虚構の劇団「天使は瞳を閉じて」観劇!(2011.8) | THEATRE GRENAT ~てあとる・ぐれな~

虚構の劇団「天使は瞳を閉じて」観劇!(2011.8)

虚構の劇団「天使は瞳を閉じて」観てきました@シアターグリーンBIG TREE THEATER。

第三舞台での人気作品の再演とあって、まず驚いたのは、チケットが凄い勢いで売れてしまって千秋楽が取れなかったこと。リピートの予約は初日を観てからでと思っていたのに平日も早々に売れてしまい、結局3回しか観られませんでした。(前回公演「アンダー・ザ・ロウズ」は5回、その前の「エゴ・サーチ」は6回観ています。凄いのです虚構。何回でも観たくなる。)

それにしてもやはり人気の作品。心が洗われるような珠玉の言葉の数々と、痛烈な社会批判とを、胸躍るエンターテイメント性に絡めていて盛り沢山。存分に楽しみ、存分に考えさせられる重厚な演劇でした。

お話は実にタイムリーで。原発事故での放射能汚染地域に入った人達の、透明な壁の中での物語。そこで生きる人間達を見守る天使の目を通して、人間の愛しさや尊さそして愚かさが語られます。背中に羽根が生える奇病は、人間達の驕りの象徴なのかもしれません。自分達は神と同等の力を得て空を飛べる、と。

天使の役目は、ただ見守ること。時にはもどかしさを感じ、時には嘆き悲しみ。そして時には、禁を犯してそっと手を差し伸べる。

その天使を演じた小沢道成くんの演技がとてつもなく素敵でした。本当に人間なのか、本当は天使なのではと思わされるほど透明感に溢れた佇まいと表情。人間達を見守る慈しみの微笑み、深い深い嘆き。私の知る限り、この天使を演じることができる役者さんは彼の他にいません。あまりに繊細な空気に彩られた天使のしての存在感やその語りに、終盤涙が止まりませんでした。

もう一人、注目をした役者さんが。ロックミュージシャンと不倫をしている役柄の高橋奈津季さん。その秘密を恋を表す表情に。誰がどんな演技をしていても、「彼女は今どんな面持ちなのだろう」と表情を確認せずにはいられませんでした。不倫に限らず、女なら誰でも、人に言えない恋の一つや二つはしたことがありますよね。彼女の演技を観ながら、胸がチクチクと痛むのを楽しんでいました。

それにしても、脚本・演出の鴻上尚史さんの社会批判の表現はこれ以上無いほどのストレートさ。その影響力を考えたら、国家レベルでの圧力がかかってもおかしくないと思うのですが(汗)鴻上さんだからここまでできるのか、ここまでできるから鴻上さんなのか。凄い方だなぁ・・・。


(観た日:2011.8.2,12,19)