誰のための脱走防止柵? | greensonicの迷子猫探し・保護までのブログ  脱走防止柵の作り方 保護活動など

greensonicの迷子猫探し・保護までのブログ  脱走防止柵の作り方 保護活動など

猫を迷子にして、97日目に無事保護するまでの実体験やノウハウ。その他、脱走防止柵作りや保護活動、猫のこと。ときどき安全保障。

目的は、ブレてはいけません

知り合いの地域猫のボランティアさんがいます。私たちより一生懸命、譲渡先を探しています。それはいい事です。先日、知り合いのつてを辿り、猫飼いの経験のある方に譲渡の話を繋ぎました。拍手

譲渡する猫は、人馴れしやすく、甘えん坊。おっとりしていて、ちょっと抜けている。家猫に向いているので、ボランティア仲間も賛成しました。

それで、一度その猫を見に行った上で譲渡となり、家内が同行しました。

あくまで、同行という立場なので、基本的には口出しはしなかったそうです。先代猫が使っていた猫部屋が引き継がれ、家の中は小ぎれいで、何も問題はない。ただ、以前、飼っていた猫が集合住宅の上層階から転落、大けがをした事があるので、当然、脱走防止の必要性と、注意点の説明をしたそうです。

その里親様もそういうアップ経験があったので、今までは”窓やドアを確実に閉める”という認識はありましたが、物理的に屋外に出られなくする脱走防止柵を作るという認識はなかったようです。

そのボランティアさんは、脱走防止柵の必要性は十分理解しています。ただ、家内が部屋を見たら、「玄関も、ベランダのある部屋も、脱走防止柵が作りにくい構造」だったそう。それで、写真カメラを撮って来て、簡単な図面を書いてメモ、私に説明しました。人様のお宅なので、写真はお見せ出来ませんが、確かに今の集合住宅の作り方ではなく、「はい、これを買って、こうつけて…」で済む感じではありませんでした。

家内は、地域猫だった猫(家猫修行無し)を飼う注意点、脱走を防止する為の知識を説明する所までで帰って来ました。そして、そのボランティアさんは、資材を買いに行き、脱走防止柵を作る事にしたそうです。

家内からの説明を受けて、確かに玄関は普通の考えだったら、柵は付けにくい。和室でいうところの”梁”のような物がなくはないのですが、壁からの出っ張りは僅か20mm程、高さは40mm位しかなく、おまけに柵の邪魔になるカーテンレールもある……。

梁とは、柱と柱を横に繋いでいる、構造上の補強材をいいます。和室ならほぼ部屋の一周、2m位の高さに付いています。

私が家内に話したのは、「そのアップ板が梁かどうかも分からない。その寸法(20×40mm)からして、ただの飾りかもしれない。とすれば、突っ張り棒を立てて強度的に持つかどうか分からない。もし、自分がちゃんとしたのを付けるなら…」と、難しい取り付けの解決策のアイデアを家内に話しました。

もし、「任せてもらえるなら、部屋を見させてもらって作る事は出来る。でも、タダではやらないよ」そう言いました。

家内は、「いや、もう関われない。○○さん(ボランティア)がこれから資材を買って作ると言っていた。自分が見つけて来た里親さんではないから、手は出せない。」そう言いました。

自分で見つけて来た里親さんなら、その責任に於いて譲渡前にちゃんとした脱走防止対策をしてもらう。もし、してもらえないなら、譲渡はしない”、これが私たち夫婦の共通した認識です。里親様には感謝はするけれど、こちらは自腹も切って譲渡しているのだから、猫の一生を考えたら安易な妥協はしません。ただ、そのボランティアさんは、どうも”猫を引き取ってくれるのだから…”という、一生懸命ながらも、負い目を感じている行動が見受けられるのです。

その心理は分からなくもないのです。沢山の猫のエサやりを自腹でやっていて、猫が減れば自分が楽になるのですから…。

それで、どうやら、自腹で突っ張り棒とか、100均のスチールメッシュを買い込んで里親様宅に戻り、一人で脱走防止柵を作りました。

私は、「あの複雑で支えが無いに等しい玄関を、○○さんがちゃんと作れるとは思えない。自分にアドバイスが出来ればするけれど…」と家内に言いましたが、家内は「ダメだよ、○○さんは人に口出しされるのが大嫌いなのは知っているでしょうはてなマーク まして、ウチが見つけて来た里親さんじゃないから、これ以上は関われない」と言いました。

そうなんです。そのボランティアさんは、一生懸命なのはいいのですが、残念な事に物作りの基礎を知らないのです。今までも、猫に関する物作りを見て来て、申し訳ないけれど、勢いと行き当たりばったりの作り方なのです。例えば、何かを作るのに、メジャーさえ使わないのです。

「そうかぁ。たぶん満足な柵は作れないと思うけれど、口出しはやめよう」となりました。それで、出来上がりの送られて来た写真を見ました。びっくり僅か20mm程の出っ張った”梁のようなもの”に、突っ張り棒を掛けて、100均のスチールメッシュをすごい数の結束バンドで縛っています。だからパッチワーク感は否めない、そしてスチールメッシュが足りなくなり、高さが150cm位の場所もありました。目

幅20mm位の所に突っ張り棒の足の”一部”しか掛かっていませんから、メーカーの想定している面積の密着はしていません。恐らく、半分以下の面積です。という事は、不安定ですね。

ご存じの通り、この手のスチールメッシュは縦横が30mm位のメッシュ構造です。ですから、横の線(棒)に爪が掛かりますから、猫がその気になれば、一瞬で天井まで登れます。天井の高さが2m50cm程なら、2秒かかるか時計どうかの時間です。

ですから、私が作る脱走防止柵のメッシュタイプは、”上から下までフルカバー”したものしか作りません。里親様宅の家庭訪問をして、市販されている縦棒だけの脱走防止柵の高さ180cm位の物でも、天井との隙間は、なるべくトリカルネット等で隙間をなくすようアドバイスしています。

なぜなら、例えば脱走防止柵の隣に、高さ120cmの靴箱等があったらどうでしょう。譲渡時はそのような物がなくても、模様替えで後に悪気なく背の高い物を置くかもしれません。120cm180cmその差は、たった60cm。猫なら簡単に飛び乗れますよね。ショボーン

もう一つ気になるのは、玄関口ですから頻繁に出入りがある訳です。

つまり、出入りし易くないといけない。私が作った脱走防止柵の1/7のロックは、安上がりですが、指一本で開閉出来ます。買い物袋を持っていても、指一本上差しで操作出来る仕様にしました。

それだけではなく、見栄えも重要なのです。なぜなら、見栄えが悪ければ、使い易くて完全な脱走防止柵だとしても、外してしまう可能性があるのです!!

実際に、ある里親様に譲渡の際、脱走防止柵のアドバイスをしました。

物は購入して設置されていたのですが、掃き出し窓のガラスとの隙間が大きかったので、もっと詰めてもらいました。譲渡して数か月経って、SNSにその猫をアップしているのでを見たら、柵が外されていたビックリマークムキーのです。更に言えば、その里親様は一度保護猫を逃がし、私たち何人もで数日かけてやっと見つけて捕獲した経緯があるのに…です。しかし、もうこれ以上言う事は出来ません。

いろいろな保護猫の譲渡時の写真を見ると、正直、「あぁ、既成事実柵ねショボーンという、柵をよく目にします。中には、市販の物を付けたり、自分でDIYした立派な柵を作る人もいて感心する物もありますが、多くは”安物作りの猫失い”になりそうな、100均の物、ラティスフェンス、すのこ、ネット(網)を使った物です。すのこを横にして脱走防止柵と謳っているのも見ました。猫に「ここから上って下さい」と言っているようなものです。ブー

おそらく、アップで書いたタイプは、とにかく、とにかく、安く上げる為に、蝶番さえも使わず、結束バンドで代用する。扉部分の鍵の替わりに、大きな洗濯バサミで代用で作っていると思います。だとしたら、開閉はスムーズではなく、出入りも面倒くさくなりますね。

家内もそういった既成事実的な柵を見ていますから、「あれだと、使い勝手が悪くて外すかも知れない」と言いました。そして、転落事故があったベランダの窓は、何も出来ずにそのままとなりました。えー

私が他人の玄関用の脱走防止柵を作らないのは、家の顔(だと考える人もいる)とも言える玄関なら、そこはプロ(大工さん)の領域だからです。

設置した時は、使い勝手が良くて「これでいい」と納得しても、後で「やっぱり見栄えが悪い」と外すかも知れない。それなら、それなりのお金を出すのを納得してもらって、見栄えも使い勝手も良い物を長く使ってもらう。それが猫の為です。もちろん、玄関が対応出来る幅ならば、既製品を設置してもらうのも構いません。

私が、ある程度しっかりした柵は「タダでは作らない」というのは、それなりの責任があるという自負があり、まともな物を作るには、お金も技術も時間もかかるからです。「ボランティアなのに金を当てにするのか」と考える人もいるかも知れません。

美容師を例にすれば、何年も辛い修行をして、仕事に就きます。それで、休みの日にボランティアで、施設で無料カットする。社会への恩返しは素晴らしい事です。

でも、そういうカットする技術や道具への金銭的、時間的コストがかかっています。一旦、職場に戻れば、決まった金額を頂きます。逆に、それをしないとボランティアは出来ません。

私も長年、開発等でメカニズムを勉強し、工具を買って加工したりと物づくりをしたからこそ、アイデアや物を作る術を身に付けました。

アドバイスや、ちょっとした事はボランティアとしてしますが、それ以上は有料サービスという考えです。美容師さんにたとえれば、ボランティアで出来るのはカットとシャンプーまで。パーマをかけたいのなら、それは資材も時間もかかるから、無料では出来ませんよ、という感じでしょうか。

線引きせずに、どこまでもボランティアは出来ません。まして、部材までも自腹で買って作る事はしません。そこまでしないと、猫を引き取らないのなら、私たち夫婦は譲渡はしません。そこはボーダーラインを引いています。

何でもかんでもボランティアが負担するのなら、人によっては、「猫を引き取ってあげたのだから、費用はそっち持ちでやってくれるのが当たり前でしょう」というような、里親さんが出てくるかも知れません。そうアップしてもらった人繋がりで、「えっ、あの人はタダで柵を作ってくれたけれど、あなたはお金を取るのはてなマーク」まさか、そのようにならない事を祈っていますお願い

餌やりさんは、「困った事は(金銭的な事も含め)ボランティアに頼めばいい」という人が殆どです。いくら猫のためといって、全て自腹でやっていたら破産してしまいます。そうしたら、本末転倒になってしまいます。”もらってあげた三毛猫”という感覚なら、果たして大切にするかどうかはてなマーク

全てではありませんが、人はお金も含めて苦労して手に入れた物は、大切にする傾向があります。その逆もあります。

「自分で作ってみたい」のなら、せめて、ちゃんと出来る人のアドバイスをもらうという心の受け皿があれば、苦手な事でも勉強出来る。人の知恵を学べるのです。

何度も書きますが、ちゃんと作れる人は、ある程度のお金で自分でDIYするか、出来ないなら正当なお金を出してしっかりした柵を作ってもらう。そのどちらかしかないと、私は思います。

実力がないのに、お金も出さない、でも適当に作るwww…。どう考えて、猫のために良くなるとは思えません。

いい加減なもので失った代償は高くつきます。それも、お金だけでは解決しない場合もあります。

猫の立場に立って考える必要があります。