読書日記 185   
「還暦から始まる」   谷川浩二、山中伸弥 講談社α親書 \900

 これは、谷川浩二と山中伸弥の対談、「還暦から始まる」である。ふたりはともに1962年生まれ、現役の棋士であり永世名人、とノーベル賞受賞者であり現役の研究社である。
 本の帯びには「老後は存在しない」とある。「老い」の正体から、自分たちのこれからの役割、「下り坂」の楽しみから、理想の死に方などについて、 縦横無尽に語っている。
 
 読んでいて興味のある部分だけを断片的に引用する。
 
15 谷川:最近、人の顔と名前が一致しない。眼鏡にAIチップを入れて、思い出せない人の情報をレンズの端に出してほしい。  
16 山中:そう、その人の名前や過去にいつ会ったかを眼鏡の縁に表示できる眼鏡がほしいなあ。人の名前は全然覚えられなくなった。 パスワードの覚えられなくなってきた。
20 谷川:読む力、スピードは加齢とともに落ちてきています。いまは、一年前と同じ力であれば、私はプラスたど考えるように しています。
21 山中:僕がこの年になってすごく感じ角は、アイディアの枯渇ですね。ひらめきととか発想力、創造力といった頭の 柔軟性は20代がピークですね。あとは下がっていく一方です。アイディアの不足は経験で補うようにしています。
 
 ああ、いまだに第一線で活躍している彼らも加齢には勝てないのだなあ。私は彼らよりの二回りくらい上だ。
 谷川さんのことば、「いまは、一年前と同じ力であれば、私はプラスたど考えるようにしています」、いいなあ。

 
 
24 山中
 他人と違うことをやるにはどうすればいいか。3つのパターンがあります。 
 第一は、ニュートンやアインシュタインのように生まれながらの天才。私とは無縁です。
 第二は、実験で失敗し、まったく予想しいなかった結果が得られたとき。それを追求していけるかどうか。
 第三は、「これができればいいなあ」「でも、やってもできないだろうなあ」とみんなが思って、あきらめて誰も やらない問題にあえて挑戦する。うまくいけば、他人と違うことが成功することがある。iPS 細胞発見のパターンです。
 歳を重ねると、一番目の天才的ひらめきは縁遠くなるので、僕はいま、二番目の頼っています。
 
25 谷川
 60代からでも進歩できる時代。 
 将棋の場合、ひらめきというのはもちろん基礎的な知識や経験の積み重ねがあって生まれるものでもありますね。それは、 若い時でも、この年代になっても同じだと思います。
 重要なことは、自分の専門分野、得意分野でこそ学ばなければいけないということです。
26 将棋では、AIの登場でこれまでの常識や感覚が絶対に正しくなかったということがわかってきて、私たち50代になってから、 若い棋士と同じように、将棋を一から見つめ直さないといけなくなりました。
 もちろん若い人のほうが抵抗なくAIとつきあえられるし、分析や情報処理に精度も能力も高いはずです。でも、50代、60代の 能力がゼロというわけではありません。いままで培ってきた感覚的なもの、経験とAIをうかくくみあわせることができれば、これから 進歩できるかもしれません。
 60代の脳の力はそれまでは落ちていく一方でしたけれども、AIを取り入れることで、脳の能力の衰えを抑える方法に なるのではないかと思います。
 
 
 谷川さんはいまでもB級二組の現役棋士。ことしは勝ち越している。
 対戦相手は、全員が谷川さんより若い。そして今では全員がAIで勉強している。
 谷川さんは、AIにこれまで鍛えた感覚や経験をくわえて、現役第一線で戦っているのだ。
 そして、君(わたし;いまこの原稿を書いている greenlightさん)は、80代をどう戦っていくのだ!?

 
 
 つづく
 
 ここに、「最近読んだ本」を添付します。
 
読書日記 2024 07 02 (Tue)
 
最近読んだ(でいる)本すこし前に読んだ本、昔読んだ本の一部。
 
【あ】 「あらし」シェークスピア、「阿頼耶識」、「アルゴリズム辞典(C言語編)」 「アルゴリズムとデータ構造(JAVA編)」、
【い】「1Q84」村上春樹、「一九三四冬―乱歩」久世光彦、「一九八四」ジョージ・オーウェル、「茨木のり子詩集」茨木のり子、 「意識は傍観者である」D・イーグルマン、
【う】『海辺のカフカ』 村上春樹『宇宙を語る』 立花隆『うつを気楽に治すには』斎藤茂太『ウォーレン・バフェット』桑原昌弥、「宇宙からの帰還」 立花隆、「『歌』の精神史」 山折哲雄、
【え】「HTMLタグ辞典」、
【お】『折々のうた』大岡信、「老いる意味 うつ、勇気、夢」  森村誠一、「オーパ!オーパ!」開高隆、
【か】「還暦から始まる」谷川浩二、山中伸弥「風の中に立て」伊集院静、「Google Keepの基本」、神谷美恵子、「神谷美恵子日記」神谷美恵子、「輝ける闇」開高健、「会社四季報」、「会社四季報プロが選ぶ500銘柄、」 「考えない練習」 小池龍之介 X 池谷裕二、「風に訊け」開高健「カシオ電子辞書」
【き】「危機からの脱出」塩谷七生、「嫌われる勇気」アドラー、「吉里吉里人」井上ひさし、 「今日から使える統計解析」大村平、
【く】「グレート・ギャツビー」F・S・フィッツジェラルド、「クリスマス・キャロル」チャールズ・ディケンズ、「クリパル・ヨガ」スワミ・クリパル、
【け】「賢者の贈り物」O・ヘンリー、[現役87歳 トレーダー]  藤本茂、「遣灯使」多和田葉子、
【こ】「心の旅」 「言葉を育てる」米原万理、「幸福論」アラン、「こころの旅」神谷恵美子、
【さ】「作文教室」井上しさし、
【し】『市場のサイクルを極める』 ハワード・マークス「死という最後の未来」石原慎太郎、曽野綾子「小学生がたった一日で19かける19までかんぺきに暗算ができる本」 小杉拓也、 「自分でできるスポーツマッサージ入門」、 「小説読本」丸谷才一、「小説作法」 スティヴン・キング、 「自分でできる筋膜リリース パーフェクトガイド」、
【す】「スマホ入門」、「スタンフォードの自分を変える教室」「スタンフォードの心理学講義」 「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」 ケリー・マクゴニガル、  「スヌーピー」C.シュルツ、谷川俊太郎、 [常識]の研究 山本七平、 「創造的思考について」外山滋比古、
【せ】「青春の詩」 サミュエル・ウルマン、「世界中が夕焼け 穂村弘の短歌の秘密」穂村弘、山田航共著、「世界の終わりとワンダーランド」村上春樹、「禅マインド ビギナーズ・マインド」鈴木俊隆(としたか)、
【そ】「その日をつかめ」ソール・ベロー、「相場の論点」広木隆、
【た】「単純な脳」池谷裕二、「歎異抄」蓮如、五木寛之、「太極拳24」「太極拳48」、
【ち】「チャート分析の真実」吉見俊彦
【つ】「月と6「ペンス」 モーム、「詰将棋集」高橋道夫9段、羽生善治9段
【て】「適応的市場仮説」アンドリュー・W/ロー、 
【と】「投資で一番大切な20の教え」ハワード・マークス、「ドーナツを穴だけ残して食べる」、「遠野物語」柳田国男、 「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ、「都市間通信」O・ヘンリー、 「独習JAVA」
【な】「脳と心のしくみ」池谷裕二、「七つの習慣」S・コヴィー 「何がめでたい、90歳」佐藤愛子、「夏の夢」開高健、「中村天風」、
【に】『日本からは見えないアメリカの真実』旦英夫、「人間にとって成熟とはなにか」曽野綾子、【人間の未来 vs AIの未来】羽生善治・中山信弥、
【ね】「ねじまき鳥クロニエル」村上春樹、
【の】「ノルウェイの森」村上春樹、「脳と心のしくみ」 池谷裕二、「動物農場」ジョージ・オーウェル、
【は】『配当生活』広木隆、「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹、「はじめての八十歳」山藤章二、「ハムレット」シェークスピア、 「八十八歳を生きる― ヨーガとともに」佐保田鶴吉、「白鯨」H・メルビル、「腹だけ痩せる技術」植村美穂、
【ひ】「ひざ痛がよくなる一分間ほぐし」古賀秀之、「日の名残り」カズオ・イシグロ、「137億年の物語」クリストファー・ロイド
【ふ】「プロの投資家の先を読む思考法」 渡部清二、「文体を夢見る」丸谷才一、「不実な美女か貞淑な醜女(ぶす)か」米原万理、「ブッダの瞑想法」地橋秀雄。  「藤井聡太論」谷川浩二、
【ほ】「骨だけの文章」倉橋由美子、
【ま】 『まぐれ』ナシーム・ニコラス・タレブ、「Murphy's Law マーフィの法則」、「真夜中の太陽は輝き続ける」米原万里、「末那識」、「街とその不確かな壁」村上春樹 「真夏の夜の夢」シェークスピア、「まいにちが祭り」小林ハル、 「まいにち中国語」、「まいにちフランス語」、「まんがで分かる中村天風の教え」鈴木彩、
【み】
【も】「求めない」加島祥造、
【や】「藪の中」 芥川龍之介、
【よ】「予想通り不合理―行動経済学」ダン・アリエリー、「ヨガ入門 各種」、
【ら】『レフ筋トレ』高岡英夫、『リーダーを目指す人の心得』コリン・パウエル
【わ】『わが投資術』 清原達郎、「私の文章修行」 週刊朝日編、「私だけの宗教」玄侑宗久、「Windows10 改定」「Windows11 入門」