エムキチビート『90%VIRGIN / 終末の天気。』観劇っ♪♪(その1) | THEATRE GRENAT ~てあとる・ぐれな~

エムキチビート『90%VIRGIN / 終末の天気。』観劇っ♪♪(その1)

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エムキチビート 2×2 Middle Stories Act.
『90%VIRGIN / 終末の天気。』
渋谷ルデコ5にて観てきました!

この公演、すっごく楽しみにしてたのです。今年一番の楽しみかというくらいラブラブ
というのも今回の公演は、私が今一番その名前でときめくハセガワアユムさんと元吉庸泰さんのコラボだからドキドキドキドキドキドキ ええ、ハート飛ばしまくりますよ。心底めっちゃときめくお二人ですからね(笑)

小劇場の旗手であるMUの主宰・アユムさんの作品の魅力は、鋭利なナイフで切り裂くように描く人間への深い考察と人生への愛。その作品に触れると、裸の自分と正面から向き合わされ、全ての臓物を抉り出された上で優しく強く抱きしめてくれるような激しい情動に襲われるのです。

一方、エムキチビート主宰である元吉さんの魅力は、確りとした舞台芸術に根をおろしたエンターテイメント性。「生きる」ことへの激しい執着・信念をスタイリッシュでリズミカルな演出で老若男女すべての人達にエンタメとして届ける純粋で真っ直ぐな精神。その光と音に溢れた楽しい作品を観た後は、必ず温かな幸せに満たされて、彼の演劇を皆が観れば世界が平和になるような気分にさえなるのです。

そんなお二人の脚本を元吉さんが演出。私にとって、これ以上ないというほどの大興奮の競演で、特にアユムさんのパンクな脚本を元吉さんが演出したらどうなるかが、楽しみで楽しみでもう死ぬかと思うほど指折り数えて待ってましたニコニコ


ちなみに画像の仮チラシですが、2色刷りのものが混ざっています。これ、レアかと音譜


では、二つの作品の大まかな感想を。まず脚本(物語)を、そして各バージョンの感想を書きます。


『90%VIRGIN』

アユムさんの初期の短編です。高校周辺でミスチルのCDが割られてバラ撒かれるという事件が発生し、嫌疑の掛かった軽音楽部部員が犯人探しに乗り出す。街のそこかしこから垂れ流されるキャッチーな音楽を題材に、大衆性の真実を疑うという強烈な社会批判が展開される快作。

思ったのは、「アユムさんってこんなに分かり易い脚本を書いてたんだなぁ」と。私が最初に観たアユムさん作品は2008年11月の『戦争に行ってきた(反転)/死んだ赤鬼』ですが、かなり攻撃的な脚本に驚くばかりで、内容を完全に理解できませんでした。よって、それ以前の作品はもっともっと尖り放題で理解し難いものだと思ってました(笑) しかしそれでも、パンキッシュな作風は顕在。そこを上手くキャッチーに、そしてスタイリッシュに元吉さんが演出し、MUのテイストを活かしながらロックで楽しい作品に仕上げていました。(オープニングカッコ良かったです。特に女の子!)

物語の核はなんと言っても、ミスチルの音楽の本質を巡る確執。中二病の326(ミツル)の言葉に寄ると、「30過ぎた大人の世界一どうでもいい自己確認」。愛を歌いながら長年連れ添った妻がいるのにギリギリガールズと不倫。そのミスチルの歌を生徒に歌わせて矯正できると本気で考えている不倫教師達。こう書いていても、本当に、ダセぇ(笑)

私自身、ミスチルは全く聴きません。耳に入ってきたメロディが素敵で歌詞が心に響くならその音楽を聴いてみたいと思うのですが、ミスチルは全然そう思わないんですよね。その上不倫の話も有名なので、今回のお芝居を観て私がミスチルを聴かない理由に「偽物の清潔感」もあるんだなと確認しました。(あくまでも私の価値観なので、ミスチル好きな人はごめんなさい。)

そんな偽物の清潔感で、尖った生徒を「矯正」させようとする不倫教師達の真剣さが本気で気持ち悪いし、笑顔に激しい怒りを覚えます。観ていて完全に主人公に感情移入して、一緒に暴れたい衝動に駆られました。

どんな曲を作れば、どんな言葉を紡げば沢山の人々の心に響くか。そうやって作られた音楽の「愛」の本質を見つめてみようよ。そんなメッセージが込められた、鋭さが冴え渡る痛快な作品。ああ、私、やっぱりアユムさんの脚本が大好きですラブラブ!


『終末の天気。』

元吉さんの新作脚本です。今回の公演は2本立てということで、一つの作品を作るとともに『90%VIRGIN』と世界観をリンクさせてオマージュやパロディも含めたその2次的創作過程が脚本を書く上でとても楽しい作業だったのではないかなと想像しました。

舞台は、高校の演劇部。明日には巨大隕石が落下して世界が終わるという日。演劇部員、そのOB、用務員、教師。それぞれが最後の瞬間までその責を全うしようと学校に集まる。プロの演劇人になるという夢を描く生徒達は、それを見守ろうとする大人達の優しい心にさえ傷ついてしまう。世界の終わりを目前にして、その瞬間の人の在り方や人生そのものへの思いを描いた秀作です。

ファンタジックでありながら、浮かび上がるのはリアルな「生」。そこには、演劇で青春の日々を過ごし、これからも演劇を続けていくことへの元吉さんの思想が鮮烈に描かれています。「糞みたいな人生」との自己批判をしながらも、後悔はしていない、と。そしてこの人生を愛して全うしていくことへの決意の再確認。そんな思いをまざまざと見せられて、正直、私も演劇を作る側だったらもっともっとこの思いを理解できて共有できたのになと、変な嫉妬さえ感じてしまいました(笑)

しかし大切なのは、この一瞬一瞬をどう生きるかというテーマは演劇に関わっている・関わっていない、世界が終わるか終わらないかということとは全く関係ない、ということ。誰もがその人生を真剣に生きられるし、その人生を愛せるんだよ、と。だから、「生きろ」と。もっともっとその命を燃やせ、と。そんな風に教えてくれる元吉さんの思想は、私が初めて観たエムキチの本公演『昇鳴蛇 cry:me snake』から一貫して変わらないのです。

その思想は、ギャラリールデコという小さな空間でもキラキラと輝いて、観客の心の中に澄み切った空の星のように降り注いできました。演劇部員達の回想シーンでの星を見上げるシーンの、なんと美しかったことか。その視線の先には、見えるはずの無い満天の星空。見えないものを見せてくれる、そんな演劇の力で魅せてくれた感動作でした。


長くなりましたので、とりあえずここまでで。次は、バージョンごとの感想を書きます。4つの舞台の演出、大変だったろうなぁ・・・ガーン


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