25年~30年前の飛び込み台には有効ですが、ヒコーキ台ではあまり役に立たないと思います。
まず、由緒ある釘師さんの調整方法ですが、
盤面を左右で区切り、力点を置くべき半面を決定します。
(大抵の場合は左側に力点を置くべきなので、説明では左側からハンマーを入れたと想定します)
最初は、天釘を調整し、上から順番にハンマーを入れていきます。
中央で盤面を区切りますが、例外的に天釘4本やヘソのような中央にまたがる箇所は、右側であってもハンマーを入れます。
左側の調整(ゲージの装飾も含む)が終わると、次は右側の調整に入ります。
右側の調整は、力点を置いて調整した左側のゲージが、より映える調整を行います。
言い換えると、右側は手を抜くのではなく、左側の調整に相応しい調整を行うということです。
いずれかの門派に所属する釘師は、門派の教えに従い調整するのですが・・・
門派が違えば、左右のバランスも当然、異なってきます。
一発台のように玉持ちが悪く、入賞の厳しい調整の場合は全体の面構えが・・・
左地獄(残酷釘)、右天国となるのがほとんど(良い釘師の場合だけ・・・)ですが、門派によっては左右対象を門派の教えとする場合があるので、一概には言えません。
装飾も門派によって違いがあります。
装飾とは、八つ袴の足を払うとか、山釘と谷釘の構え方、森すだれの入れ方などです。
森とはゲージの部首読みで、谷返しの裏のバラ釘などの、バラ釘が密集している部首のことです。
ちなみに、
天横の誘導釘から連なるバラ釘は数も少なく、ゲージの要所でもあることから林と呼びます。
(エンゼルのように誘導釘が単独で存在するものは、一本杉と呼んだりします)
すだれはバラ釘の装飾の一般的な呼び方で、一列毎に向きを変えたり、全て外に向けたりします。
全ての森に手の込んだすだれが入るのは、八つ袴揃いに大外釘の残ったゲージであるとかの力作ゲージだけですかね。。。
格の高い釘師は高齢であることが多く、大外が無いと拍子抜けして気合が乗らないのだそうです。
自分は釘師ではないのでそのような手の込んだ調整は出来ないし、何か伝統を冒涜するようで気が進まないので、袴を払う程度に留めています。
装飾は全てプラス調整の域で行うことを基本とし、全体の出玉調整は入賞口と道の開け締めでバランスを取ります。
前置きだけでかなり長くなってしまいました。。。
さて、本題。。。
基本となるのは、本読みですが・・・
ゲージの読み方にも色々あるので、箇条書きで解説します。
・本読み
これは盤面正面の少し距離を置いた位置から、全体を眺める読み方です。
左右のバランスを見極める読み方で、右天国の調整であれば右側の釘のほうが調整角度が大きくなる特徴が良く分かるのと、何と言っても目の保養になるのが最大の利点です。
遠征地で、良い釘師が在籍する店を見つけた時などは、こういう読み方が出来るのと出来ないのとでは・・・・ねぇ(笑)
本読みだけでの台の取捨選択は、当然可能です。
・裏読み
鏡読みとも言います。
右側のゲージだけを見て、釘師の力量や台の性質を見極める読み方です。
右天国の門派であるか否か、右天国であれば釘の調整角度の度合いで、波の荒い調整を好むか否か、が分かります。
波が荒い右天国の場合、右側のほうが調整角度が開き気味となる為、癖が出やすくその見落としがなくなるというのが、最大の利点です。
裏読みは、釘を読むというよりも、釘師を見る。といった表現のほうが当てはまる読み方です。
良い釘師は、
釘をしっかり読む客には、ヒントを与えてくれるものです。
気合がこもった釘調整でも回収台。ということも当然、有り得るのですが・・・
打ち手が間違った釘読みで、その台で負けた(何らかの罠釘を見落とした場合に多い)としても
翌日にこちらの見落とした箇所を目立たせてくれたり、甘く戻してくれたりもします。(これが出来るのが真の釘師です)
また、右側に力点を置いた通常とは真逆の調整の台を見逃しにくくなります。
盤面読みは上記2種類で、以下からは部首読みの説明です。
・天読み
ぶっ込みしか見ない速攻読みです。
使いどころは、新装など客が殺到して台選びが困難なケースに限ります。
店全体が締まったと感じた時は、普段打たない台のシマを天読みして回ったりもします。
全体が締めているのに、一部のシマだけが開け。なんてことも希にあるので、全く使えないこともないのですが、少しでも有利な台を選びたいというだけの戦略に乏しいやり方なので、使い勝手は良くありません。
・天口読み
口とは、天横や天下の入賞口のことで、ぶっ込みと権利入賞口の命釘のみを見る読み方です。
天読みよりは幾分マシですが、初心者の読み方でしかないと思います。
2箇所に注視する位なら、本読みのほうが有効です。(読みに要する時間も同じ位です)
・天口唾読み
口から唾を飛ばす、その範囲の釘を全て読むのでこの名が付いています。
飛び込み台の基本的な部首読みを全て含み、唾の範囲とは大声、
↑
くしゃみではなく、咳き込み。生前の正村氏が喘息持ちであったことから。。。
記憶との戦い(爆)・・・思い出すのも一苦労です(汗)
涎も垂らすとのことで、、パンク穴や役物への寄りまでが見るべき範囲。
要は、全てを見逃すな。ということです。
・れんが読み
落としや袖など下部の入賞口の命釘だけを読みます。
玉持ちを測るのと、門派の判別用に使う使い捨ての読み方です。
・・・名前が付いてるのはこの位でしょうか。
名前は付いていませんが、あとひとつだけ特別な読み方が存在します。
先程も赤で示しましたが、通常とは真逆の調整の台。
この調整が入った台はつまり、
混じるべくして混じった台として、何らかの意味がある可能性が高いのです。
回収台に見えて実はそうではないとか、ストロークを大幅に変更したら準一発台のような出方をするとか、慣れない調整でしか有り得ないミスを含んでいるとか。
この最後の読みは、釘読みだけでなく、頭脳戦としての読みも必要になってきます。
青字の部分は、熟練の釘師はまずやらないですけどね(笑)
さて、これで終わりにしようと思いましたが、基本だけが抜け落ちていました(汗)
・三角読み
ゲージの一部に注視する場合の基本中の基本。。。
釘を読む時は、必ず近接する3本を結んで、玉の動きを捉えた読み方をします。(例外は天釘と袴の命釘)
水平であろうが、複雑な釘の絡みであろうが、必ず3本で読み、不足も継ぎ足しもしないこと。
・・・以上です。。。
自分の知識では及ばない部分や抜けもあるかも知れませんが、その際には寛容にご容赦を(爆)