Day380-ここまでのあらすじ

 コオは、

「莉子のYesを確認したいなら、まずは莉子が施設に確認に行くこと、見学を済ませる期限は来月末。」

「それをやらないなら、私は、もう、この老人ホーム探しの件からは手を引く」

と父に伝えた。父は、「莉子を、ゆっくり時間をかけて説得する」といい、コオは

次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、手を引くことを父に宣言.

 その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。

父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。

コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探したい、と高齢者住宅紹介業者の藤堂を頼る。

藤堂は3つの施設を選び出し、見学をすることになり最後の施設をコオは気に入ったが、前回とおなじことが怒るのを恐れ、

コオは何もしないことにした。そんなときに、父に、お金を貸していた親戚にあってほしいと頼まれ、コオは電話をかける。

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 電話に出た和香子さんは話が早かった。

 

 「本来は父と同居している妹の莉子がお話しすべきなんでしょうが、なかなか連絡が取れなくて・・・

 父が私に、というので、すみませんがよろしくお願いします。」

 「私もねぇ、一度お電話したのよ。ご自宅の方に、お父さんが倒れたって伺ったときに。」

 

 父が紅病院に入院しているころ、何度か、父は自分の兄弟に連絡を取っている。和香子さんは近所に住んでいるから、多分そこから聞いたのだろう。

 

 「でも、なんか、莉子ちゃんねぇ、ショック受けてたからかもしれないけど、大丈夫です、大丈夫です、っていうばっかりで全然話が通じなかったの。その後は何度かけても電話も取ってもらえなくてね。」

 

 (ああ、やっぱり)

 とコオは思った。何か決断や対処が必要な電話は極力避ける、気に入った電話の相手もしくは緊急ということがわからない限り、電話にはでない。

 

 「それは・・・すみませんでした。ともかく母が亡くなってから、私も莉子とは話があまり通じなくて困ってはいたんです。事務的な処理がともかくできないみたいですし。父もそれをわかっていて、私が和香子さんと話すようにと頼まれました。」

 

 余計な周辺情報から話す莉子より、ずっと話がサクサク進む・・・とコオは考えていた。

ずっと、『お姉ちゃんは人の気持ちがわからない、話が通じない!!』と叫ぶ莉子に、コオはうんざりすると同時に、母と、母が乗り移ったような莉子の言葉

 コオは人づきあいができない、コミュニケーションができない

という言葉に、私が悪いのだろうか、と思っていたが、この時は

 

 (和香子さんには、ちゃんと通じてるじゃん)

 

そんな風に思っていた。