祉主義がもたらした経済的停滞を雄弁に語る。

 ハイエクの経済理論を要約すると、社会保障は必要ではあるものの、政府による介入は極力避け、自由な市場を守れば経済が活性化するという考え方。


 社会の構成員である国民が多様な価値観を持ちながら、その万人を満足させる画一的な基準など存在せず、多種多様な価値を通貨という代替価値へ変換し、すべての社会参加者が遍く認める共通価値としての通貨は市場で交換され、需要と供給のバランスで物価が決まる。
 

 「自由」は自動調整機能を備え、あらゆる立場や価値観を持つ国民を包括する。

 

 ハイエクの経済思想は新自由主義の名とともに生き続けるだろう。

 

★★★★★

 

 社会のIT化が進むと、個人情報とデジタルインフラやデジタル機器をリンクさせる必要が生じる。

 社会生活を営む大人なら誰しもスマホを所有し、Webサービスを利用していることだろう。しかし、IDを紐付けずに利用できるサービスは稀だ。

 著者のロジックに従えば、私もGoogleのサービスをスマホやPCを介してたくさん利用しているので、Googleに個人情報を吸収され、奴隷のようにひれ伏していると言われるのだろうか。

ただし、サービスを利用するために、自らの意志で個人情報を提供したのでファシズムに支配されたというのは誇張しすぎだ。

 本書のスタンスとは裏腹に、スマートシティ構想の取り組みに関しては期待を抱かされた。

 行政サービスのIT化は、マイナンバー制度の始まりとともに、ここ数年でひしひしと感じてきたので、利便性が向上した実感は確かにある。

 

 政府と巨大IT企業の利権を指摘している著者だが、むしろ私は、その懸念が霞むほどスピードのある変革を達成する国の姿勢を高く評価したい。

★★★☆☆
 

 

人にとって歴史を学ぶという行為は過去の投影としての自分自身を知ろうとする試みである。

昭和と言えば「激動の時代」と称されることが多いが、一言で言えば戦争の時代そのものであった。

満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争、太平洋戦争。
小学校・中学校・高校で歴史を学んでも、戦争の記録は膨大すぎて、決して学び切ることはできない。
 

歴史を研究するうえで、特に重要なことは、中立で正確な歴史を記載した資料や参考文献から情報を得ることで、実際には一部の人にしか、真の昭和史を学ぶことはできないだろう。私が保坂正康氏の歴史研究に信頼を寄せているのは、偏った母国偏重主義に陥った作家ではなく、ただ現実に起こった歴史を忠実に語ることのできる著者である点においてである。

前編は戦争。後編は戦後日本の政治が主軸となっている。

令和を生きる私たちが激動の昭和を乗り越え、平成のインターネット創世記を経て、どのようにして今日を迎えたのか、少しだけ垣間見ることができるはずだ。
 

★★★☆☆

 

 本書が発売された時期の日経平均株価は4万円台だったが、今このブログを書いている間に株価は6万2千円台にまで上昇している。

これだけの株高の割には、我々一般消費者が生活の向上を享受できずにいる原因は一体何か?

インフレ率、名目GDP成長率、円安、金利など株に関連する指標はたくさんある。そのどれもが密接に関連し、株が上昇へと導かれているのが現状で、加えて大企業による株主還元や自社株買いも大きく関係しており、株高の要因を一つに絞ることは困難である。

ところが、我々の景況感は悪く、消費者の手持ちのお金は少ない。これをどのように分析すべきか。

 労働分配率の悪さは顕著で、日本の日経平均株価が高い割には給料の低さが際立つ。これは不況を経験してきた大企業の警戒感からくる支出を抑えたいという姿勢である。シンプルに言って日本人の給与が低い事実は社会生活を営む者たちにとって景気の良さを実感できていない原因である。

 

日本のファンダメンタルズは強いと世界中の投資家が評価している以上、これからの日本の実質GDP成長率の上昇と労働者の所得増加を期待しよう。

ここで間違って反グローバリズムやインフレの波に乗らないような政策を政府がとってしまうと、名目GDP成長率や株価上昇の腰折れを招くかもしれない。そうならないように、我々がしっかり経済を学習し、政治を監視していかなければならない。
 

日本はきっと大丈夫。

 

★★★☆☆