この前、夫カンタロウと素敵な喫茶店に行った時のことだ。
大好物のアップルパイを温めてもらってコーヒーと一緒に熱々をはふはふしながら頬張っていた。


人気店なのでカンちゃんがあらかじめ席の予約をしてくれていたのだが、後ろの4人用テーブルも予約席になっていた。



しばらくすると30代前半くらいだろうか、若い男女のアベックがやってきた。

そして後ろの予約席に横並びで座った。


ちょうど俺の座っている真後ろだった。なので直に姿は見えないけどすぐ後ろで会話をしているのでよく聞こえてくる。


恋人同士、ではなく婚約者同士のようだ。


こういう時に人様をじろじろ見てはいけないと常日頃カンタロウから注意をされているので後ろは向かないよう気をつけていた。



しばらくすると男性の両親と思われる男女がやってきた。

若い2人はすっと立ち上がって笑顔で出迎えていた。どうやらその女性は婚約者の両親と顔合わせするのが初めてらしいことが伝わってきた。



若い女性は義父母になるであろうその人たちに明るく挨拶をしていた。

「甘いものがお好きだとうかがっておりましたので」

と手土産を渡したようだった。

とても緊張している声だなと感じた。


男性も自分の親のコートを預かってカンタロウが座っている脇のコート掛けに引っ掛けていた。


老夫婦も若アベックも上品な感じでとても素敵だった。

そして結婚式の日取りの打ち合わせなどを始めたようだった。



婚約者の両親との初顔合わせなんて緊張するに決まっている。

上手くいきますように…


全然知らない人だけどたまたま隣り合わせたアベックの幸運を祈った。



それと同時にちょっとだけ申し訳ないなと思った。


どうしてか?

本当にくだらなくて申し訳ないのだが、そんな素敵な場所に似つかわしくない会話をカンタロウとずっとしていたからだ。



俺「この店のアップルパイの代金はカンちゃんに払ってもらうから」

vs

カンタロウ「店の予約をしてあげたんだからお代は全部ショウタが払いなさい」


というひどい不毛な戦いをしていた。そもそも我々には割り勘という発想がない。

若いアベックがやってきた時も決着がついていなかった。



挙げ句の果てには、

「ショウタってマジで守銭奴だな😝」

などと言われ、ムキィとなっていた。


リアルの会話で「守銭奴」だなんて言葉を発する人なんて初めてだと思った。



だけど素敵なアベックを目の当たりにしたおかげか、カンちゃんもいつもの優しい笑顔になってその後は楽しい会話に戻った。



居合わせたアベック、そして俺&カンタロウ。

形は違うけど幸せをつかめるといいなと思う。






アップルパイのお代。

財布にお金がない❗️と言い張りカンちゃんに払ってもらった。

いくらケチでもそのくらいのお金はさすがに持っている。だけど…



大好きな夫との休日お出かけデート。

素敵な喫茶店を予約をしてくれた、そして好物のアップルパイをご馳走してもらった、「すごく愛されているな幸せだな俺」という気分に浸りたかっただけなのに…えー

なのに守銭奴だなんてあまりにひどい。笑



だけど馬鹿馬鹿しすぎて結局最後は2人で大笑いして店を出た。



その夜はカンタロウに肉じゃがを作ってあげた。すごく美味しいとたくさん食べてくれて嬉しかった。

やっぱりカンタロウのおかげで幸せなのだろう。