タイトル及びカテゴリRaalTimeの記事について。
とりあえず1時間ほど限定で公開して、後限定記事にストックします。
このRealTimeタイトルの記事はいずれ本編の後の方に入ってくる予定です。
実録なので、ほぼリアルタイムで起こったことをこのカテゴリ、RealTimeに書きますが、
いずれ、RealTimeに書いた記事は削除し、本編が追いついた時点で、あらためてアップし直します。
*********************前回までのRealTime***************
莉子が無銭飲食で警察に保護された。
コオはこの機会を入院につなげるため、警察に保健所に連絡を取るように頼む。
コオは行政書士の友人、雪野順子、別れた夫、遼吾と連絡を取り続ける。
保健所の医師の判断で、莉子は2件の精神病院で診察を受け、
自宅のある寿市の隣町、湖町にある極北病院に措置入院した。
この最悪の事態まで動かなかった保健所の職員に、コオは怒りをぶつけた。
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すでに日は落ちていた。
ポン、と携帯にメッセージが届いた音がした。
『今週締切の書類の手直しできましたか?』
コオは笑いたくなった。警察に莉子が保護され、警察に電話をかけ、保健所につないでもらい病院に入院させる。
全神経を集中させ、決して警察も保健所も逃さないように食いつき、トータルで・・・10時間のバトル。ようやく、終わったと思ったら仕事?
『明日、送ります』
明日、そんな気力があるかわからない。でも、コオはそう返信をし、ベッドにもぐりこんだ。
しばらくじっとしていたが、ふと、コオはもう一度携帯を開いた。
もう一人、知らせなければならない人がいたことを思い出したのだ。
『真子。新年おめでとう。報告したいことがあってメッセージしてます。妹が入院できたよ。去年の春、真子に相談した時に入院するためには診断書を取っとくべき、て聞いておいてよかった。あれから半年以上かかったけど、真子の言う通り準備しておいたおかげで今回は措置入院できた。』
警察官の大和田真子はコオの高校の同級生だ。去年、莉子がタクシ⊸の無賃乗車したことで警察から連絡が来た後に相談をしていた。どうしたら病院に入れらる?という問いに、とても難しい、でもできるのは何としてでも早いうちに精神疾患の診断書を取ること、それを用意しておくことだ、と助言をくれたのだ。
『あけおめ。私は夜勤明けたところだから起きてるよ。大丈夫。確認したよ。何が起きたのか。措置入院できたのね、よかった。』
『うん、ほんとうによかった。保健所は最悪だったけど。』
『でしょう?わかる。保健所ってホントダメ。対応遅くてさ。』
真子は何が起こったのか報告書?を見られる立場にいるらしい。
『前話したタクシーの無賃乗車もふたを開ければ、私がしりぬぐいした2回以外も何回もやってたの』
『まったく!!それで何にもしないんて、家族の身にもなってみろっつーの!!』
真子はポンポンとレスポンスを返してくる。
『措置入院なら公費だしさ。コオが身銭切らなくていいし。医療保護だと家族が払うことになるし、そこそこお金かかるからね。』
「え?」
コオは声に出してしまった。お金払わなくていいの?そんな話、一つも保健所から聞いてないけど。
『知らなかった。お金かからないんだ。』
『そうそう。けど、措置は永遠じゃないから、ここからどうするかだね。多分妹さんの病気、もう直すのは難しいと思う。』
コオは真子の小気味のいいメッセージに少しずつこわばった脳がほぐれていくのを感じていた。
コオが欲しかったのは、こういう”リアル”だった、ということに気づいた。
建前。ルール。妄想。そこにリアルはなかった。
ルールに縛られた警察、建前と言い訳ばかり繰り返す保健所、妄想の中で生活している莉子との10時間近くにわたるバトルはこんなにもコオを疲弊させていたのだ、とコオは実感した。
『私に役に立てることがあったらいつでも言って。同級生なんだから!!』
『ありがとう、心強い。明けのところ、ありがとう!』
コオは送信した自分のメッセージに、真子がハートマークのリアクションを返してくるのを確認し、ようやく眠りについた。