病気の猫の捕獲例 12/12 | greensonicの迷子猫探し・保護までのブログ  脱走防止柵の作り方 保護活動など

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猫を迷子にして、97日目に無事保護するまでの実体験やノウハウ。その他、脱走防止柵作りや保護活動、猫のこと。ときどき安全保障。

そんな回復のし方って、実際にあるんですね

 

Dさんはナミ(仮)の捕獲後から献身的な治療を続けました。

「あの頃は毎日、早朝に餌と投薬をしに行っていたっけ…」と思い出します。「大変だったなぁ~」そう、回顧しています。

捕獲したはいいが、酷い口内炎だけではなく、重度(++++)の糖尿病。すでにケトアシドーシスが始まっていました。偶然ですが、捕獲が数日遅れていたら、低血糖になって動けなくなっていたでしょう。

何と言っても問題は、触る事すら出来ない猫なのです。それは、未だに…ですけど。

それを、朝晩2回のインスリン注射をしなければならないのです。「どうしているんですか?」と聞いたら、「触れないから、大きなバスタオルを持って部屋の角に追い詰め、押さえつけて注射をする」のだそうです。毎日ですよ、毎日、朝晩。

毎週の通院。それも、周辺では皆さん口を揃えて「値段が高い」という動物病院です。いつ終わるか分からない、終らないかもしれない、糖尿病の大変な治療が必要と分かって、正直、私は暗に「治療を諦めて、看取るのも選択肢にあっていいのですよ」と伝えました。

それは、身体的にも経済的にも負担が大きすぎるからです。

それでも諦めず、Dさんは治療を続けました。すると、半年位すると波はあるものの、徐々に回復の兆しが見え始めました。

追い詰めて注射するので、インスリン注射が上手く行かず、全量が投与出来ない事も頻発しました。すると、途端に血糖値が上がり、病院に連れて行くことが何度もありました。逆に下がりすぎる事もあります。

大気が不安定な中で、小型飛行機が飛ぶような状態だったのです。

捕獲してから3か月が過ぎると、抗生剤が切れて、また、口が痛み出し、医師と相談して、全身麻酔と残りの歯の抜歯です。牙以外は全部の歯が無くなりました。でも、工夫さえすれば、食事は問題なく食べられます。私が以前飼っていた猫の経験をお伝えしました。

その後も、検査して血糖値次第で入院したり、検査して数値が悪ければ通院病院と、頭を悩ます事が続きます。

半年ほど経った頃から、「インスリン注射を一時止めて様子を見ましょう」と獣医師から言われるようになったのです。

もちろん、それで終わりではなく、採血して血糖値等の数値を確認しないといけません。ということは、頻繁に病院に行く手間と、もちろんお金がかかります。

毎週の通院が隔週となり、月に一度になりました。それで、次は2か月間、インスリン注射を止めて様子を見るまでになりました。

通いの病院は比較的大きな病院です。でも、糖尿病でインスリン注射をして、注射を止めて様子を見られるようになったのは、2例目目だそうです。

猫の病気に詳しい人から「治療がバッチリ当たると、治る事がある」とは聞いていましたが、まさか、自分が関わった猫がそうなるとは思ってもみませんでした。

頻尿流れ星傾向はまだありますが、血液検査の結果、血糖値には異常がなくなり次の検査は2か月後となりました。現在ではそのまま治療が終了となりました。腎臓のALT値は高いのですが、それは致し方ない。

ここまでの治療が出来る一般人はそういないと思います。このような餌やりさんと知り合えたことに感謝したいです。そして、今でも地域猫の事で連携しています。

捕獲して、治療が進むにつれ、表情はどんどん穏やかになり、やせ細っていた体も”猫並み”になりました。毛艶も毛並みも良くなり、とても可愛くなりました。

やはり、猫は家の中でまともな飼い主に飼われるのが、一番幸せです。ただ、外で暮らす猫全てを、家猫にすればいいというものではありません。”外でしか暮らせない(なくなった)”猫は、無理に家猫にはしません。

病気の猫の治療を考えている人の参考になれば、幸いです。

保護から2年半余りが経ち、ナミ(仮)は他界しました。ビックリする程高い治療費も支払い、回復を信じていたそうです。

正直、私はそこまでやる気はしませんが、飼い主が決める事です。

あと数日で終えた命を大変な手間をかけて繋いだ訳ですが、これも「引き取って最後まで面倒を見る」と決めた里親様がいなければ出来なかったことです。

これからの地域猫との付き合いを考えるきっかけになれば、幸いです。