都内一等地にあり味もすごく美味しい。だけど昼間はお高くはないという最高の隠れ家的な店だ。
俺がそんな名店を知るわけはなく、カンちゃんが昔からよく利用しているお店だ。
カンちゃんはその見た目の優男ぶりに似合わず、食事処やショットバーやカフェなど、自分が惹かれた店には躊躇なく入り、お気に入りの店をこれまでもたくさん開拓している。
そして見ず知らずのマスターやママ、大将や女将さんにも屈託なくにこやかに話しかけている。人当たりが良いのだろう。
そこが知らない人の前ではほとんど話せなくなる俺とは全く違うところだ(我が夫ながら羨ましい)。
今回行った和食店は今年初めに連れて行ってくれてあまりの美味しさに俺が感激して、
「んもぉ毎週行きたい、週2ペースで絶対食べたいっ」
と猛アピールして久しぶり2回目の訪問となった。
寿司や刺身は元々大好物だけどそれに比べると焼き魚や煮魚はそれほどではない。
だけどこの店の煮魚は絶品だからとカンちゃんに教わりオーダーした。
魚の身はほくほくしていて骨までやわらかく、煮汁も丁寧にこしらえているのが味覚音痴の俺ですらよく分かる美味しさだった。
ほわぁ
美味しい煮魚に舌鼓を打ちながら幸せ気分に浸っていた。
そしたら油断して気が抜けたのか、箸から魚がボテッと滑り落ち、煮汁が飛び散った。
ブシャァぁ
俺にとっては運良く、カンちゃんには運悪く、煮汁は全部カンちゃんの胸元に跳ねた。
あらららら…
カンちゃんは普段から怒鳴ることは絶対にないのだけど煮汁がついたTシャツを見るとさすがに憮然とした表情になっていた。
「ごめん」
とすぐ謝った。
「大体ショウタはさ、いつも不注意で…」
「上着をたまたま脱いでいたからまだ良かったけどジャケットだったらクリーニングに出さないといけないところだった」
「魚を落とすなんて小さい子どもじゃないんだから…」
やはり始まりましたな。
まあこの程度のお小言は我慢しておこう。
もぐもぐ食べながら黙って聞き流して聞いていた
「ちな、そのTシャツはお高級品なのかしらん?」
「いや、ユニクロだけど…」
「じゃあそこまでのダメージでもないね、よかったよかった」
と強制終了しておいた。カンちゃんはずっとおしぼりでTシャツを拭いていた。
それにしても煮魚も刺身も本当に絶品だった。また行こうね。
家に帰り、コトの最中に、
「ショウタ、さっきのこともう1回ちゃんと謝って❗️」
と言ってきた。
「ごめんて。許してにゃ~ん」
「まったくもう」
でもあの煮魚美味しかったな、あの煮汁の味付けはどうやっているのかな…?
そんなことを考えていたら、たつべき場所がたたなくなったじゃないの❗️
カンちゃんこそ謝りなさ~い。今言うことじゃないじゃんかムード台無し。
今は煮汁じゃないのに汁違い
お下劣でスミマセン。
だけど果たして食欲と性欲って同時並行できるものなのだろうか?これまで考えたことなどなかった。
これはさらなる研究の余地がありますな。
研究論文にしなければ←超適当
両立しているという方がいたらぜひとも教えていただきたい。