さいたまネクストシアター『美しきものの伝説』観劇っ♪♪
さいたまネクストシアター『美しきものの伝説』
観劇して参りました@さいたま芸術劇場。
大正時代の政治と演劇における革命家達の壮絶な生を描いた物語で、学校の教科書ほどの知識しかない私にとってかなり難解なものになるかと思いきや。役者さんが目の前で「演じている」のではなく「生きている」としか思えない、それほどに実感のこもった演技で魅せてくれたおかげで人物や世相が自然と体感できて、素直に物語を楽しむことができました。
さいたまネクストシアターは、蜷川幸雄が集めた若手の劇団です。ゆえに、役者さんの演技力が異常に高くて驚きました。前説でバイオリンや三味線を手に役者さんたちが大正の流行歌を歌う時点でレベルの高さがもう異常。これだけで立派に一流のエンターテイメントとして成り立っているのです。
そして蜷川さんの演出が、非常に美しかった!!舞台の上には、人が入れるほどの大きさの無数のガラスケース。老年の男女がそこに横たわっていたり、ロシアのイコン(聖画)が飾られたり、火の灯った蝋燭が置かれたり コスモスが咲き誇っていたり。それらを配する転換なども、役者さんや黒子が総出で行う割には空気感になんの邪魔にもならず、シーンが続くことに感嘆。
しかしやはり驚くべきは、役者さんの力。長いシーン、難解なセリフをなんの違和感もなく展開していて、演技であることは微塵も感じさせず革命家としての思想や生き様を目の前に表していて。この緊張感の持続を演じえる人がどれだけいるのだろうと、観ていて戦慄するほどの役者さんが何人もいました。
特に、芸術座の主宰・抱月と、書生の久保栄が議論を交わす長いシーン。 今まで観た演劇の中で一番の緊張感に心底震えました。久保栄役の川口覚くんは、清涼感のある演技に将来性を感じていたものの、ここまで凄い演技をできる人だったのかと戦慄。長い長いシーンの中で、感情がセリフ以上に緊張感で表されて。対する抱月役のベテラン役者さんとともに、またも演劇の力・人間の力の素晴らしさに感嘆させられたのです。常々思っているのですが、上に行く品格というものが川口くんにはちゃんと備わっているな、と。その実力が蜷川さんの信頼を得ていることは、この大事なシーンを任されたことでちゃんと証明されていて。見守る立場として非常に嬉しいのです。
そして、演劇を観る者として考えさせられたことがありました。お芝居の中で語られる演劇論は、当時は革命的であったけれど、今でも普遍的な作り手の葛藤の大きなファクターとなっていて。難しいな、と思わされるのです。それは、芸術と芸能の融合バランス。どんなに命を燃やしていても、戦っていても。報われないどころか、観もせずに揶揄されることも多々ある。それでも戦い続ける人、懸命に生きる人たちのなんと美しいことか。 舞台の中で描かれる人たちも、舞台で演じていた役者さん達も。 そして実際に今演劇界で戦っている人達も。その人達の姿を観て、懸命に生きろ、と。 私の大好きなテーマが語られていたこの演劇を心から愛しいと思いました。
にしても、川口くん凄いなー。ほんと凄いなー。2008年に新国立劇場で拝見していらい、その存在感に引き付けられっぱなしなのです。

