またしても、天の采配か。そして安堵
捕獲当日、とはいっても、あくまで予定日です。朝から異常に寒かったこの日、いつものように6時半頃から餌やりの準備をします。
悩んだのが、捕獲目的の猫に餌をあげるかどうかです。通常は、捕獲器には餌でおびき入れます。
捕獲予定日の前日、朝は20g、夕方30gと食べた量はかなり少なく、調子の良いときの一食ウェット餌200g越えとは大違い。
もちろん、小型の猫の体重からすると食べさせ過ぎです。抗生剤の副作用で過食となっていた(後日、重度の糖尿病と判明)ようです。しかし、食べる食べないの差がありすぎて、食べられる時には多く与えるようにしていました。やむを得ない処置でした。
酷い口内炎なので、2か月間、最初に薬を入れた少量のスープ・ペーストを更に水で薄めたものをまず食べさせ、食欲があれば追加で食べられるだけ与える2段階方式を、ボランティアのDさんと共に取っていました。そこまで協力してくれる餌やりさんはいません。Dさんには心から感謝しています。
体調が悪い動物へ餌に薬を混ぜて与える場合は、最初はなるべく少ない量にして与えるのがベストです。とはいっても、薬の苦さや体の状態と実際に食べる餌の量をトータルに考えて下さいね。
最初から多い量の餌に混ぜてしまって、結局残してしまったら、元の木阿弥ですからね。
苦さは当ブログで書いた通り、Dさんから教えて頂いたオリゴ糖作戦です。
抗生剤にオリゴ糖を混ぜ少し苦い位にして、それを少量のスープ状の餌に混ぜて与えました。
捕獲はまず、病気の猫のみ。前日にそう決めました。”二兎を追うもの一兎をも得ず”私たちの先人の教訓に従いました。
捕獲予定日当日は悩みました。母猫も一緒にご飯を待っているからです。親子両方に餌を与えなければ、捕獲器には餌で入るでしょう。でも、別々に分かれさせないといけません。
悩んだ結果、捕獲を見送る事も考え、いつもの通りの餌やりをしました。
ナミは薬入りの餌を120g食べました。病状回復を第一としたのです。
親子が食べ終わると、おそらく日本で私一人しかやっていない、捕獲器をアナログ リモート仕様にセットします。もちろん、2匹とも近寄って来る筈はありません。
4m程離れた位置に椅子を置き、陣取ります。そこからは捕獲器が見えます。そして、人通りのある道からは見えません。諸条件を考えると、そこにしかいられない場所です。
中に目的の猫が入れば、”ある動作”をすれば、扉が閉まって捕獲成功です。
寒さの中、食休みをする親子猫は、私の潜む建物を回り込んだ位置にいました。捕獲器は雨をよける為に、屋根下の位置で日陰ですから、少しでも暖かい道路近くにいたようです。
時間を置いて見に行くと、また同じ位置にいます。今の時期、食後のお決まりのパターンなのかも知れません。
何度かそこをのぞき込みましたが、捕獲器に近づく気配はありませんでした。すでに待機してから3時間近くになります。私は朝ご飯を食べていないので、寒くて震えそうです。薄着過ぎたかなと反省していました。それにしても、近くにいるのに、居場所が分からない。
また、親子猫をのぞき込むと、いない。 えっっ…どうした?
捜すと、通りを超えた駐車場の、日が当たり始めた所に移動してました。ガーン さすが、長く棲んでいるだけあって、お天道様のパターンを熟知しています。でも、どうしよう。困ったなぁ。離れちゃった…。
それで、遠くで親子が日向ぼっこする写真を家内にメールしました。ついでに欲しい物リストも送り、持って来てもらう事に…。今考えると、これが物語の始まりだったのかも知れません。
それが事態を大きく動かすきっかけになりました。今思えば、天の采配が動き始めたのです。
持って来てもらったのは、使い捨てカイロ、同じく足用、鏡(回り込んでいるのを見るため)等です。家内が来ると「ご飯をくれる良い人だ」とまったりしていた親子に動きがみられました。
私は、捕獲器の方向に猫が来るのかどうかの確認のために、ちょうど鏡をセットしている時でした。
ここから事態が急に動き始めます。あえて遠巻きに見ている家内から、「ナミが私の潜む方に向かっている」とメールが来ました。母猫はそのまま日向ぼっこ。「よし、今がチャンス」と、すぐに猫が好きな物を捕獲器に入れました。
そして、すぐに元の位置に戻り待機。すると「今、水を飲んでいる」とまたメールがありました。捕獲器に近づいて来ています。
その好きな物の匂いにつられて、捕獲器に入ってくれるのを祈りました。事前に仕掛けたカメラで、”その好きな物に”つられて、捕獲器に入るのは確認済みです。
ゆっくりと歩いて来たナミ。好物の匂いに気づき、クンクンと探して、捕獲器の中に入りました。全身が入ったそのタイミングで”動作”をして、見事捕獲に成功したのです。
もちろん、離れている母猫には気づかれていません。家内が私の目となって、状況が把握出来たおかげです。
すぐに捕獲器を布で包み、自宅へ直行。車に積んで動物病院へ
車の中から動物病院に家内が電話連絡。猫を引き受けてくれるボランティアのDさんにも「捕獲成功!」の連絡をします。
やっぱり、天の采配があったと感じずにはいられませんでした。
予感は的中したのです。
動物病院に向かう途中に、道端に転んでいるかなりご高齢の女性を発見。「これはきっと、偶然ではない」と、急いではいたものの車を停め、家内が駆け寄り体を起こすと、頭を打っているようなので、動かないように説得。私は、家の方を呼び出し「頭を打っているので、救急車を呼んで下さい」と伝え、外に出ていたお隣の方にも、協力を依頼しました。ひと段落ついたところで、動物病院に向かいました。
「助けてあげたのだから、あなたも協力してくれないか」という、”私たちに力を貸してくれた何か”からのお願いだと、感じずにはいられませんでした。
思い起こせばもう一つありました。ナミを捕獲する2週間程前でしょうか。早朝にナミと母猫に餌やりをしていると、遠くの方で「ガッシャーン」と何か音がしました。その音の方向を見ましたが、異変はありません。そのまま餌やりを終えて、7時位に家に戻る途中、軽(自動車)バンの後ろにオートバイが倒れています。駆け寄ると、車から2本のラダー(渡し板)が設置してあり、その上にDucatiが「倒れています。
私はライダーなので、すぐにその状況が分かりました。車からDucatiを下ろしている時に、ラダーからタイヤが落ちてしまい、倒れてしまったのです。
ところが、下ろしていた本人がいない。すると、何故かラダーと道路の間に挟まっていました。「大丈夫ですか」と声をかけると、ズリズリその隙間から這い出して来ました。
とりあえず、大きなケガはないようです。無事を確認して、二人でを立てて、どうにか道路に戻せたのです。
今考えると、あの状況ではオートバイ、それも排気量の大きい物の扱いが分からないと、いくら力がある男性でも立てられません。倒れているを起こすには、コツがいるのです。
時間帯を考えたら、もしかしたら、これも私にしか出来ない、協力要請だったのかも知れません。