今までのあらすじ
直前までのあらすじ


 コオに最後通牒を突きつけられ、父はもうこれ以上事態を引き延ばせないことを悟ったのだろう。
 1年と1ヶ月ぶりに、コオは莉子と会うことになった。父の担当ケースワーカー浅見の立ち会いの元に、父のいる北寿老人保健施設で会う。
 ケースワーカー浅見の出勤日でなければならないので平日だ。
 表向きは父の親戚からのお金の振込先を作るために保険証が必要なので、渡してもらうため、ということになっている。
 
 コオは仕事は半休をとり、北寿老健に向かった。こういうとき、ある程度時間の自由が利くのは助かる。(といってもツケは後に回ってくるのだが)
 仕事を休む気はなかった。
 莉子が指定してきた時間は昼。例によってドタキャンする可能性もあるが、保険証を受け取るだけなら、5分もあれば済むはずだ。

 そしてもちろん、そんな簡単に終わるわけはなかった。