Day380-ここまでのあらすじ

 コオは、次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、老人ホーム探しから手を引くことを父に宣言.

 その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。

父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。

コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探し、新たな施設を選び出す.父は動くことを現実的に考え出し、お金を貸していた親戚から、少し返してもらうことを考える。会うことコオがその親戚の和香子さんに会い父のお金の返済に関する取り決めをしたことを父に伝える。

老人ホームに行きたいという一方で、再び現在の施設に居たほうがいい、莉子を納得させるのに時間がかかると一向に話を進めない父にコオはついにキレた。

父はコオの別れた夫に電話をして二人で会いに来てくれ、と頼む

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 「お義父さん、もう全部コオと俺に任せたいから、一度北寿老健に来てくれって。」 

 コオに最後通牒を突きつけられて、父はとうとう避け続けた莉子との対話をする気になったのかようだった。

 

 「お義父さん、お久しぶりです。」

 「ああ、遼吾君悪いね。」

 

 コオに、もう来ない、自分にもう何も頼むな、と言われたのが少し堪えたのか、遼吾を迎えた父の表情は硬かった。それでも、コオがいつものようにおやつを差し出すと嬉しそうな顔をした。

 

 「あの、陽の当たるところに行こう。」

 

コオは言った。 北寿老人保健施設の、面会が可能なスペースは個人の部屋と、食堂の他に、テレビとソファとテーブルのあるスペースが一箇所あって、そこはコオのお気に入りだった。父のベッドのある大部屋は、南向きだけれど日当たりが悪いので、コオはあまり好きではない。

 

 コオは父のペースの合わせてゆっくりとあるいて、その陽だまりのスペースまで歩いた。

 

 「それで・・・ともかく、莉子がね、頑固なもんで・・・甘ったれだし。何もできないから、今後のことをお願いしたいんだ。」

 「今後?」

 「つまり、私の移る先のホームの決定とか、家の管理とかだね。」

 「それはいいですけど、莉子さんも大人ですからね。ちゃんと自立してくれないとお義父さんも困るんじゃないですか?」

 

 遼吾に忖度という言葉はない。

 結婚前から、そして結婚してからも、そして別れてからも思う。

 多分遼吾が普通に(聞こえるように)話すときは、多分恐ろしく気を使ってるのだ、とコオは思っている。

 自分には関係ない、とか、自分はこの人には気を使う必要はないと思ったときの遼吾のドライなものいいは、【私だったら、立ち直れないかも】とコオが思うほどの、木で鼻を括ったような、言い方だ。

 父に向かって遼吾が言った言葉は、そこまでひどくはなかったけれど、いってみれば

 

身もふたもない

 

そんな感じだった