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夫カンタロウの元同僚だった女性が傾倒しているという評判の良い占い師のところへ行った。
占いそのものに対してはカンちゃんはわりかし懐疑的な一方、俺はすぐに信じるタイプ。
2人で行ってもよかったのだけど、カンタロウの知り合いが通っていることをオープンにしたくなかったので敢えて別々に行った。
最初にカンタロウが訪れて、その数週間後に俺が行った。
カンタロウは女性占い師さんに、
「前世はとても高貴なお方です。神様や龍がしっかり守護しています。お金には困らないでしょう」
とか言われたらしかった。
カンタロウは、
「ふむふむ、こんなものか。当たっているとも当たっていないとも言えない微妙なラインだったよ」
生意気なことを言っていた。
「まぁ、だけど生まれ変わっても育ちの良さはおんなじなんだろうな、ニヒヒヒヒ」
少し嬉しそうだった。
だけど今現在、カード引き落とし残金が使いすぎで足りない、大ピンチと困ってますよねぇ?
「そんな時はショウタが助けてくれるってことでしょうね」
無論、助けません。
そして、俺。
「守護霊には○○姫(女神?)が見えます。あと数世代前のご先祖様もいますよ」
なるほど。からの~?
「前世では男性だったり女性だったりいろいろだったと思います。もしかするとミコだったこともあるかも…」
ミコ?
「先生、ミコってあの巫女ですか?」
「そうそう。白い着物と緋袴だね。神に祈りを捧げて踊ってるんだろうね」
その話を家に帰ってからカンちゃんにしたら爆笑された。
「男のような女のような…?ショウタっていつも家でよく分かんない踊りをしてるし、その先生の言うことはもしかしたら本当かも❗️」
あまり嬉しくなかった
先生は
「時間来るまで何でも聞いとくれよ」
張り切ってくれていた。
なおそれ以外には、
・仕事での嫌な女の話
「あぁ、その女はあなたの職場にマイナスを撒き散らす癌みたいな女だね。ふんっ、これで当分は大丈夫。邪気を祓ったからね」
石をカンカン鳴らしていた。
・くじ運の悪さ
「そんなことで運を使い切るより、人生トータルで考えたらむしろ当たらない方がいいんだよ、そうだろ?」
くじ運が良くなるとは言ってくれなかった。少しくらい当たりたいの…
・その他の前世は?
「武術や剣術を教える学校みたいなところで若い子にいろいろ教える立場にあったんだろうよ」
など。
ところがカンちゃんも、
「学校みたいなところで学問を教える立場だったと思います」
と言われたらしく、
「ショウタと同じ?んなわけないでしょうが」
と憤慨していた。笑
「あの占い師、もう少し職業のレパートリーを増やさなきゃダメだな。時間差で訪れた僕とショウタが結婚してる関係だなんて思わなかったんだろう」
それは確かにそうかもしれない。それよかカンタロウには敬語なのに俺にはどうして江戸っ子口調なのよ?
嫌がるカンちゃんに抱きつきながら、
「だけどさ前世が同じ職場だったかもだなんてロマンチックぅ❗️俺がカンちゃんに指導してたかもしれないの。2人が現世で一緒になるのも必然なんだね😃」
うざがらみしておいた。
「えっ?やだ。ショウタに教わることなんて何もない」
プイッと横を向いたので両手で彼の顔をぐいっと引き寄せて、鼻先3mmの至近距離で言っておいた。耳も引っ張った。
「何ですと~?無礼を詫びよカンタロウ」
(詫びられたことはかつて一度もない)