Day380-ここまでのあらすじ
コオは、次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、老人ホーム探しから手を引くことを父に宣言.
その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。
父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。
コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探し、新たな施設を選び出す.父は動くことを現実的に考え出し、お金を貸していた親戚から、少し返してもらうことを考える。会うことコオがその親戚の和香子さんに会い父のお金の返済に関する取り決めをしたことを父に伝える。
老人ホームに行きたいという一方で、再び現在の施設に居たほうがいい、莉子を納得させるのに時間がかかると一向に話を進めない父にコオはついにキレた
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「もう、このまま莉子だけ大切にして、好きにすればいい。莉子に全部やってもらえばいい。パパ。もう、会いには来れないよ・・・さよなら。残念だったよ。」
コオは父のいる北寿老人保健施設を後にした。
コオは疲れていた。病院も、施設もキーパーソンではないから、とコオがやることに色々な制限をつける。でもそのキーパーソンと連絡が取れないと、結局はコオに連絡が来て尻拭いをさせられる。父には便利屋扱いされる。介護疲れというけれど、こういう疲れは介護疲れに入らないのだろうか?そんな事を考えた。
数日後。
別れた夫・遼吾から、コオのもとに電話が入った。
「お義父さんから電話があった。」
父にはコオが遼吾と別れたことは知らせていなかった。
「…私ね、キレた。こないだの週末。父はまた、莉子にお金を残すためにはこのまま老人保健施設にいるとか言うから、もう、勝手にしてって。莉子だけ大切にしたいなら、もう、何も頼まないでって。」
「うん…知ってる。それでさ、お義父さん、もう全部コオと俺に任せたいから、一度北寿老健に来てくれって。」
コオに最後通牒を突きつけられて、父はとうとう避け続けた莉子との対話をする気になったようだった。
「俺、行くよ。」
「いいよ。あなたはもう戸籍上関係ないんだから。」
「いいんだよ。」
遼吾は言った。
コオは遼吾が父のことを手伝ってくれるより、私への気持ちを言ってほしいのに、とこんなときも密かに思っていた。単なる手伝いなら、いらない。また一緒に歩いていく気があるのかどうか知りたい、そんなふうに。

