今までのあらすじ
Day500-今まで
コオはついにケースワーカー立ち合いの元、妹・莉子と、北寿老健で会うことになった。
莉子は15分遅れてやってきた。
「ああ~すみませ~~ん!」
という甲高い声は、よそ行きでケースワーカーの浅見に向けられた声だ。
「いいんですよぉ、こちらの小部屋へどうぞ!!」
浅見は、5人位が入れる小さな部屋へ、コオと莉子を案内した。
莉子のほぼ隣に浅見は座り、テーブルを挟んで向かいに、コオは座った。
コオは、莉子が来る少し前にボイスレコーダーの録音スイッチを入れていた。
ボイスレコーダーは、莉子がヒステリーをおこし、コオを実家から叩き出したのをきっかけに1年前購入したのだ。父と面会するときや役所と連絡を取るとき、必ず音声を録っていた。
あのとき、コオは行政に助けを求めた。
妹はおかしい、
その妹に軟禁状態にある父を、なんとかしなければならない、どうしたらいいのか、相談にのってほしい、と。
その時電話に出た、行政の窓口担当はいった。
「暴れてたり、自傷とか、お父さんを傷つける恐れがあれば、妹さんを保護できますけど、それはないんですか?」
父を傷つけてはいませんが、私には掴みかかり、痣だらけになり、擦り傷もひどかったので、写真にそれを撮っています、といったコオにそいつは言ったのだ。
「でも、お父さんを傷つけたり、自分を傷つけたりすることはないんですよね?あなたはそこから出てくればいいだけですが。」
そして、録音でもあれば、保健所が動くかもしれないが、今は何もできないといった。
コオはボイスレコーダーを買った。ふざけた行政の対応も電話音声もその後は録音していった。

