さいたまゴールドシアター「ルート99」観劇!(2011.12.17)
さいたまゴールドシアター「ルート99」観てきました@さいたま芸術劇場。
岩松了さん脚本、蜷川幸雄さん演出。蜷川さんの演劇は今まで「じゃじゃ馬馴らし」「美しきものの伝説」と観てきましたが、正直、芸術的要素が強すぎて、表現されていることの半分も理解できてなく。だから今回も、ある程度難しいのは覚悟していたのですが。
・・・素晴らしかったです。演出はかなりシンプルで美しく、平均年齢72歳という年配の役者さん達の「生命力」を見事に伝えてくれました。あの年齢になると体力も記憶力も覚束ないのではと思っていたのですが、それをカバーして有り余る人間の魅力。それは向上心であったり、生きようとする力であったり。重ねてきた経験であったり。芸術への愛であったり、と。
沢山のものが、舞台上に溢れていました。震災後の社会的不安の中、より老後への不安が強まっていたけれど、年を取ることも悪くないな、年取っても続けられることがあるっていいな、と強く強く感じました。
お話ももちろん素晴らしかったです。沖縄問題を描きながら、それは今の私達の未来に直結していて。私が物心ついたとき、沖縄の基地の存在は既に社会問題になっていて。けれど、私が大人になってもその問題は何一つ解決していない。若者から見て、運動し続けている自分達はどう見えるのか。本土の人間から見て、島の人間はどう思われるのか。そんなずっと運動をしてきた人達の苦悩は、恋愛をする若者達と重ねられて分かりやすく表現されていました。
多分、大多数の人は若者達の絶望の気持ちを容易に理解できるし、年を重ねてきた年寄り達の思いに気持ちを馳せる想像力も(的外れではあるかもしれないけれど、ぼんやりとでも)持ち合わせています。すると、年嵩の役者さん達の、ワンシーンの長い芝居や長台詞、ダンスや歌で魅せる生命力が、どんなに人に力を与えるかが分かります。
なんて素晴らしい劇団を創ってくれたのでしょう、蜷川さんは。
素敵でした。ときには覚束ない台詞も。ダンスでズラが取れて困るとこもw(その後、ヘルメットが集めてあるとこにズラが置かれてて笑ったw)
そして。さいたまネクストシアターから客演の川口覚くん。登場したときから、先月観た「1924海戦」のときとは別人の体(てい)で戦慄。褐色の肌で精悍だった彼が、蒼白の顔で何かを亡くして歩く姿。心底凄い役者さんになったなぁ、とゾクゾクしました。
年寄り達は、川口くん演じる刑務所出の若者を見て「彼は絶望したのよ」と噂するのですが。その表情は単なる絶望ではないはずで。何が潜んでいるのだろう、何が彼をこのような状態にしてしまったのだろうと半ば芝居ということを忘れて見入ってしまいました。搔き立てられる想像力に自分自身驚いたのですが、少し前のシーンの台詞で、演出家役の人が「役者は、自分がハムレットだと思って演技してはいけない」と言っていて。それは観客が、「いや、お前はハムレットじゃない」と思うから、ということらしいのですが。そのような、役者と観客の思いの駆け引きも考えて演技しないといけないとは。いや、でも、そういう訓練を受けているから川口くんはあんな演技が出来るのかも。すごいなぁ。本当に、すごい。
ここ数ヶ月で、自分でも絶望を味わっているし、いろいろな舞台で「絶望」を見てきました。そんな中、一番心を打たれたのは、この川口くんの演技でした。「絶望」と台詞で提示されてことで、私はそれを疑った。そして想像力を搔き立てられた。川口くんの姿から目が離せなくなった。
絶望と希望を繋ぐということは、こういうことなんじゃないかと思いました。震災後、誰もが描こうとしたこと。表現しようとしたこと。それがようやく、私の中で繋がった瞬間だったのです。
凄いなぁ。川口くん。本当に凄い。
そして、次のネクストシアターでの「蒼白の少年少女たちによるハムレット」では、なんとハムレット役。蜷川さん演出でのハムレットは7人目で、平幹二郎、渡辺謙、真田広之、市村正親、藤原竜也、マイケル・マロニー。この次に、川口くんの名前が並ぶことになるとは、なんと素晴らしいことでしょう。
(観た日:2011.12.17)
追記:この舞台が私の2012年のベスト舞台でした。いやもう何もかもが素晴らしすぎる。
岩松了さん脚本、蜷川幸雄さん演出。蜷川さんの演劇は今まで「じゃじゃ馬馴らし」「美しきものの伝説」と観てきましたが、正直、芸術的要素が強すぎて、表現されていることの半分も理解できてなく。だから今回も、ある程度難しいのは覚悟していたのですが。
・・・素晴らしかったです。演出はかなりシンプルで美しく、平均年齢72歳という年配の役者さん達の「生命力」を見事に伝えてくれました。あの年齢になると体力も記憶力も覚束ないのではと思っていたのですが、それをカバーして有り余る人間の魅力。それは向上心であったり、生きようとする力であったり。重ねてきた経験であったり。芸術への愛であったり、と。
沢山のものが、舞台上に溢れていました。震災後の社会的不安の中、より老後への不安が強まっていたけれど、年を取ることも悪くないな、年取っても続けられることがあるっていいな、と強く強く感じました。
お話ももちろん素晴らしかったです。沖縄問題を描きながら、それは今の私達の未来に直結していて。私が物心ついたとき、沖縄の基地の存在は既に社会問題になっていて。けれど、私が大人になってもその問題は何一つ解決していない。若者から見て、運動し続けている自分達はどう見えるのか。本土の人間から見て、島の人間はどう思われるのか。そんなずっと運動をしてきた人達の苦悩は、恋愛をする若者達と重ねられて分かりやすく表現されていました。
多分、大多数の人は若者達の絶望の気持ちを容易に理解できるし、年を重ねてきた年寄り達の思いに気持ちを馳せる想像力も(的外れではあるかもしれないけれど、ぼんやりとでも)持ち合わせています。すると、年嵩の役者さん達の、ワンシーンの長い芝居や長台詞、ダンスや歌で魅せる生命力が、どんなに人に力を与えるかが分かります。
なんて素晴らしい劇団を創ってくれたのでしょう、蜷川さんは。
素敵でした。ときには覚束ない台詞も。ダンスでズラが取れて困るとこもw(その後、ヘルメットが集めてあるとこにズラが置かれてて笑ったw)
そして。さいたまネクストシアターから客演の川口覚くん。登場したときから、先月観た「1924海戦」のときとは別人の体(てい)で戦慄。褐色の肌で精悍だった彼が、蒼白の顔で何かを亡くして歩く姿。心底凄い役者さんになったなぁ、とゾクゾクしました。
年寄り達は、川口くん演じる刑務所出の若者を見て「彼は絶望したのよ」と噂するのですが。その表情は単なる絶望ではないはずで。何が潜んでいるのだろう、何が彼をこのような状態にしてしまったのだろうと半ば芝居ということを忘れて見入ってしまいました。搔き立てられる想像力に自分自身驚いたのですが、少し前のシーンの台詞で、演出家役の人が「役者は、自分がハムレットだと思って演技してはいけない」と言っていて。それは観客が、「いや、お前はハムレットじゃない」と思うから、ということらしいのですが。そのような、役者と観客の思いの駆け引きも考えて演技しないといけないとは。いや、でも、そういう訓練を受けているから川口くんはあんな演技が出来るのかも。すごいなぁ。本当に、すごい。
ここ数ヶ月で、自分でも絶望を味わっているし、いろいろな舞台で「絶望」を見てきました。そんな中、一番心を打たれたのは、この川口くんの演技でした。「絶望」と台詞で提示されてことで、私はそれを疑った。そして想像力を搔き立てられた。川口くんの姿から目が離せなくなった。
絶望と希望を繋ぐということは、こういうことなんじゃないかと思いました。震災後、誰もが描こうとしたこと。表現しようとしたこと。それがようやく、私の中で繋がった瞬間だったのです。
凄いなぁ。川口くん。本当に凄い。
そして、次のネクストシアターでの「蒼白の少年少女たちによるハムレット」では、なんとハムレット役。蜷川さん演出でのハムレットは7人目で、平幹二郎、渡辺謙、真田広之、市村正親、藤原竜也、マイケル・マロニー。この次に、川口くんの名前が並ぶことになるとは、なんと素晴らしいことでしょう。
(観た日:2011.12.17)
追記:この舞台が私の2012年のベスト舞台でした。いやもう何もかもが素晴らしすぎる。