緑の灯火 156 落ちこぼれ 理論社 \1,400
2024 07 97 (Sun)
知命 (ちめい:天命を知ること) 茨木のり子
66 知命
他のひとがやってきて
この小包の紐(ひも) どうしたら
ほどけるかしらと言う
他のひとがやってきては
こんがらがった糸の束
なんとかしてよ と言う
鋏(はさみ)で切れいと進言するが
肯(がんじ)えない
仕方なく手伝う
生きているよしみに
こういうのが生きてるってことの
おおよそか それにしてもあんまありな
まきこまれ
ふりまわされ
くたびれはてる
ある日 卒然と悟らされる
もしかしたら たぶんそう
たくさんのやさしい手が
添えられたのだ
一人で処理してきたと思っている
わたしの幾つかの結束点にも
今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで
◇◇◇ モノログ
知命(ちめい:天命を知ること); よしみ(好、誼):縁; おおよそ; それにしてもあんまりな; 卒然(卒然)と:だしぬけ、突然; もしかしたら; たぶんそう; それと気づかせぬほとのさりげさで。
ちかごろ、「海辺のカフカ」村上春樹、の言葉を写い書きし「落ちこぼれ」茨木のり子の詩を読んで、自分の語彙の貧困を思う。今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで。
一日を23時間とみなして走っています: 山中伸弥
谷川浩司と山中伸弥の対談集、「還暦から始まる」を読んでいる。
棋士は対局中はもちろん将棋研究で一日の大半をすわって生活している。足腰が弱くなると持久力はもちろん瞬発力も 落ちる。今も現役で対局をつづける谷川名誉名人は、30頃より、オートバイクを買って、自宅で数誌の新聞を読みながら、漕いでいる。休日にはジムにいき、ストレッチを している。
iPS 細胞の研究者、山中伸弥さんは、まいにち一時間、走っている。「一日を23時間だと思って」生活している。
なにかをえるためには、何かを犠牲にしなければならない。「一日を23時間だと思って」生活している。
すごいなあ。
わたしのブログ、「原書で読む世界の名作」シリーズが300回を超えた。「海辺のカフカ」、一日を20時間だと思ってもうすこしつづけてみよう。
Frenemy : 友だけど敵 『日本からは見えないアメリカの真実』 旦英夫 PHP \1,300
With a frenemy there may be a rivalry, an intense dislike or even an integrity concern. However, social or business obligations may requite friendliness.
Frenemy は、Frend(ともだち) と Enemy(敵)からなる合成語。ライバル関係、強い嫌悪感、さらに信頼できるのかという 心配。 しかし社会的または仕事の義務として、その人と友人関係をと持つことも大切なことがある。
この説明の中で、integrity concern という言葉がある。上では「信頼できるかという心配」と訳している。
integrity = 誠 ・ 完全性 ・ 整合性 ・ 保全 ・ 保全性 ・ 統一性 ・ 清廉 ・ 一体性 ・ 正直 ・ 廉潔 ・ 節 ・ 忠誠 ・ 実 ・ 節操 ・ 完全性・ 律儀 ・統一性 ・ 円満 ・ 律義
concern = 懸念 ・ 関心 ・ かかる ・ 当該 ・ 心配
freenemy のように、一見、自己矛盾しているような表現を Oxymoron (撞着語法)という。たとえば、 Open Secret (公然の秘密)、Jumbo Shrimp(大きな小エビ)、 Idiot Savant(白痴の天才)、 Living Death(生き地獄)、 Baby Grand(小型のグランドピアノ)、Sweet Pain(甘い痛さ )、Wise Fool(賢いおバカさん)
同級生、会社の同僚、ゴルフ仲間などでは微妙な駆け引きがある。「友でもあり、敵でもある」という意味で使われたり、 「友とは見せかけ、本当は敵である」という療法の意味で使われる。