Day280-ここまでのあらすじ
コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける。空くのは確定であり、コオはすぐに動き出す。
まずコオは現在の老人保健施設に『すぐにキーパーソンである妹と話し合いを持ってほしい』と連絡をする。施設のケースワーカーは電話はしているが、例によって、莉子とは繋がらず、コオは”要望文書”という形で莉子を話し合いに呼び出すよう、要求する。コオは友人の響子に、今回の件を莉子を無視して進めてもいいものかどうかを相談し、
”期限を決めて、その間に返信がなければ、コオが手続きを進めるべき””大事なのは、お父さんの意志”とアドバイスを受ける。
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コオはひどく物悲しい思いになりながら、響子に礼を言って別れた。
人生は決断の連続だ。 そして、大人になったら、すべての決断には責任が伴う。
莉子が逃げていたのは、そこだ。いつも・・・そうだったではないか。おとなしやかに黙って流されていれば、周りが決断してくれる。それに従っていけばいい。彼女が自身で選択したものだってあったはずなのに。
でも、その選んだ道で戦わなければ、結局は同じだ。
選択には、その選択をする、という決断には責任が、伴うのだ。
コオが北寿老人保健施設に連絡を取ったのが月曜日。そして金曜日になっても、莉子からの連絡はなかった。
金曜日には、北寿老健のスタッフが、事情とともに”今日中に連絡をしてほしい”と張り紙を自宅にした、と連絡が来た。
ハッキリ言って、遅い、とコオは思っている。
北寿老人保健施設のスタッフならもちろん知っているのだ。民間老人ホームの空きは、いつまでも待ってはくれない。下手すれば明日中に決断、と言われるくらい、時間との闘いだ。それを、丸々1週間放置して、週末だから、あとは業務外、というのはあまりにもお粗末だ。
困るのは・・・必要な情報がかけたまま、父の老人ホームへの異動を丸投げされているコオであり、
そして
”父の希望した施設が、時間的には普通より少し余裕のある形で事前に知らされた”
というありがたい話を、
いったい、台無しにしたのが、誰なのかよくわからない、
・・・というお粗末な結末となった。

