Day380-ここまでのあらすじ
コオは、次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、老人ホーム探しから手を引くことを父に宣言.
その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。
父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。
コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探し、新たな施設を選び出す.父は動くことを現実的に考え出し、お金を貸していた親戚から、少し返してもらうことを考える。会うことコオがその親戚の和香子さんに会い父のお金の返済に関する取り決めをしたことを父に伝える。
老人ホームに行きたいという一方で、再び現在の施設に居たほうがいい、莉子を納得させるのに時間がかかると一向に話を進めない父にコオはついにキレた
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「考えたんだけどな、やはりこうやって、老人保健施設に・・・居たほうがいいんじゃないかと思うんだ。」
「一体何のつもりで言ってるの?」
この日、コオは、静かに決心を持って、キレた。
「あのね、それなら、なんのために、私に施設を移りたいから探してくれとか、和香子さんに会ってお金を返してほしいなんて言わせたの?いつまで莉子を、甘やかして子供扱いするの?おかしいよ!!」
「あの子は、ともかく時間がかかるから…」
「いつもそう言うよね。でも世界はパパや莉子のペースで回ってるんじゃない。莉子は普通に大人なんだよ。みんなと同じように24時間持ってる大人。私と同じだけの時間を持っていて、私はその中で仕事も目一杯して、子育てだってしてきた。なんで莉子だけ甘やかすの?」
「うるさい!!」
「そうやっていつも、私のことは怒鳴るよね。莉子が間違ってても怒らない。…もう私はパパが言うこと全部やってきたよ。一生懸命、施設を探すためにケースワーカーに相談して、会社を紹介してもらって、見学も行ってパパを見学にも連れて行った。和香子さんにだって会って話をした。これ以上私はできないよ。」
「ああ、それなら、もういい、やらんでいい!!」
「うん、私はもうできない。そうやって莉子ばっかり大切にするのは昔からだよね…いつだってそうだった。お母さんも。結局、私なんてどうだっていい。便利屋としか思ってないんだもんね。」
「ああ、そうだよ!!」
コオはつばを飲み込んだ。こんな事言われるのなんて、大したことじゃない。私は自分の家族も失ってしまった。父だけでも取り戻せるなんて思ったのは、ただの夢。ただの幻。私は、便利屋だったんだ。やっぱり。そんなの・・・今更じゃないか。
「もう、このまま莉子だけ大切にして、好きにすればいい。和香子さんにも、自分で連絡して。私はもう関わらないから、莉子に全部やってもらえばいい。パパ。もう、会いには来れないよ・・・さよなら。残念だったよ。」
これでたとえ父が倒れても、もう、仕方のないことなんだ。
コオは後ろを見ず、父のいる北寿老人保健施設を後にした。

