Day280-ここまでのあらすじ
コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける。空くのは確定であり、コオはすぐに動き出す。
まずコオは現在の老人保健施設に『すぐにキーパーソンである妹と話し合いを持ってほしい』と連絡をする。施設のケースワーカーは電話はしているが、例によって、莉子とは繋がらず、コオは”要望文書”という形で莉子を話し合いに呼び出すよう、要求する。コオは友人の響子に、今回の件を莉子を無視して進めてもいいものかどうかを相談し、
”期限を決めて、その間に返信がなければ、コオが手続きを進めるべき””大事なのは、お父さんの意志”とアドバイスを受ける。
老人保健施設のスタッフの対応は遅く、1週間放置のうえ、週末前日の金曜日に”連絡をください”と張り紙を張ってくるというお粗末さであった。
全て水の泡になったことで、コオはひとりでやけ酒をのみながら、父は、妹だけが大事なのだ、としみじみと思った。
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父は、必死に動いた自分の事などどうでもいい、妹の方が大事なのだ。
コオはただ、ただ、やりきれなかった。
自分自身の希望よりも懸命に父のために動き回ったコオよりも、莉子の機嫌を大事にする父が分からなかった。
コオはワインのフラスクをもう一つ追加注文して、飲み始めるた。
学生の頃散々バカな事をしたので、今は、どれくらい飲んだら、自分がどうなるかそこそこわかる。
今日は軽く明日が二日酔いになるくらい飲めればいい。でも自分は飲めるけど、二日酔いになりやすいから、
眠る前に、大量に水を取っておこう。
同時に
ファミレスでいい歳をした女が一人でガバガバ飲んでるのってどうなんだろう、
そんなことを考えながらいい具合に脳がしびれてきたころ、
電話が鳴った。
「もしもし…?」
酔っぱらってるのにな、と思いながらコオは、隅っこの方の一人席だったので、そのまま電話に出た。
「・・・藤堂です。嶋崎さん、お疲れさまでした…」
酔っぱらってるのにな、と思いながらコオは、隅っこの方の一人席だったので、そのまま電話に出た。
「・・・藤堂です。嶋崎さん、お疲れさまでした…」

