今回紹介する、読むとテニスが強くなる本は、意表を突いて、将棋のプロ棋士になられた方の本です。
2015年、講談社 今泉健司著
「介護士からプロ棋士へ」
41才でプロ棋士になられた方で、副題がまた面白い
「大器じゃないけど晩成しました」
何故この本を読むとテニスが強くなる本で紹介しようと思ったのは、この本はメンタル本であり、とても参考になる自伝本として読めるからです。
将棋をテニス、手合いを試合に置き換えればそのままテニスに役に立つ。
理由を列挙すると、
① 将棋のプロになろうとしたら奨励会と言うプロ棋士の養成機関に入り、26才までに4段になればプロになれると言うルールの中、
著者は14才で奨励会に入り、二十歳で3段になり順風満帆に見えたが、ここ一番でもう1つ壁が越えられなかった。
手合いでの、心理状態、メンタルコントロールの上手く行かない様子がとてもテニスに役に立つ。
こう言う発想、考え方、心理状態だと上手く行かないんだな、と言う事が反面教師的にわかり、また自分自身も同じ思いを経験したことがあり、心が苦しくなる瞬間がありました。
結局、著者は26才までに4段になることが出来ず奨励会を退会するのです。
② しかし、将棋をやめて別な仕事になったことで、逆に将棋が強くなったのです。
それが介護士だった。
不思議ですよね、奨励会で将棋に14~26才まで打ち込んでいた時より、介護の仕事が役に立った。
アマの大会で無類の強さを発揮して、プロになる制度が変更になった事から、再びプロを目指す道を選んだ。
目先を変えることで、強くなる良いお手本ですが、介護の仕事って本当に大変なんてすね。
介護の仕事の大変さが書いてあり、それがメンタル強化のトレーニングになった。
介護士の方を尊敬します。
③ まさにこの人の人生は七転び八起き。
7回転んだ理由、心理状態、8回起き上がったメンタルは非常に役に立ちます。それが41才までプロになるために時間がかかったのですが、
何度も何度も跳ね返されて、こりゃ普通なら諦めるな、と思いきや再びチャレンジしていくメンタルを是非参考にして欲しい。
結論から言うと、この人はメンタルが弱いわけではなく普通だったと思います。
しかし、将棋のプロ棋士になるには普通ではダメなのです。
そのために最初はプロになれなかったのか、介護士の仕事、それとその時に付き合い始めた彼女のメンタルコントロールが素晴らしかった。
上手くいかなった時の心境や状況を肯定的に書き出す方法ですが、メンタルコントロールの本にも載っているのです。
著者の彼女が、その方法を知ってきたかどうかは定かではありませんが。
思ったのは、介護の仕事に限らず大変な仕事は日本の社会にいくらでもあるのではないでしょうか。
私もサラリーマンを8年間経験し、その大変さは知っているつもりですが、皆さんが今やっている仕事自体がメンタル強化に役に立っているかもしれません。
思えば、比較するとテニススクールでのテニスコーチの仕事は、慣れれば気楽な仕事です。
だから試合に勝とうとすると、メンタル本を読む必要になるのかもしれませんが、
もしかしたら皆さんは、日頃からご自分の仕事でメンタルトレーニングをしていて、後はテニスの練習をするだけかも。
この本の副題、大器じゃ無いけど晩成しました、は私たち普通の人が目指すところで間違いありません。