今までのあらすじ
Day500-今まで
コオはついにケースワーカー立ち合いの元、妹・莉子と、北寿老健で会うことになった。
莉子が来る少し前にボイスレコーダーの録音スイッチを入れた。
コオは父の身分証が必要なわけをわずか3分ほどで話し終わったが
莉子の、意味不明の話の展開に、コオは平衡感覚を失う。
莉子は叫び続ける。
お姉ちゃんは何もわかってない。わかってて普通だ。これだけ、拒否してたんだから、わからないに決まってる。
中途半端にかかわるな、。最後までやれ。匙を投げるな。
事務的にやるな。
これをすべて同時に。
めちゃくちゃだ、ということがケースワーカーの浅見にはわからないのだろうか?
全く相反することで責め立て、相反する要求をする。
(くっそ、身分証手に入れるために、なんでこんなバカな話に付き合わなくちゃいけないわけ?)
コオは自分がみじめに思えてくるほどだった。
「結局・・・いったい・・・何をしてほしいわけ?」
莉子の【なんでお姉ちゃんは】とか【どうしてお姉ちゃんは】に一つ一つ答えたところで、
ただエネルギーを消耗し、無駄な時間を使うだけだ。
だってコオを責めたいだけなのだから、とコオは思った。
だから、莉子自身の女の望みを聞く方が早いと思った。
しかし、こういうコオの計算は、莉子を相手にした場合、ことごとく裏目どころか、
全く想定外の結果となって帰ってくる。
「どうして話を遮ったの!?私が一生懸命浅見さんに話をしてるのに!!」
何をしてほしい、と聞いているのに、どうして話を遮ったの?という返答。
同じ言語で話しているとはもはや思えない状態だった。

