上記は初めて癌が発覚したとき話だ。根治を目指したはずが再発した場合、同じ考え方が原則だと思うが、現実には、そんなに単純ではない。
 私を例に挙げる。私は右肺の上葉をGGO/GGA(スリガラス影)で切除し「根治と思ってよい」と主治医に言われている。ただし、左肺の尖部に5mmの腫瘤(何らかの塊)がある。仮にこの左肺の腫瘤が「悪い方に動き出した」と想定する。GGO/GGAの肺癌は「癌もどき」と呼ばれるぐらい緩やかなものが多い。だからこの腫瘤は転移ではなく原発であろう。原発であれば物理的排除を試みるべきだ。ただ、実際に、その排除の道を選ぶかどうかは別問題だ。
 手術は避けたい。私の肺活量は、肺癌手術前、年齢平均の最低ライン。それが手術後、46歳時点で78歳平均に転落した。葉単位ではなく部分切除でも、今後のQOL(生活の質)が下がることが怖い。テニスができない、楓ちゃんと走れない、子供とも遊べない。そんな生活の為にあの辛い手術を選ぶべきだろうか。私はラジオ波か放射線で焼きたいと思う。しかし、最近ある大病院の医師がラジオ波治療を「進んでしまった方向けのオプション」という表現された記事を拝見した。放射線は焼ける範囲も限られる。トモテラピーはどうだろうか。となれば、分子標的剤を使えれば、薬による治療を選ぶのもありと思う。
 前置きが、かなり長くなった。今回の話題は、その分子標的剤であるALK阻害剤の話だ。今回のご相談を契機にWEBで久々に調べたところ、生存率の記載を発見したのだ。
 所詮統計の数値であって、個人個人がどうなるかは、神のみぞ知る世界である。しかし、その数値は「夢の薬」にふさわしいものである。が「魔法の薬」とは言い難いと思う。