ママは対人関係などを面白オカシく語った。いつもの私であれば、ケラケラ笑って、混ぜっ返し評論をするところだ。しかし、ママには悪いが気持ちはここにはなかった。この後の検査結果のことが頭を離れなかったのだ。ママには申し訳なかったが、ため息をママに察知されないようにするので、私は精一杯だった。
 14:00。ママに病院に送ってもらった。受付後、待合室で待つ間も息苦しい。不安がどんどん蓄積されていく。K見先生に呼ばれたのは予約時間から30分が経過していた15:00だった。ほぼ時間通りに診察されるK見先生には珍しいことだ。K見先生はいつものように「検査結果は問題ない(CEA3.0、SLX28.6)」とニコニコとおっしゃった。そして、聴診、触診を終え「良いですね!」と言われた。
 そして次回の話に移られた。ご存じないかもと思い、一応、造影剤を入れた翌日の頭痛の件をお話したが「そうですね」の一言でおしまいだった。大したことはないのだろう。「次回は4ヶ月後」と言われたので、私から「3年経過したからですか」と聞くと「そういうことになりますね」と言われた。私は少し残念だった。
 ささいなことであるが「3年経過したから、間隔を開ける」とK見先生に言って欲しかったのだ。3年という節目を越え、4年生に昇級したことをK見先生に表彰して欲しかったのだ。良い年こいたオッサンが何を言っていると言われそうだ。K見先生のご多忙ぶりはよく存じ上げている。肺癌ステージIaのGGO/GGAで何事もなく3年経過した患者より、心配な方は一杯いるはずだ。医師とも言えども人間だ。心ここにあらずでも仕方がないと思う。
 クレジットカードで会計しようと受付に行った。「210円だがカードで良いか」と聞かれた。もちろん、良いと答えた。というか少しでもポイントを貯めたいのでOKだ。なぜ、このようなことを聞くのか不思議だった。