<二三、攫われる>
金田一は、二三に呼ばれたような気がしていた。
美雪には何も聞こえなかったが、着替えにしては遅いと感じ、
二三がいる着替え室に向かった。
美雪が着替え室に行くのを見ていた金田一は、
お面をつけた新撰組のコスプレをした人がスーツケースを押して歩いていく姿を見た。
金田一は、
「なんだぁ?コスプレに『お面』までつけて・・・変な奴!」
と思った。
「はじめちゃん!」
と、着替え室にいる二三の様子を確認しにいった美雪が金田一に急いで駆け寄ってきた。
「フミちゃんがどこにもいないの!!」
2人が着替え室にいくと、
そこには衣装と靴もリュックはあるが、
肝心の二三本人の姿がない。
美雪が受付の人に聞いてみたところ、
二三以外は誰も入ってはいないらしく、
二三本人も出てきていないらしい。
ここで金田一は、着替え室に裏口の扉が開いていることに気づく。
そしてこれらの状況から、
お面をつけた新撰組のコスプレをした人が二三をスーツケースに入れて運んだことに気づき、金田一は急いでお面をつけた新撰組のコスプレの人を探した。
駐車場に向かうと、お面をつけた新撰組のコスプレをした人が車に乗って逃げる姿が見えた。
「止まれ!止まれ~~~!」
金田一が車を止めようと車の前に立ちふさがるが、車は右に曲がって、そのまま行ってしまった。
(美雪はこの時、スマホでお面の新撰組の人が乗っている車の写真を撮った。)
しかしその車は赤信号で止まっており、
金田一はすぐにその車を追いかけた。
だが、お面の新撰組の人は、
信号無視でアクセル全開で逃げてしまった。
金田一は、美雪に車の写真を撮ったか確認し、
ある人物に電話を掛けた。
電話を掛けた相手は、警視庁捜査一課の剣持警部。
金田一「おっさん!
今から送る画像の車をすぐに手配してくれ!」
剣持「あ?どうしたんだ、いきなり?」
金田一「フミが・・・フミがこの車の男に誘拐された・・・」
<犯人から警察への挑戦状>
剣持警部が金田一達の元に現れた。
送られた画像から車のナンバーを割り出した結果、
盗難車だということがわかった。
沿道には検問を敷いたが、それらしい車は通っておらず、
どこかで車を乗り換えた可能性が高いらしい。
「あの時、俺がついてやってたらこんなことには・・・」
と、後悔する金田一。
すると正野刑事が剣持警部に慌ててやってきた。
犯人から警察に電話が入っているらしい。
剣持警部は正野刑事に
「とにかくここに電話を回せ!逆探知を忘れるな!」
と指示。
金田一は、犯人の行動に対し
「誘拐犯が警察に電話って・・・何考えてやがんだ!?」
と言った。
全ての準備態勢が整い、剣持警部は誘拐犯からの電話に出た。
(犯人と警部の会話)
”
剣持「もしもし、警視庁捜査一課の剣持警部だ。」
???「やぁ刑事サン。
私は新撰組の『沖田総司』。
小学生の女の子を誘拐したよ?」
※金田一は、
犯人がダックボイスかなにかで声を変えている事を察した。
剣持「ほう、『沖田総司』か・・・お前の要求はなんだ!」
沖田「身代金を三千万、警察が用意してくれ。」
剣持「なっ、警察に身代金を要求する気か!」
沖田「そう。違反キップとか切ったカネがたんまりあるだろ?
そこから身代金を出すんだ。
ださなければ女の子は死ぬ。
そしてお前たち警察が三千万のカネをケチって
女の子を死なせたって
日本中のマスコミにばらまいてやる。」
剣持「キサマ・・・正気か!!」
沖田「クックックッ。
今からいう方法で金を運ばせろ。
運ぶ人間は全部で6人。
こっちで選んだから必ずその人間に運ばせるんだ。」
ここで正野刑事が剣持警部にホワイトボードで
"電波は持ち主不明のトバシ携帯ですが
電波の位置が特定できました
京王線の高幡不動駅周辺です"
と書いたのを見せた。
※トバシ携帯・・・他人や架空名義で契約された携帯電話のこと。
剣持「(書かれた内容を理解し、頷く)・・・で?
誰だ、その6人というのは?」
沖田「新撰組祭りのイベントに参加している
・近藤勇
・土方歳三
・永倉新八
・山南敬助
・新見錦
・斉藤一
同姓同名の6人を選んで協力させろ。」
剣持「し、新撰組の6人・・・・?」
沖田「ウソをついて警察を送り込んだりすればすぐにバレるぞ?
次の指示は警視庁のSNSにメッセージを送る。」
”
と、ここで『沖田総司』と名乗る誘拐犯からの電話が切られてしまった。
「オッサン、携帯からなのか?位置は?」
「落ち着け、金田一。」
と、慌てる金田一を落ち着かせる剣持。
剣持警部が言うには、
位置は特定できても100mか200mの範囲内で、
祭りの最中では人が多すぎて、
一人にまで絞り込むことは不可能とのこと。
「ともかく、新撰組祭りの参加者を集めよう。
しかし問題は金だ。そんな大金すぐには・・・」
と、悩む剣持警部に、
「三千万すぐに用意させましょう。」
との声が。
そう言ったのは明智警視。
明智「今は人質救出が最優先です。
私はすぐ捜査本部を設け指示を送るので、
祭りの現場には剣持警部が向かってください。」
と、剣持警部に指示。
剣持「わかりました。
本部をよろしくお願いします。
よし!いくぞ、金田一!」
金田一「おう!」
剣持警部、金田一、そして美雪の3人は現場に直行。
明智「・・・フッ
警察が身代金を要求されるなんて・・・
ずい分ナメられたものです。
そんな警察をナメ切った犯人は必ず逮捕する。
警視庁捜査一課 明智健悟の名にかけてね」
<同姓同名の新撰組の6人に協力要請>
新撰組の皆さん「ええ!?俺達に身代金を運べって!?」
剣持「皆さんのお力がどうしても必要なんです。
どなたかお願いできないでしょうか?」
と剣持が新撰組達に頼むが、新撰組の皆さんは渋るばかり。
金田一「お願いします皆さん!
誘拐されたのは俺のいとこなんです!
一人きりにしちまった俺の責任もあるんだ。
だから・・・この通りです!フミを助けてやってください!」
と、新撰組の皆さんの前で土下座をしてまで頼む金田一。
その金田一のお願いに、
新撰組の隊士と同姓同名の5人が次々に名乗り出た。
・「・・・俺、やりますよ。
永倉新八です。よろしく。」と、若い男性が。
・「近藤勇です。
私もやらせてください。
いやーこの名前を貰って誘拐相手に腰が引けるわけには
いかないです!」と、中年の眼鏡を掛けた男性が。
・「土方歳三!
新鮮局長がやるって言ってるんだから、
俺がやらないわけには、いかないっしょ?」
と、男性が。
・「あたしでよければやりますよ。
てか新見錦ってあたし一人だし、
やらないわけにはいかないわね。」と、女性が。
・「じゃあ斉藤一は僕がやりますよ!
沖田総司と並ぶ最強の剣士ですからね。
敵に背中は見せられないッス。」と、若い男性が。
そして最後の一人"山南敬助"という男性は消極的だったが、
剣持警部に説得され、
「仕方ないなぁ・・・でもあんたらの責任だからねー?」と、協力してくれることに。
金田一は協力してくれる同姓同名の新撰組6人に感謝を言った。
そこへ剣持警部の携帯に明智警視から電話が。
犯人からメッセージが届いたのだ。
(犯人からのメッセージ)
”
明日の午後二時半
今頃警視庁捜査一課宛てに届いているはずの携帯電話と
三千万を詰めた黒い鞄を近藤勇に持たせて
隊士全員で京王稲田堤駅の南口改札に集合しろ
そして連絡を待て
それぞれ今日と同じ新選組隊士の衣装を着てくること
そして金を持っている近藤勇以外は
PASMO1枚以外は何も持たずに手ぶらで来い
遅刻は厳禁だ
遅刻した人間が人質を殺すころになるのを忘れるな
そして警察などの尾行者がいた場合
その場で取引終了
人質の命はない
沖田総司
”
犯人からのメッセージを読んだ金田一は
「くそ・・・!一体何を考えてやがるんだ!
この『沖田総司』って奴は・・・」
と感じた。
<感想>
第2話で、まさか剣持警部と明智警視が同時に出るとは。
ってか、一人しかいないのに謎の決め台詞を言える明智警視、ブレないですね。
そして今回の話を見て、あんだけ新撰組の皆さんが大勢いて
新見錦が一人だけってなんか気になる。
考えすぎなだけかもしんないけど・・・次回どうなるか気になりますね。


