Day380-ここまでのあらすじ

 コオは、次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、老人ホーム探しから手を引くことを父に宣言.

 その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。

父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。

コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探したい、と高齢者住宅紹介業者の藤堂を頼る。

藤堂は3つの施設を選び出し、見学をすることになり最後の施設をコオは気に入ったが、前回とおなじことが怒るのを恐れ、

コオは何もしないことにした。そんなときに、父に頼まれ、お金を貸していた親戚に会うことになる

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 和香子さんとの会話は、すんなりと老人ホームの話になった。

 

 「私は・・・お金のことは全然知らなくて、ただ、父が、おじさんにお貸しした分があるとかないとか・・・」

 

もう少し細かく聞いてはいたのだけれど、コオは頷きながら聞いていた。


「...コオちゃんが学生の時っていつくらいだっけ?」

「和香子さんとこの...3番目の絵美子が4歳...だったかな。」

「そうかぁ、絵美子がね高校に入った後にね、うちの家族、青森の、おばあちゃんの近くで、仕事を始めたの。」


和香子さんと叔父の家族は、叔父の兄弟たちにその事業資金として、お金を貸してほしいと頼んだのだという。


「ありがたいことにね、(コオの)お父さんにもたくさん貸していただいて。それで、三沢の本家の叔父さんと、東京にいる行子叔母さんの3人とで、公正証書もつくったのね。それで、兄弟の中だけど、今住んでる家を、いずれ私も子供のところに行くからそのとき家を売って、ちゃんと生最終的にお返ししますっていうふうに。」


...コオが聞いていたのとは微妙に違うが、大事なのは、お金を貸して、そのことを、ちゃんと公正証書という公的書類の形で残したのだ、ということだけはわかった。