*これまでの話**
父が脳出血で深夜から明け方にかけ、救急搬送されたと妹の莉子から連絡があった。
コオは今は感情に蓋をして、娘らしいことをしようと考える。父に万が一のことが起こることを考えて、早いうちに妹の莉子にFAXで送ったToDoリストからはじまったコオと莉子のやりとりはまったく話がまったく噛み合わず、コオは自己否定していた過去のフラッシュバックに悩まされる。
父は意識を取り戻し、順調に回復していたが、救急から、外部病院に移らなければならないようであった。
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コオは怒っていた。
週末の日曜日、莉子からFAXが来た。父が倒れてから明日でちょうど1週間だ。
《明日パパが病院を移ります。私は忙しくて無理なので、ちょうどお姉ちゃんにパパの移動をお願いしようと思ってました。時間は…》
「は?どういうこと?ほんと頭にくる!!」
コオは吐き捨てた。
父の転院があるらしいということは病院から聞いてはいた。車で送っていくつもりもあったが、いつ転院なのか知らなかったコオは、会社に休みの申請もしてなかった。ましてや、月曜日は会議のある日だ。よりによって前日に《明日行って》とは、図々しいにもほどがある。普通の勤め人は朝から夕方まで(私のような社畜は夜まで)働いてるんだよ!!遼吾だって1時間半以上かけて勤め先まで通ってる。未だに親のスネかじってる奴はこれだから…
「でも、車なかったらどうするのさ。」
遼吾がいった。
「介護タクシーだよ。なんか点滴棒とかも一緒に移動できるタクシーがあるみたい。ともかく、前日に頼もうと思ってた、とか馬鹿にしてる。そもそも、社会人ならもっと前に連絡すべきだし、急に決まったならきまったで、急で申し訳ないんだけど、送ってもらえませんか?って頼むのが筋でしょ。なんなのこれ。」
コオは怒りながら、返信を書いた。
《私も嶋崎も、仕事があるので、前日に言われても困ります。こちらは試験直前の受験生二人を抱えた別家族だということがわかっていますか?》
腹の虫が収まらず、コオは、そう書いて、送信してしまった。